ビジネスマナー

withコロナ時代の電車内NG行動、マナー…無知は恥ずかしい!?

電車や駅など、不特定多数の人たちが大勢乗り合わせる空間では、基本的なマナーを守り、思いやりや譲り合いは決して容易なことではありません。周囲への迷惑がかからないだけでなく、トラブルを未然に防ぎ、「安全」につながる電車のマナーを確認しましょう。

美月 あきこ

執筆者:美月 あきこ

ビジネスマナーガイド

電車内NG行動、マナー

電車内NG行動、マナー

電車内NG行動、マナー

公共での礼儀正しい振る舞いこそが、マナーの原点です。特に電車や駅は、日々の移動に欠かせないもので、不特定多数の人たちが大勢乗り合わせる空間です。

偶然居合わせた見知らぬ者同士、基本的なマナーを守り、思いやりや譲り合いは決して容易なことではありません。周囲への迷惑がかからないだけでなく、トラブルを未然に防ぎ、「安全」につながる電車のマナーを確認しましょう。

<目次>
マスク着用や換気のマナー
電車内での会話マナー
座り方のマナー、周囲が迷惑する座り方3選
乗り降りのマナー
電車内の過ごし方マナー
 

マスク着用や換気のマナー「安全空間への創造を」

withコロナ時代は、これまでの日常とは異なります。マスク着用や換気など、電車に乗る前にポイントを抑えておきましょう。

◆「うつさない」配慮を
「うつること」だけではなく、「うつさないこと」も心がけたい

「うつること」だけではなく、「うつさないこと」も心がけたい

新型コロナウイルス感染症が拡大する昨今において注意すべきことは、何はともあれ、マスクを正しく着用することです。コロナ禍においては、大半の人がマスクを着用している印象があります。

反面、コロナが気にならないのか、マスクを着けずに外出される人もいるのが実情です。確かに、口や鼻を覆うのは鬱陶しく、息苦しいことは理解できます。しかし、コロナ禍で私たちが心がけるべきは、「うつること」だけではなく、「うつさないこと」です。お互いが安心できる環境を創る努力もマナーなのです。

特に電車内は「密集」「密閉」「密接」のいわゆる「三密」の条件が揃っている場所なので、コロナやマスクに対する持論に関係なく、マスク着用は必須のマナーと考えてください。

◆距離への配慮
周囲の乗客との距離を適度に保つことも大切です。新型コロナウイルスの感染経路の一つである飛沫感染は、くしゃみや咳によるしぶきが原因です。この、しぶきが周囲に到着する距離が、くしゃみで3メートル、咳で2メートルといわれています。

厚生労働省では、コロナ禍に入ってから、人と人との距離を2メートル程度取る「ソーシャルディスタンス」を推奨するようになりました。ただでさえ狭い電車内で、ソーシャルディスタンスを保つのは難しいところです。できる限り、他の乗客との距離を取るよう心がけ、真正面にお互いの顔を向けないようにしましょう。

◆換気状況が気になってきたら
密閉空間である電車では、換気も重要です。窓開けによる換気と、空調装置による空気循環や換気により、約5分で空気が入れ替わることが鉄道総合技術研究所から公表されています。

寒い時期や花粉が飛ぶ時期の窓開けを嫌がる人も多く、乗客同士のトラブルにつながるケースもあります。無断で開けたりせず、長時間の乗車などで心配な時は、一度下車するなど自分なりの対策を心掛けたいものです。いくらコロナ対策とはいえ、他の乗客に迷惑をかけてまで行うのはNGです。
 

電車内での会話マナー「快適空間への創造を」

電車内での会話はどうでしょうか。何気なく行っていることも実は人に迷惑をかけているかもしれませんので、あらためて確認しましょう。

◆電車内での会話
車内で偶然知り合いに会ったり、家族や友人同士で遊びに行ったりする時など、ついテンションが上がり、声が大きくなってしまいます。いくらマスクを着用していたとしても、コロナ禍で神経質になっている乗客は不安に感じます(声のボリュームが大きな会話は、コロナに関係なく迷惑ですが……)。会話は必要最低限に抑えましょう。
電車内での会話は声の大きさに気をつけましょう

電車内での会話は声の大きさに気をつけましょう

また、大人は我慢ができても、子どもには「静かに」と言っても難しいでしょう。お子様連れの方は、おしゃべりや歌ったり、走ったりしないよう手をつなぎ、その都度注意をしましょう。

子供に目くじらを立てて怒る大人もそう多くはありませんが、中にはトラブルに発展することがあるからです。他の乗客に迷惑をかけてしまったと判断したら、「ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません」と一言告げると、その場の雰囲気も和らぎ、事を荒立てずに済みます。
 

座り方のマナー、周囲が迷惑する座り方3選

座り方にも注意が必要です。

◆足を組んだり、放り出したり、開げたり
乗車中に他人の座り方で迷惑に感じたことはありませんか。座り方は、つい普段の癖が出てしまうところです。自宅やオフィスでは許されても、狭い電車内では周囲が迷惑する座り方3選を紹介します。

