平成27年度に出題が予想される「関連する判例」
最判平成9年11月13日集民第186号105頁期間の定めのある建物の賃貸借においで、賃借人のために保証人が賃貸人と保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解すべきである。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=63043
最判平成8年9月27日民集第50巻8号2395頁甲の債務者乙の連帯保証人である丙の債務を担保するため、丁が物上保証人となった場合において、甲が丁に対して競売を申し立て、その手続が進行することは、乙の主債務の消滅時効の中断事由に該当しない。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52571
最判平成7年3月10日集民第174号811頁物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することができない。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62751
最判昭和62年9月3日集民第151号633頁物上保証人が債権者に対し被担保債権の存在を承認しても、右の承認によつては、債権者と物上保証人との相対的関係においても、被担保債権について時効中断の効力は生じない。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=70465
最判昭和40年6月30日特定物の売買契約における売主のための保証人は、特に反対の意思表示のないかぎり、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても、保証の責に任ずるものと解するのが相当である。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56277
予想問題にチャレンジ
【問 題】時効に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、正しいものはどれか。(判決文)
「主たる債務を相続した保証人は、従前の保証人としての地位に併せて、包括的に承継した主たる債務者としての地位をも兼ねるものであるから、相続した主たる債務について債務者としてその承認をし得る立場にある。そして、保証債務の附従性に照らすと、保証債務の弁済は、通常、主たる債務が消滅せずに存在していることを当然の前提とするものである。しかも、債務の弁済が、債務の承認を表示するものにほかならないことからすれば、主たる債務者兼保証人の地位にある者が主たる債務を相続したことを知りながらした弁済は、これが保証債務の弁済であっても、債権者に対し、併せて負担している主たる債務の承認を表示することを包含するものといえる。」
「保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合、当該弁済は、特段の事情のない限り、主たる債務者による承認として当該主たる債務の消滅時効を中断する効力を有すると解するのが相当である。」
1 主たる債務者と保証人を兼ねる地位にある者が保証人として保証債務を弁済した場合、原則として、その主たる債務の消滅時効を中断する効力を有しない。
2 主たる債務者と保証人を兼ねる地位にある者が保証人として保証債務を弁済した場合、原則として、主たる債務の消滅時効を中断する効力を有する。
3 主たる債務の消滅時効完成後に主たる債務者が当該債務を承認し、その後、主たる債務を相続した保証人がこれを知りながら保証債務を承認した場合でも、保証人は主たる債務の消滅時効を援用することができる。
4 主たる債務者が当該債務の消滅時効完成前に時効の利益を放棄していた場合は、その後、主たる債務を相続した保証人がその旨を知りながら保証債務の弁済をしたときであっても、主たる債務の消滅時効が中断する効力を有することはない。
【解答と解説】
正解:2
1× 問題文にある最高裁判所判決(最判平成25年9月13日)では、「保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合、当該弁済は、特段の事情のない限り、主たる債務者による承認として当該主たる債務の消滅時効を中断する効力を有する」としているので、「消滅時効を中断する効力を有する」方が原則となります。本問は原則と例外が逆になっています。
2○ 保証人が主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の弁済をした場合、当該弁済は、特段の事情のない限り、主たる債務者による承認として当該主たる債務の消滅時効を中断する効力を有します。この表現は、「原則として」時効中断の効力が生ずるという内容になります。
3× 「主債務の消滅時効完成後に、主たる債務者が当該債務を承認し、保証人が、これを知って、保証債務を承認した場合には、保証人がその後主債務の消滅時効を援用することは信義則に照らして許されない。」(最判昭和44年3月20日)とするのが判例です。
4× 時効の利益は、あらかじめ放棄することができません(民法146条)。したがって、問題文の主たる債務者による時効の利益の放棄は効力を生じません。その主たる債務を相続した保証人兼主たる債務者が、保証人として弁済しているので、問題文の判決文にある通り、時効中断の効力を有すると判断できます。
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