世界遺産/アジアの世界遺産

ワット・プー/ラオス(4ページ目)

最高神シヴァの聖なる山と称えられたカオ山の麓には、1500年以上前から古代都市が栄えていた。たびたび国が変わり、宗教もヒンドゥー教から仏教へと移ったが、カオ山とワット・プーは聖地として変わらず崇められてきた。山や川・寺院が一体化した美しい文化的景観は、神と自然を同一視する世界観の表れでもある。今回はラオスの世界遺産「チャムパーサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

ワット・プーへの道

北神殿

11世紀に建築された62×42mほどの寺院跡、北神殿。左に見えるのがカオ山だ

■エアー&ツアー情報
放し飼いされているウシとカオ山

放し飼いされているウシと、背後にカオ山。角があるのが水牛だ。タオタオ遺跡近くにて

ラオスへは首都ビエンチャンかルアン・パバンに入るのが一般的。日本からの直行便はないので、タイのバンコクやベトナムのハノイ、中国の昆明などを経由する。あるいはバンコクやホーチミン、シェムリアップなどからワット・プーに近いパクセに入ることもできる。格安航空券で5万円前後から。

パクセは直線距離でビエンチャンの南東470kmほど。ビエンチャンから飛行で1~1.5時間、バスで10~13時間程度。ワット・プーがあるのはチャムパーサック近郊で、パクセからチャムパーサックへはバスで約1時間。

 

■周辺の世界遺産
ワニの石

ワニの石。右側を頭に腹ばいになっているらしい。ここで生贄の儀式が行われたともいわれる

ラオスには「ルアン・パバンの町」という世界遺産があり、ラオス随一の見所となっている。ルアン・パバンとワット・プーはかなり離れているので、両方を見るならルアン・パバン-パクセ間の国内線を利用するのが簡単だ。

パクセはタイ・カンボジア国境に近く、ベトナムも遠くない。パクセからはカンボジアのシェムリアップやベトナムのフエ、ダナンなどにバスが出ているので、陸路国境を抜けるバックパッカーも多い(シェムリアップへのチケットを売っているが、乗り換えは必要)。

シェムリアップが起点なら「アンコール」「プレア・ヴィヘア寺院」が近いし、 フエが起点なら「フエの建造物群」「古都ホイアン」「ミーソン聖域」「フォンニャ-ケバン国立公園」に訪問可能だ。

 

ワット・プーのベストシーズン

楼門跡から歩廊を眺める

楼門跡から歩廊を眺める。中央奥や手前左右の木はすべてチャンパー。左右にはナーガ像、右上にはカオ山が見える

パクセの夏の平均最高気温は35度、同最低気温は25度、冬の平均最高気温は30度、同最低気温は18度とかなり温暖だ。1年中平均最高気温は30度を超えるが、特に3~5月が暑さのピークとなる。

雨季は5~10月で、月間降水量がゆうに400mmを超える月もある(東京でもっとも雨が多い月で200mm強)。一般的には盛暑の3~5月と雨季を避けた乾季がベストシーズンとされる。

世界遺産基本データ&リンク

北宮殿の連子窓から南宮殿を眺める

北宮殿の連子窓から南宮殿を眺める。この種の連子窓はアンコールでよく見かけられる

ナーガと呼ばれる竜族の王ムチャリンダ像

ナーガと呼ばれる竜族の王ムチャリンダ像。釈迦が悟りを開いてブッダになる瞑想の間、釈迦を守りつづけた

【世界遺産基本データ】
登録名称:チャムパーサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群
Vat Phou and Associated Ancient Settlements within the Champasak Cultural Landscape
国名:ラオス人民民主共和国
登録年と登録基準:2001年、文化遺産(iii)(iv)(vi)

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