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やっぱり大手塾がいいの?それとも個人塾?

中学受験を目指すお子さんを持つ保護者の皆さんを悩ませる永遠のテーマとして、「塾はいったいどう選んだらよいのか」という問題があります。

このお悩みにお答えするために、今回は対決方式で、塾のタイプ別メリット・デメリットについて解説していきたいと思います。


 

大手塾vs小規模塾

まず最初の対決は、なんといってもやはりコレでしょう。塾選びの永遠のテーマといっても過言ではありません。中学受験を始める際、子どもをどちらのタイプの塾に入塾させればよいか悩まれた方もきっと多いはずですね。

現実問題として、両者の優劣を決めることは難しいです。

子どものタイプによっても、合う、合わないはあるでしょう。また大手塾で上手くいった経験を持つ卒業生の保護者の方は大手塾を勧めるでしょうし、小規模塾で志望校に合格した方は小規模塾の方が良いというでしょう。それぞれ長所・短所があり一概に「こちらの方が良い」とは言い切れないところがあります。

塾選びについては以下の記事もご参照ください。
中学受験の塾選びに欠かせない5つのポイント

では、「両者引き分け」と言いたいところですが、お薦めできない塾選びのパターンがあります。

それは大手塾(または小規模塾)に通いながら、個別指導塾(または家庭教師)を併用するパターンです。

併をするパターンは大きく分けて2つあります。

1つめは、「志望校対策のために個別指導や家庭教師を利用する」というものです。一見「あり」かとも思える併塾パターンですが、上位校であれば大手塾に志望校対策のラインナップが揃っているでしょうから、併塾する必要はないでしょう。

大手塾には対策講座が存在しなくても、地域に根差した小規模塾ならそうした中学の志望校対策をやっているでしょうから、探せば必ずあるはずです。

いまは情報化社会ですので、そこは保護者の皆様の努力次第かと思います。まずは自分の志望校の地域にある個人塾を探してみましょう。お子さんの志望校に強い塾がきっと見つかるはずです。入塾段階できちんと作戦を練っておけば、併塾は必要ないでしょう。

2つめは、「塾の授業についていけないために、そのフォローアップを個別指導や家庭教師に依頼する」パターンです。しかし、残念ではありますが、成績が伸びないからといって塾を増やしても、無駄に終わるケースがほとんどです。

学習というのは「インプット(理解)→再構成→アウトプット(出力)」という三つの段階を経て成立します。この三つの段階をきちんと踏まなければ、学力が高まることはありません。

そして、塾が主に担っているのは、上記のうち「インプットの段階」の部分なのです(「再構成」は家庭学習、「出力」は模擬試験)。

学習の構造については以下の記事をご参照ください。
頭が良くなる3ステップを理解して、成績を上げる方法

普段通っている塾での解説が理解できないからといって、それを補うために別の塾に通ったり家庭教師をつけると、「インプットの段階」にばかり時間をかけて、「再構成の段階」のための家庭学習の時間が削られることになってしまうのです。これでは学んだことが定着せず、結局成績は上がりません。

普段通っている塾で学習内容が理解できず、補完のための塾を併塾するのであれば、最初から補完のための塾にのみに通うべきでしょう。ついていけない塾に通っている時間は、全くの無駄になってしまいます。それならば「インプットの段階」は一本化して、「再構成の段階」に時間をかけた方が良い、ということになります。

大手塾・小規模塾のいずれに通うにしても、併塾は避けて一つの塾に集約するのが良いと思います。


集団指導塾vs個別指導塾

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電車に乗って遠くまで塾に通うのはアリ?ナシ?

この二つの選択肢についても、どちらが良いのかとても悩ましいところですよね。まずはそれぞれの長所と短所をまとめてみたいと思います。

集団指導塾は同じカリキュラム・同じテキストで学ぶ生徒がひとつの教室に集まりますので、ライバル関係を構築しやすく学習に張り合いがでます。また大人数で授業を行うので、授業料は個別指導よりも安くなっています

一方、たくさんの生徒がいっぺんに授業を受けますので、生徒一人一人に対してキメ細かい指導が行き届かない場合も出てきます。つまづきの原因を個別にさらってくれることもあまりありませんので、わからないところがそのまま放置されてしまう危険性もあります。

個別指導塾の場合、1対1もしくは1対2で指導を受けることができるので、苦手なところを重点的に学ぶことができます。わかるまで教えてもらえるので、家庭への負担も少ないです。先生との相性が合わない場合は、担当替えをしてもらえるケースもあります。

