「本番に強い人・弱い人」の違いを紐解く、「動因理論」とは

普段の練習では成功できているのに、発表会ではいつもつかえてしまうのはなぜなのでしょう?

練習ではできていたはずなのに、発表会では大失敗。「本番の強さ」を分ける背景にあるものとは?

習い事の発表会や就職の面接、大切なプレゼンテーションのように、人前で何かを披露する人の多くが感じていること、それは「練習では成功していたのに、本番になるとうまくいかないのはなぜなんだろう?」という思いではないでしょうか。

この謎を解くヒントに、心理学者ザイアンスによる「動因理論」があります。この理論によると、人は簡単で得意な単純課題なら、他者に見られていると適度な緊張感が刺激となり、課題がスムーズにこなせるということ。その一方で、複雑で苦手な複雑課題は、他者に見られていると緊張がプレッシャーとなり、失敗しやすくなる、というものです。

「練習では何度も成功していたのに」と言う人は、1人で練習していたか、もしくは気心の知れた相手の前で練習していたのではないでしょうか? しかし、複雑な課題を発表する際には、それを完璧にマスターし自分のものにできていないと、本番では他者の視線が矢のように突き刺さり、しどろもどろになってしまいます。では、本番に強くなるためには、いったい何が必要なのでしょう?
 

本番に強くなるには、繰り返し練習して「単純課題」にする

繰り返して練習することが、本番に「強い人」への近道

繰り返し練習して「単純課題」にすることが、本番への近道

ザイアンスの動因理論では、取り組む行為が簡単だったり得意だったりする「単純課題」であれば、他人の存在がほどよい緊張感につながり、課題がますますスムーズに進む、とされています。ここでいう「単純課題」が、非常に大事なポイントです。つまり、理想とする完璧な発表をしたいなら、難易度の高いものは何度も何度も繰り返し練習をして、自分にとっての「単純課題」にしておくことが成功への鍵、ということになります。

たとえば、ピアノの発表なら、鍵盤に目をやらなくても指が自動的に動くくらいの「単純課題」になるまで、何回も弾きこなすことです。面接やプレゼンで完璧な発表をしたいなら、説明が苦手な部分を、集中的に何度も何度も声に出して練習し、人前の方が話しやすくなるほどの「単純課題」にしておくことです。こうして、複雑な課題が単純な課題に変わるまで練習しておくと、人前でも自分の思い描くような披露をすることができます。

ちなみに、「練習では4回転ジャンプを飛べている」と述べているフィギュアスケートの選手たちも、本番の世界大会ではそのジャンプの披露を封印していることが多いですよね。これは、本人にとってその4回転ジャンプがまだまだ「複雑課題」のままだからです。練習で何度もすんなり飛べる「単純課題」になっていないと、大会では観衆の目が強烈なプレッシャーとなり、必ず失敗してしまうことを分かっているからです。

したがって、「練習で何度か成功している」というレベルでは、残念ながら、本番で練習と同じようなパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。複雑で難しい技を、人前でミスなくスムーズに行えるようになるには、それが「単純」だと思えるようになるまで、繰り返し繰り返し練習をしていくしかありません。

千里の道も一歩からです。さあ、さっそく苦手な課題の「練習」から始めてみませんか?

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