パートタイマー(短時間労働者)の社会保険の仕組みを整理する
パートの社会保険の適用が拡大になっています
改正の趣旨は、大きく分けて2点です。
ひとつは正社員との格差の是正です。労働者でありながら社会保険の恩恵を受けられない非正規社員をできるだけ減らしていこうというものです。
もうひとつは少子高齢化が加速するなか、特に女性の就業意欲を促進し、人口減社会に備えようというものです。
パートタイマーは、働く時間で社会保険(社保)の適用となるか否かが決まります。法改正前の9月30日までは、正社員の労働時間のおおむね4分の3以上働くパートタイマーが、社保の加入対象でした。たとえば、正社員が週40時間働く会社では、週30時間働くパートタイマーが社保の対象となっていました。
今回の改正では、週の所定労働時間が20時間以上であれば、正社員の労働時間の4分の3未満でも、社保加入となる場合があります。
従業員501人以上の企業であれば、社保の対象に?!
今回から、新たに社保の対象となったのは、以下の条件全てにあてはまる方です(1) 1週の所定労働時間が20時間以上である
所定労働時間は、就業規則や雇用契約書などで確認してください。残業手当、休日出勤手当、深夜手当、皆勤手当などは含まれません。
(2) 1ヶ月の賃金が88,000円以上である 。
88,000円×12カ月=105万6,000円となることから、「年収106万円の壁」と呼ばれます。しかしこの表現は正しくありません。88,000円以上という賃金額は、年収ではなく、あくまでも月収で判断されます。このため「年収130万円の壁」のように、年末が近づくと壁を超えないようにと、働く時間を調整する必要はありません。
ちなみに「年収130万円の壁」とは、年収が130万円を超えると配偶者の扶養から外れてしまうという壁のことです。
(3) 勤務期間が1年以上見込まれる
契約更新等により1年以上雇用された実績がある場合や、雇用契約書に契約が「更新される旨」または「更新される可能性がある旨」が明示されている場合も、「勤務期間が1年以上見込まれる」に該当します。
(4) 勤務先が従業員501人以上の企業である。
ただし平成31年10月以降は500名以下の事業所にも適用が拡大される予定です。
なお昼間学生は今回の適用拡大の対象外です。夜間学生や休学中の学生で働いている方は対象となります。
ダブルワークの場合は注意が必要
パートでもA社とB社の2か所で働いている場合は、それぞれの勤務先で要件を満たすかどうかを判断します。たとえばA社が月収9万円でB社が月収1万円の場合、A社では対象になり、B社では対象にはならないということになります。A社が月収8万円でB社が月収1万円の場合、A社でもB社でも社保の加入対象にはなりません。
では、A社とB社の収入を加算して130万円を超えている場合はどうなるのでしょうか? この場合は配偶者の扶養から外れることになります。扶養からはずれるにも関わらず、社保加入の対象とならない場合は、ご自身で国民年金・国民健康保険に加入しなければなりません。
「106万円の壁」と「130万円の壁」は、全く異なる壁です。整理して覚えておいて下さい。
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