伊豆から横浜へ移転。トレトゥールにも注目
ブーランジェリーパティスリートレトゥールアダチ
2016年、伊豆半島の中央部、天城にオープン以来、瞬く間に行列のできる人気店となり、2017年末の
All About読者が選ぶベストパン★2017では初ランクインにしていきなりグランプリを獲得した「ブーランジェリー パティスリー アダチ」が2018年3月17日、横浜「センター南」に移転。パンとお菓子にお総菜部門も新しく加え、「ブーランジェリー パティスリー トレトゥール アダチ」としてリニューアルオープンしました。
色とりどりのメレンゲやマカロン
ブーランジェリーアダチといえば、リアルなフレンチスタイルを再現するパン屋さんです。いつのフランスかといえば常に「今」で、店主の足立恵太さんは前職のスタイリスト時代からのセンスを働かせてパリに通い、リアルタイムで商品アイテムをアップデートし続けている人。その勢いと情熱にはなみなみならぬものがあります。
トレトゥールのショーケース
今回の新店は、お総菜部門が加わりましたが、その規模も鴨一羽、サーモン一本、豚も一頭単位で仕入れられて、つくられるパテやソーセージ、それに合わせたパンが新しいアダチの注目商品となりそうです。
サンドイッチのいろいろ
お総菜部門が加わったことで、伊豆時代の2倍程度、3部門で200種類ほどのパンやお菓子、お総菜がこの1軒に揃うことになりました。
パンもお菓子もバージョンアップ
サンドイッチとお菓子のショーケース
ブーランジェリーアダチのメインの商品はもちろんパン。そして、パンを買いに行けば、お総菜やデザートまで揃えられる、というのが嬉しいお店です。「今日はフレンチスタイルで食事を楽しもう!」などとはりきる日にも、コーディネートが簡単にできてしまうから。普段パンを食べない人にも、ハレの日のためのとっておきパン屋さんとして記憶しておいてもらいたいお店です。
さまざまなパテ
しかし、もしあなたの家や職場が店に近いならば、日常のパンを買う場所になるでしょう。「このパンはどんな味がするの?」「このお総菜はどんなパンに合う?」なんていう会話から始まって、足立さんが惚れ込み、提案するフランスの食文化に日々、親しんでいくこともできるでしょう。旅先の非日常ではなく、日常のなかにあるパン屋さんとして。
パン売り場
入り口を入るとすぐにパテやテリーヌ、サラダなどのお総菜のショーケース。それからパン、最後にサンドイッチとお菓子が美しく並んでいます。
バゲットトラディション、フリュートミエルアマンド
迷ったら、まずは、何にでも合うバゲットを。VIRONの銘柄粉「トラディション フランセーズ」を使った「バゲットトラディション」(280円)、そして自家製のプラリネ(ローストして蜂蜜をからめたアーモンド)をゴロゴロと練り込んだスペシャリテ、「フリュートミエルアマンド」(420円)が、ほかにはないパンなので、おすすめです。
どっしりとしたハード系も堂々と並んでいます
ずっしりとしたハード系のパンに、ちょっと甘いものを贅沢に練り込んだパンはどこへいっても人気です。ブーランジェリーアダチでは栗粉の「パンアラシャティーヌ」(390円)や、カシスピュレを練り込んだライ麦パンに渋皮栗、オレンジピール、マカダミアナッツ入りの「カシスマロン」(520円)はおすすめです。「パン オ フリュイ」(1カット480円)は大きく焼いたヘビー級。ドライフルーツがぎっしり詰まったものを切り分けてくれます。こいうのもまた、ほかではなかなかお目にかかれない、めずらしいパンです。
スエドワサンド
めずらしいといえば、「スエドワサンド」というサンドイッチがあります。「スウェーデンのサンド」という意味で、丸くて甘味のあるパンにツナや卵をサンドしています(550円)。「パリではあちこちのお店にあるのですが、スウェーデンにはないんです」と教えてくれたのは足立美保さん。
ホットドッグ
トレトゥール部門がスタートしたことにより、サンドイッチやお総菜パンに用いるハムやソーセージは自家製になりました。「鴨の生ハムと青リンゴ」(580円)、「自家製ジャンボンパリとエメンタールチーズ」(650円)、フランス式「ホットドッグ」(480円)、「自家製ジャンボンのクロックムッシュ」(400円)など、どれにしようか、ここでもまた楽しい迷いが生じます。
