今回は、お子さんのタイプ別塾選びのコツについてお話ししたいと思います。

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塾を簡単に分類すると、このようなマトリックスになります

最初に、塾にはどんな種類のものがあるのかについてご説明します。塾はその指導形態について分類すると、大きくふたつに分けられます。  
  • ひとつは「集団指導塾」
  • もうひとつが「個別指導塾」です。

また、塾はその規模によって「大手・中堅塾」と「小規模・個人塾」の二種類に分類できます。それぞれを縦軸と横軸に取ると、4つのマトリックスができます。

A. 集団指導塾(大手・中堅塾)

B. 集団指導塾(小規模・個人塾)
C. 個別指導塾(大手・中堅塾)
D. 個別指導塾(小規模・個人塾)


たいていの塾はこの4つのマトリックスのどこかに入ります。それではそれぞれの塾の特徴を見ていきましょう。

参考記事
「中学受験の塾選びに失敗しない5つの視点とは?」


A.集団指導塾(大手・中堅塾)

サピックスや日能研、四谷大塚、早稲田アカデミーといった、「有名進学塾」と呼ばれる塾がここに名前を連ねます。それ以外に「そこまで有名ではないけれど、いくつか校舎を持ち、地域では割と名前が知られている塾」も入ります。目安としては先生の人数が5人以上いればこちらに入ります。

集団指導塾はさらに細かく分類すると、「予習型」と「復習型」に分けられます。

予習型とは、授業でやる内容をあらかじめ予習してきて授業を受けるスタイルの塾です。このタイプの塾は、毎回の宿題に加え、次回の予習が義務付けられるので、生徒の負担が多くなるのが特徴のひとつです。

復習型の塾は、新しい単元の内容をすべて塾が指導してくれるというものです。その分負担感は小さいのですが、授業日数が多くなったりして経済的負担が増大するなどのデメリットもあります。現在の大手・中堅塾は、復習型が主流です。

■メリット
大手・中堅塾のメリットは、何といっても卒業生の多さが挙げられます。卒業生が多いということは、すなわち多くの学校について合格者を輩出しており、それだけ情報量が多いのです。

また潤沢な資金があるため、設備が整っていたりスタッフが揃っていたりといったハード面が充実していることもメリットです。

■デメリット
集団指導塾(大手・中堅塾)のデメリットは、講師の力量のバラツキです。もちろん採用はしっかり行っているでしょうし、研修制度もきちんとしているのですが、多くの講師を採用しなければならないため、どうしても能力の濃淡が生じます。

また講師の中には司法浪人生や大学院生など、塾講師が本業でない人もいます。さらに中学受験経験者が塾講師になっているケースは非常に少ないことも現実です。子どもが配属されるクラスによっては、あまり質の良くない講師に当たる可能性もあります。

集団指導塾ですので、一人一人へのきめ細かい面倒見はあまり期待できません。お子さんが「自分から進んで勉強する」タイプでない場合、集団指導塾を選ぶと子どもに家庭学習をさせるために、保護者の負担が大きくなってしまいます。


B.集団指導塾(小規模・個人塾)

口コミだけで生徒を集めているような小さな塾のことを指します。講師の数も2~3人、一人でやっているところもあります。スタッフの数も少なく、校舎の数は基本ひとつだけで、こじぢんまりとした印象です。

基本的には経営者が講師を兼任していますので、たとえるならば”こだわりのラーメン店の頑固オヤジ”といった感じでしょうか。自分の指導法に絶対の自信があり、強い信念を持っているケースが多いようです。

■メリット
このタイプの塾は、かつて大手塾などで指導実績がある人が、一念発起して独立したところが多いので、講師の質が比較的高く均質であることが特徴です。特に独立して何年も経過している場合は、評判が良くて経営が上手くいっている証拠ですので、信頼できます。

■デメリット
小規模なので、卒業生の少なさからくる受験データの不安定があります。講師の好みやこだわりによって、どうしても子ども達に受けさせる学校に偏りが生じてしまいます。そのため「強い学校」と「データ不足の学校」が混在し、得意・不得意が生じます。逆にその塾が得意とする学校と自分の志望校とが合致すれば、うまくいくことが多いです。

