島根県中央部に位置し、約9割が林野という手つかずの自然が残る江津市桜江町で桑の栽培を行っている「桜江町桑茶生産組合」を訪ねました。
こだわりの有機栽培で育つ「桜江町の桑」
豊かな自然の中に広がる「桜江町桑茶生産組合」の桑畑
訪れた広大な畑では桑の木が青々とした新緑の季節を迎えていました。
桑の木は冬に剪定をして肥料を与えると、4月には小さな新芽を出します。そして7月ごろには2メートルほどまで成長。生命力にあふれる樹木なのです。
「桜江は戦前までは製糸業が発展し、養蚕が盛んだったので桑畑が多く広がっています」と語るのは、桜江町桑茶生産組合取締役副社長の古野利路さん。
「このあたりは、町の中央に流れる一級河川・江の川の恵みを受けた肥沃な土壌に恵まれ、桑の木がのびのびと、栄養をたっぷり含んで育つために必要な環境が揃っています」
環境だけではありません。組合では、市場に桑製品がほとんどなかったころから、有機栽培にこだわり、土づくりから製造・加工行程において化学肥料や農薬、添加物は一切不使用。厳しい審査を経て取得した有機JAS規格のもとで、安心・安全な桑商品を送り出しています。
さまざまな栄養がたっぷり。
リラックス&ダイエットにも注目の「桑茶」
組合では1日に約2000キログラムの桑の葉を収穫。自社有機認定工場で運び、すべて手作業で枝から葉をつんで選別し、洗浄、乾燥、加工を行います。
「桑茶」は、桑の葉を収穫したその日のうちに、独自の低温乾燥方式で12時間以上ゆっくり時間をかけて、栄養分を壊さずに乾燥させてから焙煎して作ります。飲みやすく風味豊かな味わいに仕上げます。
桑茶には栄養学的にも。カルシウムや鉄分、カリウムなどのミネラル類が多く含まれています。「桑の葉には、γーアミノ酪酸とよばれる抑制性の神経伝達物質の含有量も高く、リラックス効果も期待できるんですよ」と古野さん。
また、桜江町の桑の葉は他産地よりも、糖質を体外に追い出すDNJや、悪玉コレ
左から「桑葉つぶ」(大ボトル 4104円)、「有機桑茶」(お徳用アルミパック1080円)、「桑焼塩」(486円)
桑茶をいただくと、さわやかな香り、ほんのり甘みがあるスッキリした飲み口。デスクワークの合間にもホッとひと息、なごめる味わいです。そのほか、桑の葉の豊富な食物繊維を、手軽に摂取できる「桑葉つぶ」や「桑青汁」も販売されています。
収穫は1年に2週間だけ。
貴重な「桑の実」を使ったジャムやゼリーで美を磨く
桑の実が熟すのは5月下旬~6月上旬ごろ。訪れた時期にはちょうど、赤黒く熟し
愛らしい桑の実。甘酸っぱくて美味しい!
じつは熟した桑の実は収穫時期がとても短く、なんと1年に2週間だけ。しかも「実は柔らかくてとても繊細。つぶれやすいため、ピンセットでつまんでとるほど収穫は大変な作業です」と古野さん。
組合では県外のデパートにも成果を出荷していますが、それ以外にも手軽に桑の実を取り入れられる加工品が充実。
「桑の実ジャム」はとれたての桑の実に、北海道産甜菜(てんさい)で作ったビート
時計回りに「桑の実ジャム」(734円)、「マルベリーグミ」(540円)、「桑の実ゼリー」(216円)
そのほか桑の実果汁を使った美しい色合いの「桑の実ゼリー」、「マルベリーグミ」なども販売されています。
桑の実は栄養学的にもポリフェノール、鉄分、アントシアニンを豊富に含み、女子にとっては強い味方のフルーツ。ぜひ積極的に取り入れたいもの。
また毎年、組合では、桑の実が熟す時期に「桑の実摘み体験ツアー」も実施しています。その場で摘み取って食べる桑の実の味わいは格別。次回は来年ですが、ぜひ、訪れてみてくださいね。
■桜江町桑茶生産組合
〒699-4221島根県江津市桜江町市山507-1
電話 0855-92-0547
※桑茶、桑の実ジャムは、島根県アンテナショップ「にほんばし島根館」でも販売