世界遺産/アジアの世界遺産

ワット・プー/ラオス(3ページ目)

最高神シヴァの聖なる山と称えられたカオ山の麓には、1500年以上前から古代都市が栄えていた。たびたび国が変わり、宗教もヒンドゥー教から仏教へと移ったが、カオ山とワット・プーは聖地として変わらず崇められてきた。山や川・寺院が一体化した美しい文化的景観は、神と自然を同一視する世界観の表れでもある。今回はラオスの世界遺産「チャムパーサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

ワット・プー周辺の見所

タオタオ遺跡

タオタオ遺跡。ナーンシダー遺跡の南西1.5~2.0kmほどにある遺跡で、田が広がる林の中にたたずんでいる

ナーンシダー遺跡

ワット・プーの南、約2.0kmほどにあるナーンシダー遺跡。遺跡は倒壊したまま打ち捨てられており、修復はほとんど進んでいない

ワット・プーの世界遺産登録名は「チャムパーサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群」で、ナーンシダー遺跡やタオタオ遺跡などの遺跡も構成資産となっている。その見所を簡単に紹介しておこう。

■ナーンシダー遺跡
ワット・プーから徒歩1時間半ほどの位置にある遺跡。5世紀頃から栄えた古代都市シュレストラプラの中心と見られる遺跡で、アンコール朝の時代に建てられたヒンドゥー寺院の伽藍やバライの跡が残されている。

■タオタオ遺跡
ナーンシダー遺跡と同様、アンコール朝期のヒンドゥー寺院跡。ほとんど修復されておらず、仏像なども見られない。彫刻やレリーフなどがあまり見られないことから、未完成の寺院ともいわれる。

 

■コロニアル住宅群
聖イエス教会

かわいらしい19世紀のフレンチ・コロニアル建築、イエスの御名教会

ラオス全土がフランス領インドシナに組み込まれる前後の洋風の建物が残っている。一部は郡庁舎などに転用されている。

■チャムパーサックの仏教寺院群
チャムパーサックはチャムパーサック王国の首都で、18世紀頃にはメコン川沿いの2.0×1.5kmほどが二重の城壁に囲われていた。王国が建てた仏教寺院の多くは現在も活動を続けており、ワット・パノンタイやワット・ムアンカンではいまでも多くのラオス人たちが祈りを捧げている。

■ワット・トモ
メコン川を挟んでワット・プーの対岸にある小さな遺跡。やはりアンコール朝時代の遺跡で、ラーンサーン王国が侵入し、クメール人が去ったあと打ち捨てられた。林の中にたたずんでおり、伽藍跡やヒンドゥー教の彫刻などが点在している。

 
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