このタイプの塾に向く子どもは、向上心があって志望校に向かって頑張れる子でしょう。すごく成績が良い必要はなく、大手塾では埋没してその他大勢になってしまうような子でも、目標達成のために努力ができる子であるならば、多少成績が足りなくともこうした塾で塾長と二人三脚で頑張り、希望の学校に合格するケースが少なくありません。


C.個別指導塾(大手・中堅塾)

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塾選びは入試後の6年間を決める大切な選択。じっくり研究して正しく選んでください。決して実績だけで選ばないようにしましょう!


■メリット
大手・中堅の個別指導塾の大きな魅力は、なんといっても個別に対応してもらえるキメ細やかな面倒見でしょう。

特に「1対1指導」を実現させている個別指導塾は、顧客のニーズに合わせてメニューを準備してくれますので、まさに「かゆいところに手が届く」指導を実現してもらえます。

■デメリット
講師を少人数で独占するので、どうしてもその分、費用が高めに設定されてしまいます。また生徒それぞれのペースで学習を進めていくことになるためカリキュラムの進度がまちまちとなり、未消化単元が発生してしまう危険性があります。

また大手の個別指導塾の場合、講師のボリュームゾーンは大学生です。大学生だからといって指導力が低いというわけではありません。特に中学受験の場合、講師が中学受験経験者か否かということがとても重要です。しかし大学生は何といってもアルバイトですから、子ども達の合否に対して大きな責任を負っているわけではありません。プロ講師との意識の差は、あって当然だと思います。


D.個別指導塾(小規模・個人塾)

■メリット
小規模の個別指導塾の場合、キメの細かい面倒見は上記大手の個別指導塾と変わりありません。しかしこちらの場合、指導者は塾長(経営者)本人であるケースがほとんどですので、責任指導が期待できます。なぜならば、実績がそのまま経営につながるため、そこをないがしろにはできないからです。講師の質が保証されているという点では、個別指導塾を選ぶなら個人塾の方が良いということになります。

■デメリット
しかしながら、小規模・個人の個別指導塾の場合、そこだけで中学受験の学習を完結させるわけにはいきません

理由はふたつあります。ひとつ目は、カリキュラムの問題です。中学受験の出題範囲は多岐にわたります。それをすべて個別指導でカバーするのはなかなか難しく、どうしても穴や抜けが出てしまいます。

集団指導塾の場合は毎週決まった時間に決まった科目を学習します。講習なども含めると小学6年生が塾で学習する時間は年間約1000時間。これだけの時間を塾で過ごすのです。この時間数を個別指導だけで確保するのはかなり厳しいでしょう。

また費用の問題もあります。少し高めの授業料設定をしているところであれば、年間300万円くらいはかかってしまいます。それだけのお金をつぎ込んでも、志望校に合格できるという保証はありません。大きな賭けですよね。

また、個別指導塾の場合はわからないところを全て教えてもらえるというシステムですが、その丁寧さがかえってあだとなる場合もあります。学習というのはただ教えてもらえば効果が上がるというものではありません。むしろわからないことを必死で考えるから、脳が鍛えられるという側面もあるのです。ですから「細かい指導」を受けたからといって、トントン拍子に成績が上がっていくということは、現実的にはなかなかないことなのです。

こうしたことを考えると、個別指導塾はメインの塾でのわからないところをフォローするためのサブ塾としてとらえた方が良さそうです。うまく組み合わせて活用することで、学習効果が期待できるようになるのです。


塾の種類についても、細かく分類すればさらに細分化することができます。後先を良く考えずに「名前の通っているところ」をパッと選ぶのではなく、お子さんにきちんと体験授業を受講させましょう。保護者の方が授業見学をするのもとても重要です。それぞれのお子さんの性格や学習意欲に合わせて塾を選ぶのが良いと思います。皆様の塾選びが上手くいきますことを、祈っております。
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