ラオスの聖なる古都ルアン・パバン(ルアンパバーン、ルアンプラバン)

ワット・シェントーン本堂

ワット・シェントーンの本堂。緩やかなカーブを描く切妻屋根が幾重にも折り重なる姿が神々しい。屋根の端から飛び出しているのはチョーファーと呼ばれる聖なる屋根飾り ©牧哲雄

ルアン・パバンは現在のラオスの原型となるラーンサーン王国の最初の首都。ラーンサーン王国は敬虔な仏教国で、メコン川の恵みを受けた緑豊かな大地に数々の寺院を建設し、「ラオスの京都」といわれる美しい街並みを築き上げた。

今回はラオスの精神的象徴でもある世界遺産「ルアン・パバンの町」を紹介する。

ルアン・パバンの温かい朝

ルアン・パバンの托鉢風景

朝の托鉢風景。ルアン・パバンの名物ともいわれる風景だが、実はラオスのいずれの都市でも早朝にはこのような托鉢が行われている

プーシーから見たルアン・パバンの町

プーシーと呼ばれる丘から見たルアン・パバンの町とカーン川。緑が美しい素朴な街並み ?牧哲雄

ルアン・パバンの中心部はメコン川とカーン川に挟まれた半島状の小さな街。熱帯の太い太陽と母なる大河が生命を育むとても豊かな土地で、深い緑の中に数多くのお寺が建っている。町自体が世界遺産に登録されているルアン・パバンでおもしろいのは、なんといってもお散歩だ! 世界でいちばん散歩が楽しい街のひとつだと、ガイドは思う。

朝6時。お寺の鐘に誘われて街に出てみると、カーン川沿いの深い緑の上に白い太陽が昇り、家々からは朝食の湯気が立っている。道路を見れば、街の人々が小さな敷物を敷き、脇にカゴを置いてちょこんと腰をおろしている。

 

学校に登校する子ども僧

学校に登校する子ども僧 ©牧哲雄

街の向こうから、オレンジ色の袈裟を着て肩から丸い壺をぶら下げた素足・坊主頭の僧たちが、一列になってやってくる。僧は街の人々の前に来ると壺を差し出し、人々はカゴから米やパンや花を取り出しては壺の中に入れている。托鉢だ。

先ほどの一団が行ったかと思うと、今度はさらに大人数の一団が向かってくる。そしてまた人々は無心に用意したものを配る。ルアン・パバンの朝のごくごく日常の光景だ。

 

高床式の家

川沿いにはこんな高床式の家々も ©牧哲雄

ラオスやミャンマーなど、上座部仏教(小乗仏教)が伝わった東南アジアの一部にはまだ托鉢の習慣が残っている。そうした地域では物への執着や所有が蔑視されているため、いまだ僧の炊事や妻帯が認められていなかったりする。だから僧は毎日托鉢をして食べ物を手に入れて、一方人々にとっては僧に喜捨することが功徳となる。

喜捨の心は「人に幸せになってほしい」という利他の心。だから人々は旅人にもとてもやさしいし、仏を信じているから世の中の欲にも執着せず、とても大らかに暮らしている。 

ルアン・パバンの人々のまん中にはいまも「仏」がしっかり座を占めていて、人は仏の習慣を通して他の人と深く結びついている。人々を見ていると、もしかしたら本当に大切なのは信仰そのものではなく、仏を通してできあがるこの温かな結びつきなのではないかと思えてくる。