「Senbei Brothers(煎餅ブラザーズ)」
以前ご紹介した「江戸久寿餅」の「山信食産」の小山さんから、「地元にカッコいい煎餅を作る兄弟がいる」と教えてもらったのが、「Senbei Brothers(煎餅ブラザーズ)」。縁の下の力持ちに徹してきた煎餅工場。初の小売りブランドで真価を発揮します。「笠原製菓」、初の小売りブランド「Senbei Brothers」
1960年創業、東京・江戸川区船堀の「笠原製菓」。国産米にこだわる米菓OEMメーカー(発注元のブランドで販売される商品を製造するメーカー)として、55年間、百貨店等で販売される高級路線の煎餅の、受注生産を行ってきました。現在会社を守るのは、笠原兄弟。祖父が立ち上げ、父、叔父へと受け継がれた工場を兄弟で継ぎ、兄の健徳(かつのり)さんが経営全般を、弟の忠清さんが煎餅作りを担います。2014年9月に会社を継ぐまで約20年、デザインの仕事に就いていた兄・健徳さん。叔父の引退による工場閉鎖の危機に際し、後を継ぐことを決めたそう。品質で勝負してきた同社にとって、価格競争に巻き込まれがちな受注生産だけでは難しい時代。社長就任後、すぐに、初の小売りブランド「Senbei Brothers」を立ち上げました。
Senbei Brothersのコンセプトは、「せんべいを、おいしく、かっこよく」。「シンプル・イズ・ベスト」をベースに、デザインも、コスト面も無駄も省き、多くの人のライフスタイルに共存できる煎餅を目指しています。
「Senbei Brothers」ザラメ煎餅に見るこだわり
「Senbei Brothers」の煎餅は、ロゴ入りの窓付きパックに入ります。クラフトパックの温かな表情が、人の手で作られた煎餅なのだと伝えているよう。パックは、自立タイプでジップ付。デザイン性と実用性を兼ね備えています。サクサクパリパリ。小気味よい食感は、薄焼き煎餅を、火の入りの良い厚焼き用の釜で焼いているため。様々なフレーバーの中に、米の甘さと香りも感じられ、飽きのこないおいしさです。
フレーバーは20種類強あり、バター醤油や甘辛七味、極みワサビに黒コショウ、バジルなど、おつまみにも向くフレーバーもたくさん。コストがかかるため、OEMでは実現できなかった自信作も並びます。
中でも私のおすすめは「ザラメ」シリーズ。一般的に、ザラメ煎餅は、作業性を重視し、水飴でザラメを付着することが多いそうですが、それでは甘くなり過ぎるからと、Senbei Brothersでは、水飴を使わず、醤油にとろみをつけ、自然な粘着力を活用し、ザラメを付着させています。手間はかかりますが、ザラメは薄付きになり、甘さはあっさり。ベースのしょうゆダレとのバランスも良く、何枚でも食べたくなります。秋冬限定の「柚子ザラメ」もお見逃しなく。
「Senbei Brothers」の煎餅づくり
Senbei Brothersの煎餅を「焼く」作業を拝見。OEMメーカーと聞き、オートメーション化された工場で、大勢の人が働く様子を想像していましたが、弟の忠清さんが、ほぼ一人で煎餅作りを行っていてビックリ。まずは、原料米や天候により変化する生地の状態を確認し、水分を蒸発させるための「ホイロ」の加減を見極めます。
1枚1枚網に並べて焼き上げます。火の入りの良い厚焼き用を使うと、パリッ、サクッと香ばしく焼き上がります。
味付けは最後に。タレは熱いうちに染み込ませます。
かしこまり過ぎず、カジュアル過ぎず、大きさも価格も、ちょっとした差し入れにぴったり。「せんべいを、おいしく、かっこよく」をコンセプトにデザインしたパッケージに惹かれ、今まで煎餅が身近ではなかった人たちも手に取っている様子。
職人歴の長い弟・忠清さんの作る煎餅の味には自信があると兄・健徳さん。健徳さんがアイデアを出し、弟・忠清さんが形にするSenbei Brothersの煎餅は、何よりその味わいでリピーターを呼んでいます。最初はパッケージで選んだ人たちが、その美味しさからファンになり、地元の常連さんや、SNS等を通じて口コミで人気が拡大。百貨店等への催事に次々呼ばれ、10月にスタートしたばかりのネットショップには、既に全国から注文が入っているそうです。
食べる人は作った人の顔が分かり、作る人は食べる人の顔が見える。OEMではできないこのことが、今、大きな魅力なのかもしれません。
<店舗情報>
■ 「Senbei Brothers」(ネット通販あり)
所在地:東京都江戸川区船堀7-6-16
都営新宿線「船堀」駅より徒歩約9分
電話:03-3687-2495
営業時間(工場直売):9:00~17:00
定休日:土・日・祝日
地図:Yahoo!地図情報へリンク
■船堀駅 催事販売
場所:都営新宿線 船堀駅 改札前
日時:不定期(常時Facebookでスケジュール更新中)