世界遺産/アジアの世界遺産

プレア・ヴィヒア寺院/カンボジア(4ページ目)

登るほどに神聖さを増す「聖なる寺院」プレア・ヴィヒア。聖域とされる本堂隣接の断崖から眺める景観は息をのむほど美しく、古代から人々を魅了し続けてきた。神の視線を思わせるその絶景ゆえなのか、寺院や山は世界の中心にあるという須弥山と同一視され、聖地として崇められた。今回は「アンコール」と一緒に訪ねたいカンボジアの世界遺産「プレア・ヴィヒア寺院」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

プレア・ヴィヒア寺院への道

第三塔門、宮殿部分

第三塔門、宮殿部分。アンコールワットなどクメール様式の建物でしばしば見られる連子窓からの眺め

■エアー&ツアー情報
第二塔門南ファサード

第二塔門南ファサード。門が非常に美しい

プレア・ヴィヒア寺院はカンボジア-タイ国境に位置しているが、2015年6月現在、タイ側から訪れることはできない。

カンボジアの玄関口は首都プノンペンかシュムリアップ。いずれも日本からの直行便はないので、ベトナムのハノイやホーチミン、タイのバンコク、中国の上海などを経由する。格安航空券で5万円前後から、ツアーは4泊5日で7万円前後から。

プレア・ヴィヒア寺院はシェムリアップから訪ねるのが一般的だ。首都プノンペンに入る場合、プノンペン-シェムリアップ間は飛行機・バス・船のいずれでも往復できる。陸路であればタイのバンコクやベトナムのホーチミン、ラオスのパクセなどからシェムリアップへバスが出ている(ラオスからは乗り換えが必要)。

シェムリアップからプレア・ヴィヒア寺院の直線距離は約140kmだが、車で250kmほど走らなければならない。現地ツアーに参加するか、ゲストハウスなどで仲間を募って車をチャーターして訪ねる人が多い。クロマーヤマトカフェやタケオゲストハウスのようにメンバー募集用の掲示板を掲げているカフェやゲストハウスもあるので、相談してみるとよいだろう。

 

周辺の世界遺産
頂上の祭祀所

頂上の祭祀所

シェムリアップは世界遺産「アンコール」の起点でもある。

カンボジアの世界遺産は2015年現在この2件しかないが、世界遺産暫定リストにはコーケーやベンメリア、バンテアイ・チュマール、ソンボー・プレイ・クックなど、シェムリアップから訪ねられる遺跡が数多く記載されている。特に苔むしたヒンドゥー寺院ベンメリアはオススメなので、ぜひ訪ねておきたい。プレア・ヴィヒア寺院へのツアーの中には、帰路でベンメリアやコーケーに立ち寄るものもある。

タイから訪ねてくる人はバンコクから近い「古都アユタヤ」を訪ねたい。アンコール朝はアユタヤ朝に滅ぼされているので、歴史的なつながりが確認できる。

 

ラオスのパクセからはクメール人の源流である「チャムパーサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群」が近い。

プレア・ヴィヒア寺院のベストシーズン

第二塔門の東ファサード

塔門はいずれも十字形をしている。こちらは第二塔門の東ファサード。均整のとれた姿が美しい

シェムリアップの夏の平均最高気温は36度、平均最低気温は25度で、冬は31度と20度。1年を通じて温暖で、日中はだいたい30度を超える。盛暑は3~5月で、40度を超える日差しは強烈だ。

雨季は5~11月で、8~10月に最盛期を迎える。日本の梅雨のようにしとしとと雨が降り続く日は少なく、1日に何度かスコールが降る形だ。

曇っていると景色のよさも半減するし、アスファルト舗装されていない道路も通るので時間もかかる。ということで乾季の方が望ましいが、雨季でも十分見学はできる。

世界遺産基本データ&リンク

第三塔門北ファサード

第三塔門北ファサード。プレア・ヴィヒア寺院はアンコールの遺跡群に比べて派手さはないが、その姿は洗練されていて非常に美しい

第一塔門の回廊内部

第一塔門の回廊内部

【世界遺産基本データ】
登録名称:プレア・ヴィヒア寺院
Temple of Preah Vihear
国名:カンボジア王国
登録年と登録基準:2008年、文化遺産(i)

【関連サイト】
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