伊豆半島に本格フレンチスタイルのパン屋さん

本格フレンチスタイルのラインナップ

本格フレンチスタイルのラインナップ

伊豆半島のほぼ真中あたり、三島から下田に至る国道沿いに、本格的なフレンチスタイルのパンとお菓子が話題のお店があります。「ブーランジェリー パティスリー アダチ」(Boulangerie Pâtisserie Adachi )。焼き色の美しい正統派バゲットやカンパーニュ、クロワッサン、ブリオッシュ、パンオレザン、フレンチサイズの大きなミルフィーユやモンブラン、トロペジェンヌにピティビエ等々、感動的なラインナップはまさに伊豆のフランスです。
クラシックなフランス伝統菓子はサイズもフレンチ

クラシックなフランス伝統菓子はサイズもフレンチ

 

元スタイリストのブーランジェが考える、ブーランジュリー・パティスリーという店のスタイル

足立恵太さん、美保さん

足立恵太さん、美保さん

パンを焼いている店主の足立恵太さんは元スタイリスト。昔から職人の仕事に憧れがあったそうですが、パリでブーランジュリー・パティスリーという伝統的なスタイルに惚れ込み、パン職人になろうと思い立って転職。国内では「メゾン・イチ」などで、パリでは「ピシャール(la Maison Pichard)」、「メゾン・ロベル(Maison Robert)」そして「アルノー・デルモンテル(Arnaud Delmontel)」で修業を積んだ後、実家のある湯ヶ島で、奥さまで菓子職人の美保さんとともに2016年、「ブーランジェリー パティスリー アダチ」を開業しました。

あんパンやメロンパンのないパン屋さんのスタイルは伊豆では珍しく、開業前はうまくいくはずがないとまわりの人に反対されたそうですが、今では客足の絶えない人気店となっています。
ヴィエノワ、ブリオッシュ、パンオレザンなど

ヴィエノワ、ブリオッシュ、パンオレザンなど

足立さんのお店のパンとお菓子には、決まりがあります。それはフランスでヒントを得たもの以外は作らないということ。足立さんが実際に向こうで作っていたものや、訪ねた先で出合ったもの、古典的なもので文献でのみ残っているものを商品化し、形をちょっと変えたり、フィリングの量を調整したり、国産素材を使ったりするものはあっても、日本風にアレンジした創作パンや創作菓子は作らないということに決めているのです。この考え方は、足立さんがスタイリストだったことと関係しています。人を、自分でデザインした服や靴でスタイリングしなかったように、店の商品棚に、創作したパンやお菓子を並べない。
ピティビエ

ピティビエ

「フランスのパンとお菓子のセレクトショップのようですね、ここにぼくのオリジナルなんてないんです。でも、服で言えばなぜシャネルスーツがあの素材、あのかたちなのか、その成り立ちに意味があることを理解してからスタイリングをしてきたように、ブリオッシュアテットのかたちは中世フランスの僧侶の頭のかたちを模している、というようなことを知って理解してから作りたいと思う。ぼくの中でブーランジュリー・パティスリーはそういう伝統的なアイテムの店なんです」

今後、もっとおいしいパンを作れるようになるかもしれないけれど、自分で創作してそれを作るわけではない、と足立さんは言います。
朝一番でほとんどの商品が出揃う

朝一番でほとんどの商品が出揃う


VIRON社の粉でつくられる正統派バゲット

素材や製法、かたちをきちっと守ってつくる正統派バゲット

素材や製法、かたちをきちっと守ってつくる正統派バゲット

とくに力を入れているのはバゲット。フランスにいる時からの製法、材料、機材をそのままに、パリに負けないバゲットを目指しているのだそうです。小麦粉はパリのバゲットコンクールで名をはせる有名店がこぞって使うというVIRON社の小麦粉。
味だけでなく焼き色、内相など見た目も美しい

味だけでなく焼き色、内相など見た目も美しい

実は少し前に必然のような偶然がありました。VIRONの西川隆博さんがウェブ上で偶然、プライスカードに"VIRON"の名が書かれたバゲットの写真を目にしたのです。興味をそそられた西川さんが東京から約2時間半、車を飛ばしてその店を訪れてみたところ、そこには「本気でフランスのパンと菓子を作る熱意のかたまりのような足立さんがいて、なんとか彼の想いの実現をお手伝いしたくなった」のだそう。それから、VIRONのいろいろな小麦粉を直接送ったり、技術者の牛尾則明さんらによるサポートも行われることになったのです。
入口脇に小麦粉の袋が置かれている

