2019年は、果たしてマンションの買い時と言えるか?
2018年は、マンション価格の上昇が全国へと波及した年でした。中でも東京の都心部は、稀少立地で分譲坪単価が800万円を超えるような高額物件が相次ぎ供給されました。郊外エリアへも価格上昇の波が波及。埼玉県、千葉県、神奈川県といった周辺都市も駅前立地の価格の上昇が鮮明です。 新築マンションの価格上昇にともない中古マンションの価格も上昇が続いています。公益財団法人東日本不動産流通機構発表の首都圏不動産流通市場の動向(2018年)によれば、首都圏の中古マンションの成約件数は37,217件(前年比0.3%減)となり4年ぶりに前年を下回ったものの3年連続で37,000件台の高水準を維持。成約物件価格は、3,333万円(前年3195万円から4.3%上昇)6年連続で上昇しています。2019年も価格上昇トレンド。供給戸数は横ばい、金利は低水準
最近の地価トレンドや施工費の高止まりを考えると2019年も価格上昇のトレンドは、続きそうです。これからマンションを検討する人がリーズナブルにマンションを購入するのは、至難の技と言えるかも知れません。一方で、日銀の金融緩和策と金融機関間の住宅ローンの貸し出し競争もあり、住宅ローンの金利水準は極めて低い水準が続いています。住宅ローン控除が利用できれば当初10年間は、実質的な金利負担がなく恵まれた購入環境であることに変わりはありません。また、価格が上昇トレンドと言っても地域ごとでの差もあり、値頃感あるマンションや商品性の高いマンションの供給も2019年は続いています。2019年のマンション市場を考えてみましょう。市場に影響をあたえる要素として2019年10月に控えた消費税の引上げがまず挙がります。引渡しが2019年10月以降になるマンションが経過措置で消費税8%で購入できる期限が2019年3月末。引上げ幅は、建物価格に対して2%です。まず押さえておきたいのは、住宅の場合は建物部分であり土地には消費税がかからないという点です。例えば税別4000万円(土地価格2000万円 建物価格2000万円)のマンションは、消費税8%時点の税込み価格は、2000万円+2000万円+2000万円×8%=4160万円。これが消費税10%に引き上げると、2000万円+2000万円+2000万円×10%=4200万円。税込み価格は40万円アップします。建物価格が大きければ大きければ税込み価格の上昇幅が大きくなり、建物価格が小さければ上昇幅は抑えられます。
分譲価格を決めるのは最終的には需給ですが、コスト面からは2019年の新築分譲マンション価格は、上昇トレンドが続くと見ていいでしょう。では、その中で納得感のあるマンション購入を実現する為に、どんな点を留意すれば良いのかガイドの意見を紹介したいと思います。
2019年のマンション購入5箇条。自分目線で探せば物件の選択肢は豊富に
価格が上昇しているとはいえ、バブルの頃の首都圏のように、全く新築マンションの供給が無くなったわけではありません。自分目線で探すのであれば、選択肢は豊富にあると思います。2019年にマンション購入で成功するための5箇条を次に挙げたいと思います。1.好調物件の継続期をチェックする
1つ目は、好調物件の継続期をチェックすることです。価格が上昇しているといっても、地域ごとに差があります。地価トレンドを見ても、都心の地価がいち早く上昇したのに対し郊外は遅れて上昇。分譲中のマンション価格を見ても地域ごとに開きがあります。数百戸規模の大規模マンションの供給のあるエリアは、完売まで一定期間を要するため相場観が変わっていない場所もあります。大規模マンションの継続期にも、好物件が多く見られます。今後の価格上昇を考えると狙い目ではないでしょうか。
