2015年11月度、初月契約率82.1%
いま首都圏の新築マンション市場は好調なのか、それとも不調なのか。不動産経済研究所が毎月発表する「初月契約率」は70%が好不調のラインといわれている。2015年9月度「66.0%」10月度「68.8%」、2か月連続でその境界線を下回った。しかし、11月度は「82.1%」。80%超えは非常に高い数字といえる。上のグラフをご覧いただきたい。第二次安倍政権発足後、初月契約率は80%前後(2013年)の「絶好調」ともいえる実績を残した。「インフレ期待」が資産(株や不動産)に注目を集めたわけだ。この時期と比べると、消費増税後は明らかに全体として売れ行きが鈍化している。ここ2年の市場動向の理解としては以下の様な見方が実態に即しているだろう。
アベノミクスによる大胆な金融緩和で不動産購入、投資が活発になる。分譲マンションもその波に乗った。ただし、対象エリアは都心、城南等近郊のみ。円安による買いやすさで海外投資家も積極的に参画。相続税改正で資産の組み替えニーズも沸き、都心部は異常なまでに値上がりした。2015年最高額「パークコート赤坂檜町 ザ タワー」@900万円台が典型例。一方、郊外へは波が及ばず。普及帯物件は、アベノミクスによる恩恵よりも建築費高騰と消費増税の「二重の負」が強く出る。
折れ線グラフの激しい上下の動きは、都心部「高額・大規模・好調」物件が売り出された月は数値が上目に出るが、それがない月は下振れする。実際、11月度は前出の「パークコート赤坂檜町ザタワー」1期125戸が即日完売としてカウントされている。平均価格はじつに2億6278万円である。1つのプロジェクトの影響の大きさがご理解いただけるだろう。
供給戸数減少が価格上昇圧力に!?
不動産経済研究所データをもとにMH3作成
上のグラフには、約四半世紀の間、首都圏でどれくらいの供給戸数があったか、年ごとに記されている。1994年から約8万戸の大量供給が10数年続いたわけだが、その後は4万戸台に戻った。
都心回帰が社会現象のひとつになり、利便の良い暮らしへのあこがれが浸透。環境面での改善は劇的ともいえるもので、幹線道路や駅前でさえ、住む場所の対象地となった。富裕層も増え、希少性の高い都心物件はこれからも高騰しそうな勢いだ。首都圏のマンション市況を読む際は、こうした「需要と相場の突出した都心エリア」の動向に大きく左右されることを十分理解して、判断材料にするべきだろう。
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