何が「劇的」なのか?
住宅リフォームに密着したテレビ。ナレーションや音響の効果もさることながら、古い家屋が真新しい空間に生まれ変わる醍醐味は独特のものがある。まさに劇的。人気の番組を見ていると「ダイナミックさ」を演出する常套の流れがあるのがわかるだろう。まず、どこが問題なのか。古いだけなく、性能面でのトラブルにクローズアップする。次に建築家のアイデア。素人では思いつなかい工夫が驚きを呼ぶ。この展開には、トラブル解消と建築家の思いやりを込めた(「あなたの住まいとはこうあるべき」という思想的な)改善の二種類がある。完成後の感動シーンを見ると、「どうしていいかわからなかった」施主の気持ちが伝わってくる。住まいは生活そのものである。
あらためて思うことは、リフォームの本質は「その家ならではの特性をいかに空間に盛り込むか」ということ。特性とは、家族構成、個々のライフスタイルである。不動産としてのスペックも重要だ。マンションの場合、向きや眺望、共用部のグレードも要素のひとつになるだろう。
理想的な空間使い
上の間取りは築約3年の高級マンションである。専有面積は183m2。角住戸で、主寝室(洋室1)のバルコニーは奥行最大4メートルほどもある。都心部でありながら、大型再開発であることにより、空地が多く隣接建物との間隔も十分。緑豊かな環境も特長である(最上部の画像がバルコニーからの眺め)。
さて、オーナーのライフスタイルに合致させたプランが下掲。寝室を除くほとんどの空間をスケルトンリフォームしている。「収納力を高めたシューズクローク」「主寝室の浴室をシャワールームに」「バスルームに直結する特大のウォークインクローゼット」「ライブラリーコーナーの設置」など個性豊かな空間の集まりとなった。
「築3年でスケルトンリフォーム?」と思われるかもしれない。が、「天井にビルトインしたエクササイズのためのぶら下がり器具」や「真下に向いていた空調の吹き出し口を折り上げ天井の側面に変えることで人体に直接風が当たらないように」などの改善はそれが必須であったことの証し。下の画像に移る一人掛けソファの上部にあるのが前者。窓の向こうに広がる新緑も意識してのセッティングであろう。
リフォーム事例から得られる情報
今回取材させていただいたカガミデザインリフォームと施主の両者の接点はウェブサイト「家の時間」コンテンツ内の『建築家リ フォーム』。事例が数多く掲載されている。リフォームは「マイホームはもっと自由に発想すべき」とあらためて教えてくれる存在。それはつまり「家族それぞれの個性を生かせる空間こそが真のマイホーム」ということでもある。したがって、上質なリフォームのビフォーアフターは、内装設備にとどまらず、家具やアート、特注の棚なども含めて住まい選びのための役立つ情報がふんだんに盛り込まれているともいえなくもない。
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