例えば、優れた交通アクセスと相次ぐ再開発で首都圏の人気の街として常連の街になった「武蔵小杉」駅で注目を集めている大規模タワーレジデンス「コスギ サード アヴェニュー ザ・レジデンス」(売主:三井不動産レジデンシャル 東急不動産)。2019年1月中旬時点で資料請求件数が5000件を超え第1期の販売が好調も推移しています。 武蔵小杉駅前の「3丁目通り」のにぎわいを継承する住宅・商業業務・公共公益の3用途一体のプロジェクト。3つの広場や3層のテラスでつながる商業施設は、広場をつかったアクティビティやイベントも開催予定です。 全519邸の住居棟の共用施設も充実していて、水盤やアートのある「エントランスコリドー」、内廊下方式で上質感を感じるエントランスホール、4階のコミュニティラウンジ「&スマイル」にはキッチンやキッズコーナー、DIYコーナーなどがあり書籍を置くスペースもあります。
総計画戸数が約1400戸に上る埼玉県最大級のプロジェクト「SHINTO CITY」も好調物件の一つです(売主:東京建物 住友不動産 野村不動産 近鉄不動産 住友商事 東急不動産)。第1期(1次)の供給戸数は2018年以降首都圏最大となる350戸。資料請求件数は5000件を超え来場者数も1500件を超えています(2019年2月12日時点)。 「さいたま新都心」駅より徒歩5分の土地区画整理された街区の一角に総計画戸数1400戸(一部建築確認未取得)誕生する大規模プロジェクト。京浜東北線に加えJR上野東京ラインで「上野」駅23分、「東京」駅30分、「品川」駅39分の軽快なアクセスです。 約18,800平米の敷地面積を活かし、街区の内側に約2,880平米の中庭とカフェラウンジやキッズルーム、パーティールームなどの共用施設を集約した2階建ての共用棟「センターテラス」を設置。コンビニエンスストア、子育て支援施設などの街区内に入る予定になっています。カフェラウンジは、中庭を借景とするように配置された2層吹抜けのつくりで洒落たホテルライクなつくりで人気を得ているのも頷けます。
昨春スタートのマンションでは、「津田沼 ザ・タワー」が3月3日最終期の登録締め切りと好調です。JR総武線「津田沼」駅直結徒歩4分の地上44階建て全759邸。第1期の販売開始が2018年の3月。今年度中に契約完売となれば1年余りで759戸を販売したことになります(3月11日時点で残4戸)。マンション市況に関しては、価格上昇による契約率の低下など不透明な部分はありますが、ニーズにあったマンションはいつの時代も売れるものです。
比較的堅調な売れ行きは、マンション評価の一つのモノサシでもあります。ぜひ販売好調な大規模物件は、ウォッチしてみて下さい。また、竣工在庫なら引渡しも早く、今の低金利を享受できる可能性も高いでしょう。
2.エリア限定で探す新規デビュー物件は、過去10年と比べてみる
2つ目は、直近の供給との比較ではなく過去10年程度の供給マンションと比べてみることです。特に、予算がある方でエリアにこだわる方は、「そのマンションの違い」に注目してはいかがでしょうか。昨年も、「ザ・タワー横浜北仲」など過去10年を振り返ってもまたとない稀少立地のマンションに人気が集まりました。 分譲価格にもそうした稀少性は反映されてきますが、この年でなければ買えなかったのも事実。ブランド立地だけでなく駅前再開発なども早々何度も行われるわけではありません。予算に余裕があり地域にこだわるなら検討したいところでしょう。今年のラインナップを見てみると真っ先に目が行くのが湾岸最大級のプロジェクト「HARUMI FLAG」です。総開発面積は13万平米超。総計画戸数は、5632戸(分譲住宅街区4145戸、賃貸住宅街区1487戸)と店舗、保育施設、商業施設も設置。各街区の地下に駐車場を配置することで、地上に広々としたオープンスペースを確保。空地率は約50.3%、棟間隔は最大約70m。街区を結ぶ通路を設けるなど光と風を感じるつくりを実現しています。
