2015年末での引退を発表されています。今後はどのような活動をする予定ですか。
ギエム>今後のことはわかりません。挑戦したいことはありますが、それが上手くできるかわかからないという意味です。やりたいことはたくさんあって、アーチェエリー、陶芸、太極拳……などなど。取りあえずひと呼吸おいて、少し一歩引いたところから人生を見て考えるつもりです。11歳の頃からずっと踊り続けてきて、いま50歳です。ダンスのない、舞台のない人生がどういうものなのか私には全くわかりません。ダンスがなくなった人生がどういったものかということを少し考える時間が必要だと思っています。
(C) TOKIKO FURUTA
私の野望は地球を救うこと。到底ひとりでできることではありません。私にとって、現在の考えに至る大きなきっかけになったひとつの物語があります。それをお話ししたいと思います。
あるところに森があり、火事で燃えている。野生生物はみな慌てて逃げようとしています。でもその森に住んでいる一番小さなハチドリという鳥だけは、勇敢にも逃げずに一滴ずつくちばしで火を消そうとしては、水を汲みに行き、また一滴ずつ火を消そうと頑張っていた。動物たちは“そんなことをしていないで逃げなきゃ駄目じゃないか”と言うけれど、ハチドリは“自分にできることをしたいんだ”と言う。
私もこのハチドリのように、今後は自分にできることをしていきたいと思っています。世界が今危機的な状況にあると気づき、ベジタリアンに転向したりと、自分の生き方を変えてきました。人間は本来ひとつの大きなバランスの中で生きています。バランスの一部でしかないのに、それを人間が崩そうとしている。
地球や動物たちのためにも、使命を持って活動していきたい。それは人類が生き伸びていくために必要なことではないかと考えています。そうした活動を通して、それぞれにとってできることがあるということを伝えていきたいと思っています。
(C) TOKIKO FURUTA