ネガティブイメージの強い「過保護」だが、本来「保護」は子どもに必要

「過保護」とは、子どもが望むことは何でも好き放題にさせたり、子どもが不快感を示すことや困難を感じることは、先回りし、親が回避する行為をさして、言われることが多いでしょう

「過保護」という言葉はネガティブなイメージが強いが、本来、「保護」とは、危険などから弱いものを守りかばうという大切なこと


「過保護だと、子どもが自立しない」
「過保護に育てられると、わがままになる」
など、「過保護」という言葉は、ネガティブなイメージとして聞くことが多いと思います。
 
「過保護」とは、子どもが望むことを何でも好き放題にさせること、子どもが不快感を示したり困難を感じることに対し、親が先回りして回避する行為を指して言われることが多いでしょう。その結果、わがままに育ち、独立心が弱く、依頼心が強かったり、また集団生活に不適応な性格になりやすいと考えられます。
 
ですが本来、過保護の言葉に含まれる「保護」とは、危険などから弱いものを守りかばうことです。子どもの生命や心の健やかな成長を危険から守る行為に過剰なことはないでしょう。従って「過保護」は子育てにおいてマイナスばかりではないはずだ、と私は考えます。子どもに悪影響な「過保護」と言われるものは、実は「甘やかし」であったり、「過干渉」であると考えています。
 

「過保護」という用語が使われた社会的背景

「過保護」という用語が使われ始めた時期は、戦後の核家族化による母子密着が増えた頃、もしくは高度成長期の後など、諸説あるようです。少子化による子どもの数の減少、母親の余暇時間の増加、進学率の上昇などの社会背景があり、母の子どもに対する世話や支配が強まった状況を指して使われていました(参照:「過保護」世界大百科事典 第2版の解説 平凡社)
 
では、実際に「過保護」はどのような場面で使われているのでしょうか。

【場面1】
子どもが「おもちゃ買って!」と言うと、喜ぶ顔が見たくていつも買う
【場面2】
キャラクターのTシャツを着ようとした子どもに「似合わないから」と着替えさせる
【場面3】
子どもがコップに牛乳を入れようとしている時、一人で出来るにも関わらず「ママ、手伝って」と言ってきたら、必ず手伝う

一見、これらは全て「過保護」のように思えますが、少しずつ状況が異なります。

場面1のように、子どもが欲しがる物、要求する物品、おこづかいを何でもを与えるのは「甘やかし」になります。また場面2のように、子どもの望んでいないことに対し、親の意思で異なる方向にコントロールするのは「過干渉」になります。

一方、場面3のように、子どもが出来ることであっても、援助や関わりを求めてきた時に手伝うことは、必要な「過保護」であると考えます。
 
「過干渉」や「甘やかし」は子どもの意欲を低下させ、心の自立を阻みます。ですが場面3のような過保護は、子どもの心の自立を促します。

 

心の自立に必要な幼少期の過保護

基本的信頼感と自分の存在への自信を築いている時期の過保護は、とても大切なものです

乳幼児期は、生理的欲求や情緒的欲求をしっかり受け止めて満たしてあげることが大切


子どもは人生の早い段階である乳幼児期に、親や世の中に対する「基本的信頼感」と同時に「自分の存在に対しての自信」を獲得していきます。これらは子どもの心の発達や自立において非常に大切なもので、お腹が空いたなどの生理的要求、また不安という情緒的要求がしっかり受け止められ、また満たされることにより、徐々に獲得していきます。

そこには、愛情と充分な保護が必要といえるでしょう。子どもが甘えてきたときは、しっかり甘えさせてあげてください。幼い時から「甘えさせない」という方針で育てるのではなく、いっぱい「甘え」させた子どもほど、しっかり「自立」するのです。従って、この基本的信頼感と自分の存在への自信を築いている時期の過保護はとても大切なものなのです。子どもを保護して、し過ぎるということはないでしょう。

 

「過干渉」「甘やかし」は、子どもに悪影響のあるネガティブな過保護

■子どもが望んでいない方向にコントロールする「過干渉」
やがて子どもは成長とともに一人で出来ることも増えて行動範囲も広がり、見るものや聞くもの、触れるもの何にでも興味をもち始めます。親としては、危険を理解していない子どもの行為にひやひやする場面もあると思います。そして「ダメ!」と行動に規制や干渉をするでしょう。
 
この時、危険な行為や人に迷惑をかける言動に対して、禁止の言葉を使う干渉は「しつけ」になります。ですがそれ以外の行為に「ダメ」や「○○しなさい」と言う指示や命令は「過干渉」になり、子どもが本来持っている意欲の妨げになります。
 