都市型コンパクトタウンを目指して計画された「プラウドタワー武蔵小金井クロス」も注目物件です。JR中央線「武蔵小金井」駅徒歩3分の地に誕生する全716邸。事前反響は、2019年2月26日時点で2700件超で総来場数も950件超と人気を集めています。 立地は、10年前に「プラウドタワー武蔵小金井」が供給された武蔵小金井駅前の再開発街区の隣接地。地上26階建て・地上24階建てのツインタワーレジデンスで、ショッピングセンターや医療施設、子育て支援機能などの生活利便施設が併設ます。 その他にも、厚木市初の駅直結の再開発プロジェクト「ザ・パークハウス 本厚木タワー」や春日駅直結の超高層再開発として注目を集めている「パークコート文京小石川 ザ タワー」、北千住エリアとしては久々の超高層再開発タワー「千住 ザ・タワー」などが供給されます。こうしたプロジェクトは唯一無二の価値を感じる方もいるのではないでしょうか。
3.予算重視で考えるなら地域を広範囲に検討する
3つ目は、地域を広範囲に検討することです。6,000万円台の予算で70平米程度の広さを相場がアップした都心・城南エリアで探すのはかなり難易度が高いです。こうした予算層は、徐々に城東エリアや城北エリアといった都市近郊部へ検討地域を拡げている方も多く見られます。4,000万円前後の予算であっても地域を拡げれば選択肢も豊富です。交通アクセス重視ならつくばエクスプレス沿線や東武伊勢崎線沿線などは供給も活発です。広範囲に探す際に大切なのは、通勤アクセスや教育環境が求める水準かどうかの確認。子育て環境や通勤時間帯の混雑具合などもよく確認しましょう。一度ぐらいは朝早く起きて、平日の通勤時間帯の電車を体験してみましょう。
4.中古マンションは、相場観を持った上で検討する
新築マンションの価格が上昇する中で、中古マンションを並行して検討する方も多いと思います。その際に留意したいのは、マンションごとの価格目線を慎重に吟味することです。
築5年程度であれば、内部の傷みも大きくないですが、築10年超えるあたりから設備の老朽化も進んできます。思わぬ出費や相場と大きく乖離した高値つかみをしないよう慎重に判断してください。東日本不動産流通機構発表の2019年1月度の首都圏中古マンション在庫件数は、48,796件で前年比プラス5.7%。在庫は、増えつつあるので購入チャンスはあると思います。
5.いつ買うかよりも、どれを買うか、どう買うかを意識しよう
2019年は、消費税の引上げを控えたこともありどうしても気が焦りがちです。確かに良いマンションに出会えるなら、早く買う方がメリットは大きいでしょう。しかし、いつを意識しすぎて納得できる購入が出来なかったら本末転倒です。家族に合ったマンション選びを心掛けましょう。もう一つ重視したいのが、どう買うかです。
自己資金からいくらぐらい頭金を用意するのか?金利タイプはどれを選ぶか?何年返済にするか?…。返済期間が短い方が金利負担は減りますが、低金利の今ならある程度長期に組むことも理にかなっています。その分、学費や将来の備えとして運用することも大切でしょう。共働きで住宅ローン控除を活かすなら、夫婦で最適なローンを組むことも重要です。
また、住宅取得資金贈与の非課税枠の拡充されます。非課税枠は、契約の締結日、住宅の種類、消費税率によって変わり消費税10%の住宅を2019年4月1日~2020年3月31日の間に契約した場合は、非課税枠が消費税8%時の700万円から2500万円(断熱性や耐震性に優れた省エネ等住宅は、非課税枠が3000万円)と拡充されます。 ローンの組み方や税制優遇を活かした購入方法を検討できるのも2019年のメリット。自分でコントロールできる範囲でベストを尽くすのがマンション購入成功の近道だと思います。
希望のマンションを見つけるためには、まずは行動が大切です。物件情報を収集する、気になった物件の資料請求をする、現地を見に行く。一つ一つの行動が、マンション選びのモノサシを提供し、良い決断につながるでしょう。探すべきは、たった一つの家族の住まいです。あきらめずに動けば、2018年出会えなかった理想の住まいがきっと見つかると思います。
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