首都高速中央環状線開通で何が変わったか?

「虎ノ門ヒルズ」から東京湾を望む

「虎ノ門ヒルズ」から東京湾を望む

2015年、都市交通を劇的に変えたひとつに「首都高速中央環状線」がある。湾岸線「大井ジャンクション」と東名高速に通じる「大橋ジャンクション」とを結ぶ地下車道「山手トンネル」である。この新線、実際に走ってみると意外な気付きがあった。湾岸から北上すると、間に出口がない。地図上では首都高目黒線とも交差するがつながっていない。つまり「山手トンネル」は都心内へのアクセス向上を意図したものではなく、放射状に広がる首都圏の広域ネットワーク増強にその目的があることがわかる。

しかし、だからといって都心部に恩恵がないわけではない。いや、どちらかといえば(都心居住者にとってみれば)結果的に都心移動の利便を一層高める効果のほうが優るのではないかと思えるくらい、大きな変化があった。それは、都心環状線の渋滞緩和である。個人的に実感の強いところでは、慢性的に混雑していた湾岸方面から都心環状線に合流する「浜崎橋ジャンクション」の改善だ。頻繁に利用する方々は共感いただけるだろう。

人は、たいてい何かしらの目的があって移動するものだが、交通機関の正確性や途中渋滞の頻度によって、その達成度は少なからず左右される。端的なのはビジネスや旅行だろう。予定通りに行動できるか否かは、広義にその都市の魅力そのものであり、不動産の利用価値にもつながるものである。外国企業の誘致、観光立国を目指す日本にとって、交通整備は避けて通れない条件であり、いずれはマンション相場にも影響するであろうことは想像に難くない。

環状2号線が意味するもの

「ザ・パークハウス 月島ディアスタ」モデルルーム

「ザ・パークハウス 月島ディアスタ」モデルルーム

さて、環状2号線「新虎通り」開通(2014年)が記憶に新しいが、前代未聞の幅員(40m)と「虎ノ門ヒルズ」開業のニュース以外は変化の実感がまだ少ない。問題はこれからだ。2016年、豊洲までの全線開通(予定)が実現すれば、臨海地区はどう変わるだろうか。またそれによって飛躍的に利便が高まるエリアはどこか。

予想できるのは、大動脈の完成によって晴海通りや佃大橋通りの交通量が軽減されること。豊洲、東雲エリアの再開発で慢性的に渋滞していた晴海通りの改善は期待するところ大。交通量の緩和は同エリアの住民にも快適であるばかりか、物流施設に代表される土地の利用価値向上に発展する可能性もある。

晴海通りといえば、銀座地区も沿道である。外国人旅行客がこれまで以上に行きやすくなれば、界隈の店舗の売上向上にもつながるだろう。つい最近、大手デベのトップが記者懇親会で銀座のビルが驚くような高値で取引されたことに触れていたが「地価が先行している」とも受け取れる。

バス交通の利便にも期待が高まる。現状のような混み様では「時間が読めない」と思っていた人も新線開通で日々の交通手段が変わるかもしれない。もとよりアップダウンが少ない地形で、東京、銀座、日本橋といった街に程近いロケーションの臨海地区は自転車との相性も良い。ライフスタイルを変える可能性も否定できない。

利用価値が高まる場所、立地

「ザ・パークハウス 築地入船」モデルルーム

「ザ・パークハウス 築地入船」モデルルーム

この秋、都心城南エリアを取材して、市場の変化を実感した。高額市場の細分化、相場変化とその影響の差、買い手の多様化などだ。今回触れた「銀座~湾岸エリア」では「ザ・パークハウス 築地入船」「ザ・パークハウス 月島ディアスタ」を見学した。

2キロと離れていない2物件だが、来場傾向がまったく異なることに驚かされた。というのも「ザ・パークハウス 築地入船」では世帯構成を問わず、「銀座エリア近接に高い関心を持つ人」が中心であることに対し、「ザ・パークハウス 月島ディアスタ」では「マイホーム需要のファミリー世帯」が多くの割合を占めていること。

個人の資産形成に対する意識は高まるばかりだ。「駅距離」だけでなく、交通インフラの整備や再開発などによる「エリアや街の将来性」、広域交通ネットワークによる「物流や住環境の変化」、現地周辺の用途を見込んだ「日照、眺望の確保」など多面的に評価をして判断する人が増えた印象がある。それもここ1~2年の特徴といえるだろう。ダイナミックに変わる都市は、これからどのような相場を形成をするのだろうか。

【参考サイト】
All Aboutで執筆した三菱地所グループの取材記事一覧
タワーマンション購入者の思わぬ誤算


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。