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『En Piste』ダニエル・ラリュー インタビュー!(5ページ目)

ドミニク・ボワヴァン、パスカル・ウバン、ダニエル・ラリュー。1980年代にフランスで生まれたヌーヴェル・ダンスを牽引してきた3者が、『En Piste-アン・ピスト』をもって来日を実現! お馴染みのフレンチ・シャンソンとともに、かつてないエスプリの世界を描きます。ここでは、出演者のひとり、ダニエル・ラリューにインタビュー。作品への想いについてお聞きしました。

小野寺 悦子

小野寺 悦子

バレエ ガイド

ダンス専門誌、劇場・カンパニー広報誌、公演プログラム、ウェブなどで執筆するほか、舞台・映画などエンターテインメント全般のインタビュー&執筆など幅広いジャンルで活動している。

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同じ時代を生き抜いてきたこの3者で、今舞台に立つ意義、想いとは?

ダニエル>政治的な行為とも言えますね。60歳前後となった私たち3人にとって、踊ることは社会問題に参加することであり、高齢化社会に眼差しを向けることです。自分たちのことを「年を取った」なんて意識することはないし、若い頃より鈍くなった身体を厄介払いするような若者賛美を感じている訳でもありません。

私が1980年代に踊っていたときは、世界に対して身体の民主主義を示す目的がありました。誰もが踊る可能性や能力を持っていると考えた、無邪気な試みだったかもしれません。とにかく、誰もがどこかでダンスを実現する可能性がありました。ダンスが消費されている今日の状況は、そうしたことを私たちに忘れさせていますが、だからこそ私たちは喜んでこの身体で相変わらず踊っているという訳です。でも高齢者が活躍しているという点においては、日本はより進んでいますよね。

ダンサーの円熟味は70代から出てくると考えています。私たちはそのために、まだまだやり続けなければなりません。

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『En Piste-アン・ピスト』(C)Frank Boulanger


60代を迎えようという今、なお精力的な活動を続けている、その源となるものとは何でしょう? 

ダニエル>やはり好奇心です。演技者として、演出家として、あるいはインスタレーションの造形美術のように、シャンソンをミュージカルで演じるように、劇場にいられるということ……。いつ何時も世界はオープンです。やったことのないことをできるのではないかと想像するのは楽しいですね。
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(c)Benjamin Favrat


最後に、日本の観客にメッセージをお願いします。

ダニエル>もし許されるなら、ダンスが好きではない日本の方々にメッセージを送ります。

もしあなたがダンスを好きではないなら、それは確かにそうかもしれません。だって、無条件に好きだなんて普通はないことですから。でも期待する余地は必要です。もしあなたがダンスに対して希望を持っていないのであれば、私たちの作品を観に来ないのは自由です。私たち3人が35年以上前から日常的に行っていたこの社会参加がそうであったように、自由こそが大切なのです。

『En Piste-アン・ピスト』を観に来るのは自由ですし、私たちが披露するものを気に入るかどうかも自由です。私たちがあなたと出会う可能性があるかどうかを確かめる時間もあります。ただ、私たちが扉をオープンにしているのを知っておいてほしい。

私たちは桜が花開くころ急に変わったりはしませんし、世界で戦争が起きたとしてもそうです。私たちはあなた方の人生を変えることはないでしょう。でも、私たちはそれでもあなたと出会うために日本で踊ります。そしてラブ・ソングで歌われるリフレインのように、移りゆく季節の中でふと思い出されるようにありたいと願っています。

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『En Piste-アン・ピスト』(C)Frank Boulanger



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