「個別指導塾=わかる」というのは幻想

親御さんが「中高生の頃にあったらよかった」と言われるのが個別指導形式の学習塾。今や塾産業全体の売り上げの50%に迫る勢いです。

その一方で、「こんなはずではなかった」といった具合に、「個別指導塾を選んで失敗した」なんて話もよく耳にします。
「個別指導=わかる」と考えるのは早計。個別指導塾に通っても、必ずしも成績が上がるわけではありません。それなのに、最近、個別指導塾が増えているのにはある理由が。

「個別指導=わかる」と考えるのは早計。個別指導塾に通っても、必ずしも成績が上がるわけではありません。それなのに、最近、個別指導塾が増えているのにはある理由が。


まず、「個別指導塾だからわかる」というのは早計だと思ってください。というのも、個別指導塾の最大の欠点は、生徒の数だけ講師が要る点です。必然的に、「教え方が上手い」「生徒に人気がある」といった質の高い講師は常に不足しています。

それでもなお、個別指導塾が流行っているのにはある理由があります。それは、フランチャイズ(FC)展開というビジネスモデルが確立しているからです。

個別指導塾、3つの経営形態の違い

その前に、個別指導の学習塾について少し紹介していきましょう。個別指導塾には、大きく分けて3つの形態があります。

1. 完全マンツーマン方式
2. 講師1対生徒2~3の複数方式
3. 生徒を大教室や個別のブースに入れて、順次、講師が回っていくという机間巡視(きかんじゅんし)方式



1.の完全マンツーマン方式は、文字通り講師1名に対して生徒1名と、きめ細かい指導がウリです。中学受験や医学部受験など何かに特化したケースが多く、講師もプロ教師が担当するため、個別指導塾に限らず学習塾の中でも料金は最も高くなります。

そして、最近、特に増えてきたのが、2つ目、あるいは3つ目の形態です。厳密には「個別指導」ではありませんが、「個別に」指導してもらえる点がウリです。集団式より講師の数は必要ですが、マンツーマン形式よりも少なくて済む点が、経営者に気に入られています。

そうなのです。

最近、FC方式の個別指導塾が増えた背景には、このような、「個別に」指導する塾が、経営効率の観点で優れている、ということに気がついた人が増えたことにあります。

個別指導塾は集団式よりも授業料が高い、いわゆる客単価が高いのです。一方で、個別に指導するわけですから、その分講師が必要となります。しかし、集団式のような授業をするわけではないので、とりあえず講師の頭数さえ揃えば、塾として成り立ちます。

個別指導塾が増えてきた背景には、このような経営効率という事情があったのです。

個別指導塾に通って成績が上がる割合はたった2割!?

さて、親の立場から見ると、個別指導塾はきめ細かい指導をしてもらえて、集団式よりもわかりやすいから、多少、授業料が高くても魅力的に思えます。

しかし、個別指導塾が増えたのは、「個別に見てもらえるだけでもありがたい」という親の願望とFC方式の個別指導塾というビジネスモデルがたまたまマッチしたからであって、個別指導塾がわかりやすい塾だからとは、必ずしも言えません。

その証拠に、ガイドが独自に個別指導塾で成績が上がる割合を調べたところ、2割程度ということが判明しました。これはテレビでCMを流している大手個別指導塾でも同じ傾向が見られました。

衝撃の数字ですが、こうなってしまう一番の原因は、誰が塾を経営しているのかということにあります。あるFC展開する個別指導塾の経営者は、9割が業界未経験者というデータもあるほどです。つまり、勉強の教え方をよく知らない人が塾経営をしているのです。

もちろん、それ自体が悪いことではありません。一念発起して、経営者も勉強の教え方を学ぼうという意欲に富んだ人であれば全く問題はありません。

しかし、残念ながら、個別指導塾を経営する人の中には、子どもの成績をどれだけ伸ばしたかということよりも、売り上げをどれだけ伸ばしたかということの方に関心がある人がいるのも確かなようです。

良い塾とは、塾長が教育熱心な塾

とはいえ、ここに失敗しない個別指導塾の選び方のヒントが隠れています。

多少、手間や暇はかかっても、子どもの成績を伸ばしてあげたいと思っている経営者はたくさんいます。幸いにも、私の周りにもそういう塾長(塾経営者)さんがたくさんいて、塾長会というヒミツの会合もあるほどです。

そういう熱心な塾長は、FCに入らず自ら塾を立ち上げることが多いようです。いわゆる個人塾と呼ばれる塾です。もちろん、大手FCに入りながらも、塾長の独自色を出している人も中にはいます。

いずれにしても、そういう塾経営者は、かならず独自色を打ち出してきます。それはどこに現れてくるかというと、HPやブログ、そして何よりも塾長の「キャラ」です。どうしたら子どものやる気を引き出せるか。勉強の仕方をどう工夫したらよいか。ポイントは具体的に紹介しているか否かです。

例えば、私、ガイドの場合は、間違えた問題は、どれだけ丁寧に説明や解説をしても、子どもをわかったつもりにさせるだけだということを知っています。ですから、もう一度、生徒に解かせる「間違い直し」をする方が、生徒の理解度ははるかに高まることを長年の経験から実感しています。

「習うより慣れよ」「トライandエラー」の繰り返しこそが、学力の定着に一番の近道だ、という理念です。

最低でも1時間は、塾長と面談を

こうした塾長の教育理念や方針をしっかりと見定めることが、賢い塾選びのポイントと言えます。そのためには、まずは、遠慮せず、塾長(教室長)に1時間程度の面談を申し込んでみましょう。指導に熱心な塾長ならば、1時間でも2時間でも勉強の仕方ややる気の出し方について熱弁してくれること間違いありません。

その際、通知表やテスト綴りなど持参した資料にじっくりと目を通して、的確なアドバイスをしてくれるはずです。「提出物を出していない」「間違えた問題を復習せず、わからないままにしている」など、会ったばかりなのに子どもの特徴を的確に把握できる塾長は、経験豊富で、指導に熱心な塾長と言えます。

逆に、売り上げの方に関心のある塾長は、教育理念そっちのけで、「すぐに入塾しないと手遅れになる」「なるべくたくさんの授業をとって、これまでの遅れを挽回した方がよい」といった、売り上げにつながる話が多い傾向にあるので注意しましょう。

体験授業でのポイントは具体的に教えてもらえるか

もちろん、体験授業を受けるのも忘れず。良い学習塾ほど、教え方に自信がありますから、喜んで受け入れてくれるはずです。また、体験授業を受けたからといって、入塾しなければいけないという理由もありませんので、遠慮なく、品定めと思って利用してください。

体験授業で、良い塾か否かを見分けるポイントは、指導に理念があること、そして、方針に一貫性があることです。ノートの取り方や問題集の解き方、答え合わせをどのタイミングでやったらよいのかなど。具体的に、どのように勉強したらよいかを実演して(実際に教えて)くれる塾です。

間違っても、「ただ問題を解かせて、間違えた問題をアルバイトの講師がちょこちょこっと解説して、それで終わり」という塾に子どもを通わせてはいけません。

間違えた問題を、どうしたら、次、間違えないようになるか。そこを具体的に教えてくれる塾こそが、良い塾と言えるのです。

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