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1万円ほどの「無線LANルータ」どれを買えばいいのか? 売れ筋の3製品を徹底比較

ある程度の性能がある無線LANルータといえば、1万円位の製品が適当だ。今回の記事では、現在売れ筋の製品で1万円程度の無線LANルータを取り寄せて、比較してみた。購入の参考にして欲しい。

岡田 庄司

執筆者:岡田 庄司

LAN・無線LANガイド

手ごろである程度の性能を持った「無線LANルータ」といえば、売れ筋の1万円程度の製品です。今回はTP-Link、Buffalo、NEC Atermの売れ筋製品を比較しながら、機種によりどのような違いがあるのかをレビューしたいと思います。

共にWi-Fi6、IPv6/IPoE対応、背面にWAN1ポート(1Gbps対応)とLAN4ポート(1Gbps対応)の製品となります。
 

製品の概要

ここでは、以下の3機種を取り上げています。

・TP-Link:Archer AX4800
TP-Link:Archer AX4800

TP-Link:Archer AX4800

アンテナは、角度調整可能な高性能アンテナが6本。置き方は、写真のような水平置きか、壁に掛ける置き方になる。デスクに置くのはちょっと大きいかもしれない。発売は、2021年8月。

公称値:無線LAN速度(5GHz)4324Mbps 同(2.4GHz) 574Mbps

・バッファロー(BUFFALO):WSR-5400AX6S-MB
バッファロー(BUFFALO):WSR-5400AX6S-MB

バッファロー(BUFFALO):WSR-5400AX6S-MB

アンテナは5GHz:4本、2.4GHz:2本。コンパクトな筐体で、デスクにも気軽に置くことができる。

公称値:無線LAN速度(5GHz)4803Mbps 同(2.4GHz)573Mbps

・NEC Aterm:WX3600HP
NEC Aterm:WX3600HP

NEC Aterm:WX3600HP

アンテナは、5GHz:4本、2.4GHz:4本。上のBUFFALOの製品より少し大きめの筐体だが、デスクの上にも置くことができる。

公称値:無線LAN速度(5GHz)2402Mbps 同(2.4GHz)1147Mbps
 

速度測定環境

測定環境は以下通りです。

・1Gbitのインターネット回線をWANポートに接続。10GbpsのWAN回線での測定も考えたが、インターネットの実速度を考えると現状1Gbpsでも十分であるし、1Gbpsの回線のほうが多く利用されている

・iPhone12 mini(2x2 MIMO対応Wi‑Fi 6 802.11ax=Wi-Fi 6)を子機として利用

・iPhoneアプリのSPEED CHECKで5回測定。最上位と最下位のデータを除外した3回の数値をグラフで表示
                 
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                   測定の様子(Speedcheck利用)

 

同一室内での速度

まずは、同一室内でどの程度の速度がでるのか測定してみました。

【結果】
同一室内での結果 2.4GHz

同一室内での結果 5GHz

同一室内での結果 2.4GHz

同一室内での結果 2.4GHz

【考察】
・ワイヤースピードが900Mbps程度なので無線で7割強の速度がでるのは、さずがWi-Fi 6といえる。体感的にも必要十分な速度
・5GHz帯/2.4GH帯共に、フラグシップモデルと同等の速度がでている。同一室内で利用するのであれば、1万円程度の無線LANルータで十分である。
・5GHz帯の場合、WSR-5400AX6Sが他機種を上回る。とはいっても他機種も速いので体感は変わらない。
・2.4GHz帯では、ほぼ同じだが、Archer AX4800が他機種より若干速い。
 

隣の部屋での速度

壁を隔てた隣室での速度を計測してみました。隣室では、部屋の中央にiPhoneを置いたので、測定位置は、壁から6mほど離れた場所になります。

【結果】
隣室での速度 5GHz

隣室での速度 5GHz

隣室での速度 2.5GHz

隣室での速度 2.5GHz

【考察】
・5GHz帯の場合、同一室内で値の低かったWX3600HPが他機種より高速になっている。WX3600HPは、近隣であれば距離による速度の低下率が低いようだ。
・2.4GHz帯の場合は、グラフの目盛りが5Mbps刻みになっているので差があるように見えるが、ほぼ同等。
 

離れた位置での速度 

次は、隣の隣の部屋での測定を実施してみました。無線ルータからは、お風呂/階段室/クローゼットという障害物があります。測定環境としては結構厳しいものがあります。

【結果】
離れた位置での速度 5GHz

離れた位置での速度 5GHz

離れた位置での速度 2.2.5GHz

離れた位置での速度 2.5GHz

【考察】
・5GHz帯でWSR-5400AX6Sは、他機種より遅くなっている。Archer AX4800とWX3600HPは、ほぼ同等。
・2.4GHz帯でも、若干WSR-5400AX6Sが他機種より遅くなっている。WSR-5400AX6Sは、2.4GHzで他機種より2本少ないアンテナになっているためか。
・高速なのはArcher AX4800。アンテナの数(ストリーム数)が多いので距離に強くなっている。
 

測定限界での速度

距離が離れ、なおかつ障害物が多数ある環境で測定してみました。一応数字がでるようにしましたが、SSIDが表示されないケースが多く、少し近くによって接続し、測定位置に戻るという方法を取りました。測定中に回線が切れてしまうことはありませんでしたが、非常に低い値(除外してある)がでることもありました。

【結果】
測定限界での速度 5GHz

測定限界での速度 5GHz 

測定限界での速度 2.5GHz

測定限界での速度 2.5GHz

【考察】
・5GHz帯では、前の測定で値の低かったWSR-5400AX6Sが2位に浮上。Archer AX4800は依然として安定している。
・2.4GHz帯では、WX3600HPがトップになっている。差は、10~15Mbpsだが他機種のほぼ2倍の速度となる。
 

実売価格はどうなのか

いくら性能が良くても気になるのが実際の販売価格です。以下に実勢価格を挙げますので参考にしてください。

・TP-Link:Archer AX4800 ・Buffalo:WSR-5400AX6S ・NEC Aterm:WX3600HP

総括

速度測定の結果には、ある程度の差はありますが、体感的に違いが分かるほどではないので、どの機種を購入してもよいと思います。決め手は、実売価格と筐体の大きさだといえそうです。自分の設置場所に合う機種を選択してください。ほかの性能にはあまり違いはありません。

また、少し前までは5GHz帯で距離による速度の低下が目立ち、2.4GHz帯で利用しなければならない場面も結構ありました。しかし、どの製品も改良され、高速な5GHz帯でも距離による速度の低下が少なく、安定度が改善されています。このことから、ますますWi-Fi 6による通信が主流になっていくと思われます。


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