(1)浅目に腰かけて、膝からつま先までを前に投げ出してしまうこと
前方に余分なスペースを取ってしまっているのも事実です。つり革につかまっている人や通路を歩く人の邪魔にならないよう、前方に足を投げ出さいようにして下さい。棚や膝の上でカバンを持たない人は、足のふくらはぎと座席の間に置くようにすればコンパクトに収まります。

(2)両手・両足、膝を大きく開く
膝を大きく開き、両手を広げるようにして座る人がいます。隣に人が座らないように両手でブロックし、拒絶のサインにも見えます。公共の場における快適性の独占はやめましょう。

膝頭と両腕を少しだけ内側に向けるように意識するだけで、座れる人が増えます。特に混雑している車内では座席の上に荷物を置くのもマナー違反です。新聞を大きく広げて読む人がいますが、隣の人のスペースを侵食し、迷惑です。小さく折りたたむか、オンライン版を読むようにすれば誰にも迷惑をかけません。

(3)足を組む
電車内で足を組むと、他の人につま先が当たってしまう可能性があります。特に、雨で靴が濡れている場合は、他人の衣服を汚しかねません。電車内、特に混み合う空間では、足を組まないのがマナーです。
その座り方、もしかしたら周囲が迷惑しているかも?(image:Phuong D. Nguyen / Shutterstock.com)

その座り方、もしかしたら周囲が迷惑しているかも?(image:Phuong D. Nguyen / Shutterstock.com)

 

乗り降りのマナー

電車を乗り降りするときには、以下の点に気をつけましょう。

◆時間に余裕をもって
電車には時間の余裕をもって乗りましょう。無理して乗り込もうとして駆け込むと、ドアに挟まれたり、周囲の人を突き飛ばしてしまったりするため、大変危険です。発車を遅らせることにも繋がってしまいます。仮に、強引に飛び乗ったとしても、その後、車内で注目されて恥ずかしい思いをするハメになってしまいます。

◆降りる人優先
エレベーターのマナー同様、乗降時のマナーにも、気を配りたいところです。駅に到着し、電車のドアが開いたら、降りる人が優先です。つい席を確保したくて、我先にと、降りる人より前に乗ってしまう人をよく見かけます。

降りる人が優先ではありますが、電車の中程にいて、混雑時などに人をかき分けて、慌ててドアへ向かう人もいます。不意に後ろから押されると、バランスを崩して転倒してしまう乗客がいるかもしれず、危険です。

「すみません、降ります」の一言を忘れずに、人になるべくぶつからないよう移動してください。降りる駅が近づいてきたら、少しずつドア付近へ移動しておくのが理想です。

◆立ち位置
ドア付近に立っていると、ドアが開く度に出入り口で乗り降りする乗客の流れをふさぐことになってしまいます。混雑時には、特に迷惑です。ドア付近に立つならば、ドアが開く度に一度降りるようにすればもみくちゃになることもなく、スマートです。
 

電車内の過ごし方マナー

最後に、電車内での過ごし方のマナーです。

◆スマホマナー
電車の中では、スマホを手に、ニュースの記事を読む、ゲームをする、仕事のメールを打つなど、思い思いの過ごし方をしています。自分のパーソナルスペースであれば、とにかく動かず、静かに過ごす分には何ら問題ありません。ただ、スマホから出る音には細心の注意を。

電話の着信音やSNSなどのメッセージの受信音は、周囲にとっては雑音であり、とても気になります。特にメッセージアプリは、短い文章のやり取りが多いため、受信音が頻繁に鳴ることがあります。電車内では、マナーモードにして、必ず音が出ないよう設定して下さい。
電車内ではマナーモードに

電車内ではマナーモードに

◆ヘッドホンやイヤホン
ヘッドホンやイヤホンは、他者を隔離し、自分の世界に没頭するにはもってこいのアイテムです。しかし、電車内には多くの人たちがいます。自分にとっては楽しいゲームの音や心地よい音楽の音も、漏れ聞こえてしまっては周囲にとっては迷惑なだけです。音漏れは自分では気が付かないので、乗る前に音量は小さめにしておきましょう。

◆飲食や化粧
車内での飲食で許されるのは、水分補給と喉用キャンディ―程度です。においの強い物や音の出る食べ物を食べるのはNGです。また男性も女性も、車内での化粧や整髪は控えてください。パウダーの粒子やスプレーの飛沫、髪の毛やフケの散乱で周囲への迷惑につながります。また髪の毛の長い人や遊ばせた毛先が人の顔にあたることもあります。すっきりとまとめたり、おさえたりして、出かける前に身嗜みを整えてから乗車して下さい。

当然のことながら、身体の不自由な方を見かけたら、席を譲るまでにはいたらなくても通路の邪魔にならないよう配慮して下さい。公共の場は、自宅やオフィスの過ごし方とは大きく異なります。見知らぬ人への配慮や心遣いというと何だか難しいですが、「自分がしてほしくないこと」を逆算し、少しの想像力を働かせることで公共の場を少しでも快適にしたいものです。

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