2020年の年末調整、2021年の確定申告から注意したい「所得金額調整控除」を解説


2020年(令和2年分)年末調整および2021年3月期(令和3年3月期)確定申告より計算内容に大きく影響してくる税制改正があります。ここでとりあげる所得金額調整控除に関連してくるものだけを取り上げると
  • 給与所得控除額の引き下げ
  • 公的年金等控除の引き下げ
です。したがって、まずはそちらの内容を踏まえた上で、2020年から創設されている所得金額調整控除をとりあげたいと考えます。  
【所得がわからない方はコチラの動画をご覧ください】



 

給与所得控除の縮小とは

給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出されます。給与所得控除とは、給与所得者に与えられた法定上の必要経費であり、現行の所得税法においては、総合職や一般職、内勤や営業職、パートやアルバイト、正規雇用か非正規雇用かといった給与所得者の属性に関係なく、年収を基準に決められています。

通常、給与特定支出控除の適用を受ける者といった例外を除き、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて給与所得金額を算出する仕組みは多くの方にあてはまる税法上の仕組みです。

ところが、近年、この給与所得控除が縮小傾向される税制改正が行われてきたのですが、2020年より、高所得者のみならず、中間所得者および低所得者層も含め、全ての給与所得者に影響を与える税制改正となっています。

概要は下記のとおりです。
令和元年以前の給与所得控除 (出典:国税庁タックスアンサーより)

令和元年以前の給与所得控除 (出典:国税庁タックスアンサーより)

 
令和2年以降の給与所得控除 (出典:国税庁タックスアンサーより)

令和2年以降の給与所得控除 (出典:国税庁タックスアンサーより)


上限が220万円から195万円に引き上げられたほか、全体的に10万円引き下げられています、
逆からみると、年収が同じでも、給与所得控除、つまり必要経費が引き下がる分所得が大きくなるということです。
 

公的年金等控除の縮小とは

公的な年金の受給者にかかる税金は、公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて算出します。言い換えれば、公的年金等控除額とは、公的年金受給者に与えられた法定上の必要経費であり、現行の所得税法においては、国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法のどこに該当するかといった公的年金受給者の属性に関係なく、公的年金等の受給額と受給者の年齢が65歳未満か、65歳以上であるかを基準に決められています。

しかしながら、少子高齢化といわれて久しいように人口構成が変化してきたこと、「人生100年時代」といわれるように平均寿命が延びるなど社会情勢が変化してきたことにともない、いわゆる「リタイア世代」にも相応の負担をしてもらおうという考えが税制改正に反映されました。

合計所得金額1000万円以下の公的年金受給者の場合、公的年金等控除額が10万円引き下げられています。
令和元年分以前の公的年金の速算表と令和2年分以降の公的年金の速算表 (出典:国税庁タックスアンサー)

令和元年分以前の公的年金の速算表と令和2年分以降の公的年金の速算表 (出典:国税庁タックスアンサー)


(公的年金等受給者の合計所得金額が高ければ高いほど、さらにこの公的年金等控除額が引き下げられます)
 

所得金額調整控除が創設された背景とは

このように、給与所得控除額の10万円引き下げと公的年金控除の10万円引き下げが同時に行われたので、これに対する緩和措置がこの所得金額調整控除です。

したがって、所得金額調整控除とは基本的には「給与所得控除額の10万円引き下げと公的年金控除の10万円引き下げが同時に適用される方はどちらかを相殺しましょう」という考え方となります。これを含めて所得金額調整控除の内容をみていきましょう。
 

所得金額調整控除ってなに

所得金額調整控除の対象者は以下の2パターンです。ひとつは上記でも紹介したとおり、給与所得者でもあり、公的年金受給者でもある方です。こちらの場合では
  • 給与所得控除後の引き下げ額(10万円)+公的年金等控除引き下げ額(10万円)-所得金額調整控除(10万円)
という算式となります。
 
もう一方の対象者は下記のとおりとなります。給与収入が850万円超の居住者で、かつ、次のいずれかに該当する者となります。
 
  1. 納税者本人が特別障害者
  2. 23歳未満の扶養親族を有する者
  3. 特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する者
ここでは便宜上、高額給与所得者といいます。計算方法は以下のとおりです。高額給与所得者の場合では
  • (給与等の収入金額-850万円)×10%
という算式となるため
給与等の収入金額の上限は1000万円である場合は
  • (1000万円-850万円)×10%=15万円
と算定されます。

上記にあるように、令和元年分以前の給与所得控除額の最高額は220万円、令和2年分以降の給与所得控除額の最高額は195万円であるのでこの所得金額調整控除を考慮すると
  • 195万円+15万円=210万円
となるため、実質、850万円超の高額給与所得者においても、上記の要件にあてはまれば上限195万円の給与所得控除を受けずに「10万円引き下げ」のみの影響にとどめるための緩衝材となっています。
所得金額調整控除のイメージ図 (出典:財務省資料より)

所得金額調整控除のイメージ図 (出典:財務省資料より)


こちらの内容は給与所得のみでも影響してくる税制改正なので、早速、2020年(令和2年)年末調整の書式内容にも影響してきます。

2020年(令和2年)年末調整を行う方、2020年(令和2年)年末調整を受ける方双方に影響してくる税制改正なので注意しておきましょう。
 
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