『加熱式タバコ』は、健康・美容面にどんな影響があるのか?
タバコは「百害あって一利なし」
さて、この加熱式タバコは新型電子タバコとして注目され、「普通の煙草より害が少ない」「受動喫煙の心配もない」という言われる事がありますが、果たしてそれは本当なのでしょうか?
日本禁煙学会に所属し、禁煙外来も行う医師でもあるガイドが、知っているようで実はよく知らない「加熱式タバコ」について、解説していきたいと思います。
なぜ加熱式タバコが日本で普及したのか?
なぜ加熱式タバコが日本で普及したのか?
そんな中、「害が少ないタバコ」という宣伝文句で、2015年9月に国内初めての加熱式タバコ『アイコス(IQOS)』が販売され、肩身の狭かった喫煙者から注目を浴びることになりました。
煙やニオイが出ないということで、加熱式タバコは、「受動喫煙の心配もない、周りに迷惑をかけずに吸える」という見解で、多くの喫煙者の心をつかんだのです。
加熱式タバコの仕組みとは?
加熱式タバコの仕組みとは?
通常の紙巻タバコとの大きな違いは、火をつかっていない点にあります。しかし、本体の中ではヒートスティックと言われる小さなタバコが、約300度の熱を発している加熱ブレードと言われる部分で加熱されます。
その際に、プロピレングリコールやエチレングリコールが気化し、すぐに冷えて蒸気になります。これがいわゆる「ベイパー」という煙のようなもの。煙草の煙とではないものの、けっして「水蒸気ではない」ということを覚えてください。
ニコチンも十分な量が気化され肺から吸収されるため、脳のニコチンレセプターに吸着して満足感が得られるという仕組みなのです。
加熱式タバコは本当に健康被害が少ないのか?
加熱式タバコにも有害物質は含まれています
「タールなどの有害物質を9割削減した」と言われていますが、加熱式タバコの詳細や成分も厳密には公表されておらず、有害な部分があるのではないかというのが、ガイドも所属している日本禁煙学会での見解です。
“タール”とは、発がん性物質を含む、黒褐色の油状液体で、一般的に「ヤニ」と言われているものです。確かに、加熱式タバコは火を使っていないので、一酸化炭素はほとんど発生しません。ですが先ほど説明したように、ただの水蒸気が出ているのではなく、発がん物質を含む気体が発生しているといえるのです。
実際に、「化学物質過敏症」の人の中には、加熱式タバコの近くにいることで頭痛や平衡感覚が麻痺してしまったという人もいます。
加熱式タバコのニコチン量は?
加熱式タバコのタールの説明をしましたが、「ニコチン」の量はどうなのでしょうか。「ニコチン」は、タバコに含まれる依存性のある物質のことで、タバコがやめられないのはこのニコチンが原因になっています。ニコチンが脳に作用することで、脳が落ち着く、リラックスすると勘違いしてしまっているのです。
一般的に、喫煙者は「イライラするからタバコを吸って気分を落ち着かせる」と思われていますが本当は逆で、「タバコを吸うからイライラする」のです。紙タバコを加熱式タバコにしたところで、この悪循環は変わりません。加熱式タバコにも、ニコチンは含まれているためです。
しかし、加熱式タバコのニコチン量は、公表されておらず、紙タバコと比べて削減されていません。
加熱式タバコは、長所と言われている部分だけがクローズアップされる事が多く、「安全で健康的」というイメージを持っている人は多いと思います。しかし実は通常のタバコより安全だとは、現時点では言い切れないことを認識していただきたいです。
加熱式タバコの美容への影響は?
健康面・美容面のために禁煙を!
加熱式タバコには、タバコの三大有害物質のひとつ一酸化炭素はほとんど含まれませんが、その他のふたつ「ニコチン」、「タール」をはじめとした200種類以上の化学物質が含まれます。
なので、通常のタバコで起こる皮膚への害である「くすみ、シワ、たるみ」、「プリンプリップ」などが起こることが危惧されます。よって、「加熱式タバコだから美容への影響がない」という考えは正しくありません。
健康・美容のために、禁煙するのが一番
タバコ会社は、喫煙者が減少傾向にある昨今、「加熱式タバコ」で巻き返しを図ろうとしているのでしょうが、健康、美容のことを考えれば、きっぱり禁煙するのが一番です。とは言っても、「ニコチン依存症」になってしまっている場合は、自分ひとりでタバコを絶つのは難しいのが現実です。ガイドのクリニックをはじめ多くの病院で、保険適用の「禁煙外来」もあるので、専門医に相談するのもよいでしょう。
「禁煙は愛から」、この言葉を合言葉に、喫煙者は禁煙を、非喫煙者は一緒に禁煙普及活動を広めていきましょう。
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