手前がソシソンブリオッシュ。奥は切り分けたパンオフリュイ
肉加工品はフランスで行っていた製法をそのまま再現したもので、骨付き豚から作ったソーセージなど、その骨のジュ ドゥ コション(出汁)でソーセージを茹でるのだそう。ソーセージは丸型の「ソシソンブリオッシュ」(450円)にも使われています。
ブリオッシュのいろいろ
このブリオッシュがまた、種類豊富です。オレンジフラワーウオーターやラム酒の香る編みパン「ブリオッシュ ヴァンティエンヌ」(580円)、角型焼きの「ブリオッシュ ナンテール」(580円)、クラシックな形がかわいい「ブリオッシュ アテット」(230円)、カスタードとチョコ入りの「ブリオッシュ スイス」(280円)など。
フレンチサイズのパルミエ
紅玉リンゴを敷きつめた「タルトフィンヌポム」(420円)や「パルミエ」(350円)などのフイユタージュ(折り込み)生地は、硬質なパリパリの食感が心地いいのですが、これにもVIRONの万能選手、トラディション フランセーズが使われています。バターは四つ葉の発酵バターを使用。大きくて、食べ応えじゅうぶんです。
初めてのめずらしいパンにも出合えるかも
横浜への移転の理由とシャルキュティエ、パティシエ
フランスから上陸した有名パン店が、再び日本から離れて行く中、あるいは、都会から地方へ移住を果たすパン職人も少なくない中で、足立さんはなぜ、伊豆から横浜へ移転したのでしょう?
オーナーシェフの足立恵太さん
「移転が正解かはわからないですが」足立さんは言います。「今日に至るまで、こうしたらもっとよくなるのに、もっとおいしくなるのに、と毎日思っていました。理想はもっと高いところにあり、それは、いいスタッフが揃えばカタチになると思っています。新店では製造体制を整え、サービスでもいいパフォーマンスをしたいです」。
フガスのいろいろ
繁忙期には午前中に売り切れることも少なくなかったブーランジェリーアダチに、お客さんはたくさん訪れたけれども、天城に住み込みで働いてくれるスタッフがいなかったこと。それが問題だったのです。足立さんとパートナーであり、パティシエールでもある美保さんと二人だけでは実現できなかったこと。それはスタッフを揃え、製造体制を整えることでした。
自家製のハムやソーセージを使ったサンドイッチ
今回、シャルキュティエ(ハム、ソーセージ、パテ、テリーヌなどをつくる職人)に抜擢された別府功介さんは、
メゾンイチ時代の足立さんの先輩で、フランスの食文化やその仕事で足立さんに大きな影響を与えた人です。「別府シェフのつくるものには非常にセンスがあり、完成度が高いことにとても影響されています。ぼくもいつか、彼のようにものづくりができる人になりたい、と考えています」と足立さん。フランスにいた別府さんにお願いしに行って承諾を得て、今回、再び一緒に働くことになりました。
お菓子も選ぶそばから目移りしてしまうこと必至
パートナーの美保さんは、これからは三部門を統括する役目を担い、お菓子は今栄照美さんが担当します。今栄さんはパリのブーランジュリーパティスリーならではのお菓子に感銘を受け、それを日本で提供したいという想いを、足立さんらと共有するパティシエールです。
ブーランジェリーパティスリートレトゥールアダチ
横浜市営地下鉄「センター南」という駅のある、新しい町で、新しいブーランジェリーアダチの一歩が踏み出されました。足立さんの夢はまた、ここからスタートです。
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ブーランジェリー パティスリー トレトゥール アダチ
住所:横浜市都筑区茅ヶ崎中央22-15 ルーナレガーロ1F
電話:045-298-4034
営業時間: 9時~19時 月・火曜定休
Yahoo!地図情報
横浜市営地下鉄 センター南駅 徒歩5分
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