一方で学習ペースを生徒に合わせるため、カリキュラムの積み残しが生じやすいというデメリットもあります。講師も学生アルバイトがほとんどで、授業クオリティの不安も残ります。また費用も一般的には高めに設定されています。

それぞれ一長一短ですし、生徒の個性もありますので、この対決も両者引き分けというところでしょうか。もちろん中学受験の最終目標が私立中学の合格である以上、「学力を伸ばしてくれるのならばその手段は問わない」という保護者の方も多いとは思います。しかし、入学後の学習や大学受験など、長期的スパンで考えれば「どちらでもよい」と言い切れない事情もあります。

まず、中学や高校の授業は、基本的に「集団指導」です。予備校の授業も「集団指導」です。大学に入った後も「集団指導」はついて回ります。個別指導で思いつくことといえば、英会話スクールくらいでしょうか。

つまり、プレゼンターが全体にむかってプレゼンをして、それを聞いて内容を理解することに慣れておかなければ、そのあとの学習や社会人になってから苦労することになってしまいます。よって私は、集団指導塾に通うことをおススメしたいです。

「そんなことを言っても、集団指導の塾だと授業についていけない場合はどうしたらいいんですか?」とおっしゃる方もいるでしょう。もちろん受験に合格しなければ意味がないとお考えの場合は、個別指導塾に通わせてなんとか合格をもぎ取るのもアリだと思います。大切なことは「どこに目的を置くか」を明確にすることです。

地元塾vs遠距離通塾

今度は通塾時間について吟味してみたいと思います。こちらもよく議論されますよね。

「わざわざ電車に乗ってまで遠くの塾に通う必要はない」と考える人もあれば、ラーメンだってわざわざ電車に乗って食べに行くのだから、たとえ遠くても信頼できる先生の元に通わせるべきだ、と考える人もいるでしょう。これについては、私は3つの理由から、遠距離通塾も「アリ」と答えます。

1つめは、先ほど述べたように、「志望校の近くの塾は、その志望校合格のノウハウを持っているケースが多い」という点です。たとえば私事で恐縮ですが、私の塾では都内の桐朋中や吉祥女子中に関しては、地元ということもあって過去80%以上の合格率を誇っています。入塾試験のない塾としてはかなりの高確率であると自負しています。このように、志望校の地元塾には、その学校に強い場合があるのです。

2つめは、学習の構造に関係しています。学習は「インプット(理解)」→「再構成」→「アウトプット(出力)」という流れで行われる、と述べました。

このうちインプットは「塾で授業を受ける」ことにあたります。このあとインプットされた内容をいくつかの方法によって定着させるのですが、その方法のひとつに「紙と鉛筆を使わずに頭の中で反復暗唱する」というものがあります。頭の中で習ったことをループさせるのですね。これは紙と鉛筆を使わない方が学習効率が高いのです。

塾への行き帰りの時間が長いということは、逆に言えば、毎授業後にこの「紙と鉛筆を使わずに頭の中で反復暗唱する」という作業をする時間が取れるということになります。頭の中で習ったことを繰り返してみることを「リフレイン」といい、脳科学的にも学習効果が認められています。毎回、塾の授業のあとに「リフレイン」する時間が取れるというのはとても有利です。

塾が家に近いと、帰ってご飯を食べたりして、ついついダラダラと過ごしてしまいがちです。「頭の中でもう一度授業内容を反復してみよう」なんて考える子どもはほとんどいないのではないでしょうか。長い通塾時間が、かえって功を奏するのです。

最後の理由は、学校の友達の存在です。塾に学校の友達がたくさんいる場合、お互いに悪い影響を及ぼし合う可能性があります

たとえば、運動会の練習などで通塾が肉体的に厳しいときに、同じ学校の○○君が塾を休んだとなれば、やる気は一気に減衰してしまうでしょう。あるいは、同じ学校の△△君だって宿題全然やって来てないし、などと言いだしかねません。

塾で緊張感を持って学習するためには、傷をなめ合える仲間は「なれ合いを避ける」という意味からもなるべく少なくしておいた方がよいのです。

以上より、私は家の近くの塾よりも、適度の遠方の塾に通う方に軍配を上げたいと思います。大手塾以外に通うのであればオススメは、志望校の最寄駅のすぐそばの塾です。


塾選びの視点について対決方式で論じてきましたが、いかがでしたでしょうか。皆さんの中には「いやいやそんなことはない」と反論されたい方もいらっしゃるでしょう。

もちろん、私の説が100%正しいというわけではありません。個々の状況やお子様の性格や学力などによって一番合っている塾は変わってきます。あくまでも塾選びや転塾の時の一助にして頂ければば幸いです。
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