この人についていこう!と思わせる3つのコミュニケーション術とは
メンバーとのコミュニケーション次第でやる気のある組織を創造できる!
佐々木監督はこう言っています。-“女性をうまく扱うことはできないが、女性の意見に耳を傾けて、自分を変えることぐらいならできる”。
佐々木監督は、言いたいことがあったとしても、話を途中でさえぎって自己主張はしないと言います。澤選手が“練習量が多すぎて、みんな疲労がたまって試合では動けなかった”と相談をもちかけたとき。違う考えを持っていた佐々木監督は、話を最後まで聞き、いちど受け止めた上で自分の意見を伝えています。
人には“自分の話を最後まで聞いてほしい”という気持ちが強くあるのではないでしょうか。途中で“いや、そうじゃなくて”と遮られて話されると、結果として相手が正しかったとしても素直に納得しにくいと考えましょう。
2.論理だけでなく感情に訴える
だらだらと諭すのではなく、感情に働きかける表現が効果的です。
“君が決めて勝つんだ!”
準々決勝のオーストラリア戦で、佐々木監督はこう言って、スーパーサブの岩渕選手を送り出しました。これも、これからピッチに入る選手にとって、感情をゆさぶる伝え方です。練習は誰よりもやってきました。だから、論理的な言葉よりもよっぽど彼女は燃えたのではないでしょうか。そして、彼女は決勝ゴールを放つことになります。
論理に筋が通っていれば、それで納得できる人もいるでしょう。しかしながら、論理だけでなく感情に訴えることでより力を発揮できる人もいます。佐々木監督は岩淵選手の性格をよく把握していたのでしょう。正しいことを正しく伝えるだけでなく、気持ちが高まるような感情的な言葉を佐々木監督は使っているのです。
3.ポジティブな言葉に転換して伝える
「おまえたち手を抜いているだろう」-監督をしていると、そう思う瞬間もあるでしょう。でも、佐々木監督はこう伝えています。「もっとできる」「もっと伸ばせる」とポジティブに伝えるのです。
実は伝えたい内容は同じです。「おまえたち手を抜いているだろう」と言われると一部の人はそれを恥じてがんばるということもあります。しかしそうではない人も多いのではないでしょうか。逆にやる気をなくしてしまう人もいるかもしれません。一方で「もっとできる」と可能性を言ってあげるとやる気を出しやすいのです。
スポーツだけなくビジネスの現場でも、上に立つ人たちからすると「部下が手を抜いているな」と思うことはあると思います。それをストレートにそのまま言うと、かえって逆効果。部下たちが自分から「がんばろう!」と思えるように伝えてあげるのです。
最後に、卓越した技術力をベースに、佐々木監督のように女性をうまく束ねて、飛躍的に成長している著名なベンチャー企業経営者である井口一世社長に、なでしこ佐々木監督についてコメントを求めたところ、『スポーツでもビジネスでも、いかにメンバーをやる気にさせるか、という点は同じ。社員との接し方やコミュニケーション方法は佐々木監督と相通じるものがあります』とのことでした。
ジャンルは違えど、リーダーとメンバーと言う関係性は同じです。共感された部分があれば、まずは試してみて下さい。
推奨文献:伝え方が9割 2 佐々木 圭一著(2015.4 ダイヤモンド社刊)