入口脇に小麦粉の袋が置かれている

「これまでの常識では成立するはずがないフランスのブーランジュリー・パティスリーを夫婦二人の熱い想いで繁盛させている状況、足立さんのクオリティを追求するストイックな姿勢に、久しぶりに本物の職人に会った気がしました。地方のパン屋の成功事例になる可能性がここにあると思っています」と西川さん。そんな素敵なご縁もあって、足立さんのバゲットは日々、バージョンアップしています。
バリッとハードで香ばしく、旨みたっぷりのバゲット

バリッとハードで香ばしく、旨みたっぷりのバゲット

 

ブーランジェリー パティスリー アダチのパン

左端がバトンミエルアマンド

左端がバトンミエルアマンド

バゲットのバリエーションで珍しいものがあります。「バトンミエルアマンド」(390円)。ローストして蜂蜜をからめたアーモンドがゴロゴロと入った、ほのかに甘いバゲットです。
パリ仕込み、パンのセレクトショップ的ラインナップ

パリ仕込み、パンのセレクトショップ的ラインナップ

ほのかな甘さといえば、ロデヴ生地の「ミエル」(480円)も珍しい。ルヴァンリキッドを用いたロデヴ生地に蜂蜜を入れたもっちりとした生地のパンです。年に二回は勉強のために渡仏している足立さんがパリで仕入れ、再現した味に出合えるのも、このお店の人気の理由のひとつかもしれません。
クロワッサン

クロワッサン

クロワッサン(280円)はこの7月の渡仏でバージョンアップしました。自家製のミルキーなルヴァン種で発酵をとる特殊な製法はピシャール仕込み。足立さんがパリで一番好きだというお店です。モードなパンが増えてきているパリにおいてピシャールは、古典的でシンプルなパンを大切にするお店なのだそうです。
クロワッサンの断面

クロワッサンの断面

クロワッサンは美しい折り込みの層にレスキュールの発酵バターのフワッと芳醇な香り、繊細なサクサク感、メリハリの利いた味わいがあります。
ブール ロマラン

ブール ロマラン

自家栽培のローズマリーをトッピングした「ブール ロマラン」(1/4 400円~)はフランス産の石臼挽き小麦粉、全粒粉、ライ麦粉入り。湯種製法によるもっちりとした食感のブールで、クラストは粉に含まれる糖分がキャラメリゼされたような濃い味わい。そこにローズマリーが香ります。
パンドカンパーニュ

パンドカンパーニュ

パンドカンパーニュ(500円)は石臼挽き粉、全粒粉、ライ麦粉に栗粉も少し。粗い食感かと思いきや、92%もの多加水でしっとりもっちり、クラストも硬すぎず、食べやすいカンパーニュです。
パンドミ

パンドミ

パンドミ(380円)はパリのデルモンテルで作っていたレシピ。ヒキが少なくしっとりとしてスライスしやすく、サンドイッチにとてもよさそうです。普通の食パン生地の1.4倍ほど生地量が多いので、そのぶん重量があり、湯種によるもっちり感がある食パンです。
カシスマロン

カシスマロン

カシスマロン(480円)はフルーティ。カシスピュレを練りこんだ紫色のライ麦パン生地にはバターやミルクも配合しています。贅沢に使われた渋皮栗、オレンジピールの香り、マカダミアナッツの食感が存分に楽しめます。
セーグルフランボワーズピスターシュ

セーグルフランボワーズピスターシュ

さらに濃厚にいろいろ入ったものが好きな人にはフランボワーズピュレ、ドライイチゴ、クランベリー、ホワイトチョコ、ピスタチオ入りの「セーグルフランボワーズピスターシュ」(470円)やマンダリンオレンジのピュレを練りこんだライ麦パンにオレンジ&レモンピール、ドライリンゴ、ドライパイナップル、マカダミアナッツ、クランベリー入りの「マンダリンオレンジのセーグルフリュイ」(450円)がおすすめです。
シンプルでオーセンティックなサンドイッチ

シンプルでオーセンティックなサンドイッチ

小さなカフェスペースも

小さなカフェスペースも

1時間以上車を走らせて来るお客さんが9割を超えるので、お店では朝からサンドイッチ10種類を含む全商品を揃えているそうですが、午前中に売り切れてしまうこともあるそうです。

パンをたくさん作りたくともひとりでは限界があり、山の中ゆえ人手が足りず、というところが足立さんの目下の悩みです。ブーランジェリー パティスリー アダチでは今後より理想的な運営をするために、足立さんのサポートをしてくれるブーランジェと、シェフパティシエを募集しています。
ブーランジェリー パティスリー アダチ

ブーランジェリー パティスリー アダチ


ブーランジェリー パティスリー アダチ【伊豆】
住所:伊豆市湯ヶ島2860-2
電話:0558-85-0901
営業時間:8:00~18:00 売切れ次第終了 月火定休
Yahoo!地図情報
東海バス岩尾バス停前

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