満点を狙っている

宅建試験に合格できない理由・権利関係の学習法

遺産分割協議でもめる

権利関係で満点が取れればかなり合格の可能性は高まるでしょう。しかし、司法試験や司法書士試験などの難易度の高い資格試験の学習ですでに民法をマスターしている方なら満点を狙ってもよいのですが、そうでない方は、権利関係で満点を狙うと合格するのに何年もかかってしまいます。

【解決方法】

1.合格者でも5割程度しか正解していない


最近の難問化傾向もあり、宅建試験に合格する人でも権利関係(14問)で7点程度しか正解していないのが実情です。毎年5~6問は一般の宅建受験用のテキストには直接の記述がないところから出題されているからです。「どうせ4割程度はみんな解けない問題だし、間違えても合否に影響しないさ!」と割り切って、頻出分野に絞った学習方法に切り替えましょう。

2.頻出分野を掘り下げて学習する

過去10年間で5回以上出題されているような分野を中心に、メリハリをつけて学習しましょう。以下のものです。

・意思表示(特に「詐欺・強迫」「虚偽表示」「錯誤」)
・制限行為能力
・代理(特に「無権代理」「表見代理」「復代理」「自己契約・双方代理」)
・時効
・物権変動
・不動産登記法
・共有
・建物区分所有法(特に「規約」「集会」「管理者」)
・債務不履行
・売主の担保責任(特に「抵当権付き」「瑕疵担保責任」)
・不法行為(特に「一般不法行為」「使用者責任」)
・保証債務・連帯債務
・抵当権(特に「物上代位」「法定地上権」「消滅請求」「第三者効力」)
・相続
・賃貸借契約(民法と借地借家法の両方から出題)

民法的な思考方法を知らない

「過去問は10年分以上のものをほとんど覚えてしまっているし、模擬試験でもいつも権利関係は満点に近い点数が取れているのに、宅建本試験では点数が取れずに不合格になっています」

何年も不合格になる方の相談を受けると、このような内容のものが実は多かったりします。これは、法律に対する基本的な思考方法が身についていないことで、発展問題に対応できずに正解を導けないことが理由です。

【解決方法】

1.目的から考える

法律はとても合理的に作られています。「目的」が先にきて、その目的を実現するために合理的な「手段」が何か? という発想をもちます。

たとえば、代理制度における「顕名(けんめい)」(相手方に自分が代理人であり本人のために契約を行いますということを事前に伝えること)の「目的」は相手方の保護です。

ですから、もし代理人が契約する際に顕名を忘れたとしても、相手方がそのことを知っていたり、知ることができた場合(悪意・有過失)には、相手方を保護する必要がなくなるので、代理人が行った契約の効果は本人と相手方との間に生じるという結果になります。

このように、法律は杓子定規ではなく、とても合理的な発想で解決方法を模索する道具だったりします。

2.原則と例外を意識する

法律には原則規定と例外規定があります。宅建試験の出題の中心が例外規定からなので、つい原則規定を意識せずに例外規定ばかりを暗記してしまいがちです。これでは発展問題に対応できません。

たとえば、民法そのものの原則には、

1. 私的自治の原則
2. 所有権の絶対
3. 過失責任の原則

などがあります。1の私的自治の原則というのは、自分の人生は生まれや身分では決まらず自分の意思と判断で決めて行けるという近代革命で勝ち取った「自由」という概念そのものです。ですから、民法の中でも、法定相続や時効という制度は例外規定だったりします。それがゆえに、相続では遺言が優先し、時効には援用(主張しなければ時効にはならないという考え)という手続きを必要とするのです。

原則と例外を意識すれば、暗記した知識は頭の中で一気に整理されます。

3.効果から考える

法律学習では「定義」「趣旨」「要件」「効果」を整理して覚えることが全てです。どのような法律系の国家資格試験でも、この4つをマスターすれば必ず合格できます。

特に、法律の条文は「要件」と「効果」から成り立っています。定義や趣旨は条文には書かれていないことが多いです。

要件とは条件、効果は結果みたいなものです。たとえば、民法709条には、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。

・「故意又は過失」
・「他人の権利又は法律上保護される利益を」
・「侵害した」

これが要件です。

・「損害を賠償する責任を負う」

これが効果です。

法律の学習が進むと、つい要件から考えてしまうようになります。法律は常に効果から考えなければなりません。

上記の例では、「損害賠償請求するにはどのような方法があるのかな?たとえば、不法行為の709条が考えられるな。その場合は、…という要件が必要か。または、債務不履行で損害賠償請求することもできるかな?その場合は、…という要件が必要か」という発想です。

このような発想が持てるようになれば、膨大な数の要件を、数少ない効果から整理できるようになります。

具体例(判例)を意識していない

判例を意識していない条文をまとめただけのポイント集だけで勉強すると、権利関係では合格点を取るのが難しくなります。というのは、最近の宅建試験の権利関係では判例からの出題が6割を超えているからです。

【解決方法】

1.基本となる判例を覚える

民法に関する判例の中には、条文に匹敵するくらい重要なものとそうでないものがあります。こういったものを特に「判例法」と呼びます。宅建試験に合格するために最低限必要な判例法は約50件程度あります。この判例法については、できる限り事件とともに判旨(判決の主要な部分)を覚えましょう。

2.最新の判例を覚える

宅建試験では例年2~5年前程度の最高裁判所の判例から1~2問出題されています。ヤマ当て要素が強いものでもありますが、当たれば大きい1点になるので、しっかりと学習した上で試験会場に行かなければなりません。

出題されやすい最新の判例については、また別の機会に紹介したいと思います。

その他権利関係の学習で不合格になる可能性が高いもの

・ヤマあてに依存している

難しい科目なのでついついやってしまいがちです。

・カンに頼っている

リスクがあり過ぎるのでやめましょう。

・実務経験に固執し過ぎている

出題者はあえて実務と法律とで異なるところを出題しています。

・正確な暗記をしていない

理解が進むと逆に「考えれば答えがでる」と自信が付いてきて、重要なポイントの正確な暗記を怠ることがあります。暗記せずに解答を出す場合はどうしても考える時間が必要となり時間が足りなくなります。頻出分野は正確に暗記しておいて早く解けるようにしておきましょう。

・深入りし過ぎている

本当に深い入りして勉強が大好きになった人は高得点で合格します。しかし、中途半端に民法だけが好きになって深い入りすると、他の科目で点が取れず不合格になります。特に直前期は、権利関係よりも宅建業法、法令上の制限、その他暗記科目に時間を割かなければ合格できませんので、注意しましょう。

・一般法の民法と特別法との関係を意識していない

民法は権利能力のあるすべての人に適用されます。このような法律を一般法と呼びます。それに対して、借地借家法や建物区分所有法、不動産登記法は一般法に対して特別法と呼びます。一般法が原則、特別法が例外という関係になり、特別法が優先的に適用されるという関係にもあります。

特別法は、一般法では時代の変化等から解決できない事案に対処するために作られるものです。ですから、一般法を意識せずに特別法を理解しようとすると意味が分からなくなり、丸暗記を強いられることになります。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。