働く年金世代が増えている
公的年金の老齢基礎年金は、原則、65歳から受け取れます。本人の希望で繰り上げたり繰り下げたりできますが、多くの人は65歳から受け取っています。一方、総務省の労働力調査によると、65歳から69歳で働いている人の割合(就業率)は、2019年は48.4%。2人に1人は年金をもらいながら働いていることがわかりました。前年比1.8%増です。男女別でみると、男性は58.9%(前年比1.7%増)、女性は38.6%(前年比2.0%増)で、男女とも前年より増えています。
65歳以降も働けるよう国もバックアップ
65歳以上で働いている理由は、今ドキの60代後半はまだまだ元気ということもありますが、会社・団体が中高年のマンパワーを活かすため、再雇用年齢を65歳から70歳に引き上げたり、定年を廃止したりしているからです。それに、国も65歳以上の人を雇う企業向けに助成金を給付して応援しています。少子化で労働力人口が減る一方の日本では、高齢者と女性が力を発揮しないといけないというわけです。
本人にも家族にも社会にもいいことずくめ
では、年金を受け取りながら働くメリットについて考えてみましょう。大きくわけて3つあると筆者は考えます。●メリット1:公的年金以外の収入が得られること
現役世代は、景気がよくて会社がもうかれば給料アップやボーナスという形で収入が増える恩恵を受けられますが、年金世代には波及しません。なぜなら、少子超高齢社会が改善されない限り、公的年金額は減っていかざるを得ないからです。
したがって、減っていく年金をカバーする収入源がないと、余命が延びる一方の昨今、老後資金が枯渇してしまう危険性が高まるのです。ですから、働いて得る収入は、老後資金を増やして経済面を改善する効果が期待できます。(※)
●メリット2:健康面・精神面にいい影響を与える
働き続けていると、規則的な生活を送ることができるほか、人とコミュニケーションをとったり、緊張感を得られたり、また、会社や社会、人の役に立っているというやりがい・生きがいを感じられるので、健康面にも精神面にもいい影響を与えます。それに、会社勤めなら、定期的に会社の健康診断を受けるでしょうから、重大な病気を早期発見できる可能性が高くなりますね。
1つ目と2つ目は、本人にとっても家族にとってもいいことです。一方、社会にとってもいいことがあります。それが3つ目のメリットです。
●メリット3:社会の支え手になる
会社員として働けば税負担はもちろん、70歳未満であれば厚生年金保険料を、75歳未満なら健康保険料を義務的負担しますので、社会の支え手になれます。自営業者も、働いて得た一定以上の収入に対して健康保険料や税金を払うので、同じように社会の支え手です。
年金世代が働くことは、いいことずくめです。会社が雇い続けてくれる限り、健康状態が許す限り、働き続けましょう。できれば、生涯現役の志で働き続けたいですね。
(※)65歳以降の場合、会社員として得られる給与やボーナスによっては「在職老齢年金制度」により、老齢厚生年金(比例報酬部分)が受け取れない場合がある。
※All About生命保険ガイド・小川千尋さんの記事を編集部が最新情報に加筆
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