“100年にひとりのダンサー”といわれることについて、どう思われますか?
ギエム>今まで努力してきましたので、そのように言われるのは嬉しいですね。自分の感じることを言葉で伝えるのはとても難しいことですが、舞台が終わると拍手からお客さまの感謝の気持ちが伝わってきて、いつも幸せな気持ちになります。『聖なる怪物たち』2009年 シルヴィ・ギエム&アクラム・カーンカンパニー 撮影:長谷川清徳 写真提供:日本舞台芸術振興会
ダンスを愛してきたギエムさん。好きでなくなる瞬間はこれまで全くなかったのでしょうか?
ギエム>そんなことはありません。毎日“明日辞めよう”と思っています(笑)。トレーニングはとても辛いし、楽しいことばかりではありません。ただやはり、最終的には喜びと幸福感があります。振付家との関係やお客さまとの強い関係は豊かな経験になりますし、そうしたことを考えると日々のトレーニングであったり身体の痛みであったりという小さなことはどうでもよくなってしまいます。(C) TOKIKO FURUTA
現在50歳です。ダンサーとして年齢をどう受け止めていますか。
ギエム>私は昔から年齢という概念が全くありませんでした。マダムと言われる日まで、年齢のことを考えたことがなかったんです。成長してるな、大人になっているんだな、とそこで感じました。そういう状態でずっときているような気がします。とはいえ少し外向的になったというか、あまり激しく反論しなくなったり、成長して大人になった部分はあるかもしれません。ただ、年齢を感じていないという部分は変わっていないような気がします。でもスイスのある税関に勤めていたひとに“あれ、まだ踊り続けているんですか”と言われたことがあって、そのときは私も年を重ねているんだなと感じましたね。“シルヴィ・ギエムってまだ生きてるんだ”と言われる前に、引退したいと思います(笑)。
(c) The Japan Art Association/The Sankei Shimbun