中国緑茶の最高峰 「西湖龍井(さいころんじん)」 新茶上市!
春、浙江省杭州市の西湖の周りにはたくさんの「新茶上市」の文字が現れます。「上市」は「市場に出回る」という意味ですから、「新茶が出ました」ということですね。日本でも「新茶」と聞くとなんとなくワクワクするものですが、ここ西湖周辺で作られる「西湖龍井(さいころんじん/xi1 fu2 long2 jing3)」の新茶の声は、毎年沢山の中国茶好きの心を動 かします。春、西湖の周辺のお茶屋さんには「新茶上市」の文字が並びます。
清の時代、西太后は自分専用の茶樹を持ち、毎春、都までこのお茶を届けさせていたとも言われています。また、現代の中国でも春先に上等な西湖龍井を手に入れることがちょっとしたステイタスにもなっているようです。
西湖龍井を掲げるお茶屋さんも多い。
上等なお茶はいつ摘まれるの?
このお茶を飲まなければ春が来ない!と新茶を待ちわびるファンも多い西湖龍井。毎年、初摘みかいつだったかというニュースも流れます。西湖龍井の茶摘みは、だいたい3月中頃から始まり、遅いところでは5月まで続くこともあります。その中で「極上品」と言われるお茶は、二十四節気の一つ「清明節(4月5日頃)」の前に摘まれたお茶とされています。3月から4月初旬に摘まれる小さな新芽だけで作られたものが極上ということですね。この時期に摘まれたお茶は、それを表す為に名前に清明節の「明」とその「前」を意味する「明前(めいぜん・みんぜん)」という文字が付けられて売られることが多いものです。例えば「明前梅家塢龍井」となれば、清明節より前に人気の茶区「梅家塢(ばいかう)」で作られた龍井茶(ろんじんちゃ)ということになります。こうなると、とても人気があり値段も高くなるというわけです。
明前の梅家塢から現地レポート
今年(2016年)は、清明節前にその梅家塢の農家さんへ行く機会がありましたので、「明前梅家塢龍井」の作り方とその魅力をたっぷりとご紹介したいと思います。良いお茶が出来る畑は急な斜面。 小さな新芽だけを手で一つ一つ摘み籠に入れていきます。
龍井茶を買いに来た車の渋滞の中を歩く茶摘みの女性達。風情があります。
新芽です。春先に芽吹く美しい緑色の新芽を見ると、いつもその力強さに驚かされるものです。
美しい西湖龍井茶の新芽。春を感じます。
籠などに広げて少しだけ放置します。
次はいよいよ龍井茶の大事な工程「釜炒り」と美味しい龍井茶の飲み方についてです。