高級マンション/高級マンション選び

東京で「土地」を資産として持つ

マンションの値上がりが関心を集めている。利便重視の傾向は今後も続きそうだ。一方で戸建てや土地の相場はどうなっているのか。市場が注目する前にその選択肢をあらためて検討してみよう。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

高級マンションガイド

 

マンションにおいて行かれた「一戸建て」

読者の皆さんは「不動産価格指数」なるものをご存じだろうか。これは国土交通省が、全国の不動産価格を毎月算出し公表しているデータだ。本来、不動産は一つ一つ条件が異なるが、これを「同一品質の物件」とみなし、市場動向の「変化の把握」を目的としている。2012年8月に試験運用開始、2015年3月本格運用。スタートしてまだ2年ほどである。
不動産価格指数 推移

不動産価格指数 推移


住宅分野では「住宅総合」「住宅地」「戸建住宅」「マンション(区分所有)」の4つ(戸建住宅は新築と中古を含むが、マンションは中古のみ)。2010年の平均を100とする。

上のグラフは東京都の推移。マンションが突出しているが、都市部ではこの傾向が顕著だ。相続税対策としての需要の増加、利便性重視、世帯人数の減少、段差が少なく断熱性にも相対的に優れたマンションの引き合いが際立っている。

最新(2017年2月)の指数では、住宅総合が「119.5」、住宅地が「114.0」、戸建住宅が「105.0」、マンションが「133.7」。その差もさることながら、マンションの伸びを見るにつけ、上物のある戸建てが更地より伸びていないというのも不思議な現象ではないか。戸建住宅の価格がマンションにおいて行かれた、といっても過言ではない。マンションに比べ、そこまで戸建住宅の引き合い(需要)は減退しているのだろうか?

一戸建ての魅力、再確認

採光に恵まれ、立体空間が魅力の一戸建て

採光に恵まれ、立体空間が魅力の一戸建て

たしかに世の趨勢は、経済合理性にも優れたマンションに分があると思う。スケールメリットは個の力ではいかんともしがたく、都市の景観が良くなるほど、高層での暮らしは快適性は増すばかりだ。

しかし、(「高級マンション」のなかでこういう解説もおかしいかもしれないのだが)「メディアのバイアス」がかかっているのではないかと思うこともある。バイアスとは「圧力」ではなく「露出量の多さ」だ。

新築マンションの宣伝量は戸建ての比ではない。総戸数100戸以上のプロジェクトが珍しくないなか、建物付き分譲地でそのようなスケールは皆無(相当郊外に行けば別かもしれないが)。事業費の一定割合で広告枠が組まれるため、バナーやチラシは自ずとマンションを目にする機会が多くなる。

竣工後も情報が多い。仲介会社が自社サイトの集客を図るため、個別マンション棟の情報を充実させる。例えば、SEO対策として都心のシンボリックなタワーマンションの画像や概要、説明テキストをネット上で整備するといった手法だ。一方、大邸宅が居並ぶような街でさえ、戸建住宅の独自コーナーが設けられるようなケースは見ない。

つまり、一戸建ての魅力が語られる場面が相対的に少ないということだ。これが不動産価格指数に影響しているかどうかはわからないが、一戸建ての良さをアピールする場がもっとあっても良い気がする。

駐車場スペースがあれば「駐車場代は不要」。「ペットが自由に飼える」。「リフォームも自由」。すぐにイメージできる一戸建てのメリットだ。まだある。第一に建物が独立している利点は大きい。上下、隣の音の問題とは無縁。採光通風のメリットも計り知れない。例えば「水回りの窓がいかに気持ちの良いものか」。第二には外構の工夫が挙げられる。DIYやガーデニングは戸建てならではの楽しみである。自然や季節を感じながら暮らせる日常が戸建では当たり目に。

マンションにはマンションの良さが、戸建てには戸建ての良さがある。均等に認知されていれば、冒頭の価格差は「戸建指向の購入検討者にとっては買いやすい環境」に映るのではないかと思うのは私だけだろうか。情報不足が影響しているなら、今のうちに「土地や戸建てを資産として持つ」選択肢は十分検討に値するだろう。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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