子どもは大好きなお母さんからの愛情を失いたくないと思い、自分の意思を抑えて親の言葉に従うでしょう。干渉や規制が過剰になると、子どもはストレスを溜め込んだり、赤ちゃん返りの原因になったりすることもあります。
 
子どもの要求に対し、過剰に応えてしまうような行為を過保護とも言われていますが、これは「甘やかし」とも言えるでしょう

子どもの要求に対し、過剰に応えてしまうような行為は「過保護」ともいわれていますが、これは「甘やかし」とも言えるでしょう

■子どもが望んでいることを先回りし、やり過ぎる「甘やかし」
子どもの要求に対し、過剰に応えてしまうような行為は「過保護」ともいわれていますが、これは「甘やかし」とも言えるでしょう。
 
例えば、子どもが「買って!」と欲しがる物を何でも買い与えること、子どもが望んでいることや自分でしようとしていることに対し、親が先回りして叶えたり、何でもやってしまうことです。これらは、ネガティブな過保護であり、甘やかしになり、子どもの心の自立を阻みます。

 

ネガティブな過保護をしていないか、子育て傾向見極めチェック表

このように一概に「過保護」といっても必要な過保護もあれば、甘やかしや過干渉のようなネガティブなものもあります。また過干渉は、親の不安から起きているものなのですが、親からすれば、どれも「子どものため」「子どもへの愛情」という気持ちからの言動で、同じ延長線上にあると思いがちです。

従って、必要な過保護がいつの間にか甘やかしや過干渉になっていた、ということもあるかもしれません。違いに気づきやすくなるチェックリストを作りましたので参考にしてください。
ネガティブな過保護、過干渉や甘やかし傾向のチェック表

ネガティブな過保護、過干渉や甘やかし傾向のチェック表

どの項目にチェックが多かったでしょうか。

■Aが多い場合
Aは、必要な過保護です。子どもは自然と手が離れていくでしょう。
 
■Bが多い場合
甘やかしの傾向にあるかもしれません。子どもへの愛情は、心配になって表れることもありますが、親が手伝ってやってしまうと、子どもの伸びるチャンス、学ぶチャンスを奪っていることになります。子どもが持っている力を信じましょう。
 
■Cが多い場合
過干渉の傾向にあるかもしれません。これも、親とすれば「愛情」と思っているかもしれませんが、過干渉の場合、親自身に気が付いていない不安や自信のなさが隠れされていることがあります。それは親が子どもの頃、条件付きの愛情で育てられたり、後の人生に強い影響を与える駆り立たられる言葉(driver)を繰り返し言われて育つとその傾向に陥ります。もし、自分は過干渉な親なのではと思ったら、先ず自身の心の不安や焦りと向き合ってみましょう。

甘やかしや不必要な過保護を気にして、子どもへの関わりを控えていると、放置にならないかと心配している親御さんもおられるのではないでしょうか。

ですが、放置とは「子どもへの無関心」から生じるもので、放置にならないかと心配している時点で大丈夫だと言えるでしょう。「放置しているかもしれない」と省みることのできる親に問題は起きないと思います。

 

必要な過保護か、悪影響なのかを見分け、子どもの成長の支援を

心も体も守られて育つと、ある程度の時期が来れば、心が自立していき、自然に親から離れていきます

心も体も守られて育つと、ある程度の時期が来れば、心が自立していき、自然に親から離れていきます

では、子どもの成長過程で必要な過保護とは、いったい何歳くらいまでなのでしょうか。敢えて目安を言うのなら、私は9歳くらいまでと思っています。ですが個人差は大きく、何歳までと親が決めなくても、心も体も守られて育つと、ある程度の時期が来れば、心が自立していき、自然に親から離れていきます。

草木も小さな芽の間は、充分に水をやり、風や雨を防ぐ覆いをかけ、お世話をしなければ枯れたり、折れたりますが、やがて成長し大きな樹木に育てば、少々の雨風にも耐え、お世話は必要なくなるでしょう。

過保護は、子どもが自立してくプロセスで必要な時期があります。自立を阻む甘やかしや過干渉との違いを見分けながら、適切な過保護を持って、子どもの健やかな心の成長を支援していきたいですね。

【関連記事】



【新サービス事前登録のご案内】
あなたの悩みについて、「似た経験をした人」とお話ししてみませんか?

オールアバウトは今後、「経験談」を売り買いするプラットフォーム「エクシェア」を開設予定です。

「夫の不倫が発覚したけれど、どうすればいいかわからない」「50歳で夫と死別して今後が不安」「3年間のセックスレスで悩んでいる」「子連れで再婚したいが、どうすれば……」などの悩みについて、同じような悩みを経験した・乗り越えた人から直接、話を聞いてみませんか?

日常では出会えない「同じ壁にぶつかった仲間」が、きっと見つかります。

登録はこちらから

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。