世界屈指の洞窟リゾート「フォンニャ-ケバン国立公園」

ソン川によって穿たれた河食洞、フォンニャ洞窟

ソン川によって穿たれた河食洞(川が山を削ってできた洞窟)、フォンニャ洞窟

大地からボコボコと立ち上がる奇岩=タワーカルストや、鍾乳石に彩られた華麗な洞窟群は、大自然が4億年をかけて創り上げた天然の芸術作品群。園内には300以上の洞窟があり、多彩な姿で観光客を魅了する。

国立公園に指定されたのが2000年、世界遺産になったのが2003年で、リゾート地としてはまだまだ発展途上中。これまで公開されていたのもフォンニャ洞窟とティエンソン洞窟だけで、船と足で1時間ほど洞窟を見回る程度だった。しかし、このところ次々と新しい洞窟がオープンしており、アトラクションも急速に充実中だ。今回は近年注目の世界遺産「フォンニャ-ケバン国立公園」を紹介する。

驚異の洞窟探検ツアー1. 規模と繊細さが同居する天国の洞窟

「天国の洞窟」ティエンドゥオン洞窟(パラダイス・ケイブ)

この世のものと思えぬ美しさからその名が付いた天国の洞窟=ティエンドゥオン。鍾乳石の多彩さ・美しさはフォンニャ-ケバン国立公園内でも随一

ティエンドゥオン洞窟の小さな入口

ティエンドゥオン洞窟の小さな入口。この先に全長31km、高さ150mに及ぶ大洞窟が展開するなんて信じがたい

インドシナ半島には水に溶けやすい石灰岩でできた大地=カルスト台地があちらこちらに存在する。そのためベトナム・ラオス・中国南部ではカルスト地形である鍾乳洞やタワーカルスト(塔状の奇岩)、カレンフェルト(剣状の棘々岩)などをしばしば目撃する。

私はこうした国々でさんざん洞窟を見てきたので、正直「フォンニャ-ケバン国立公園」には期待していなかった。しかし、フォンニャの町の旅行代理店で「天国の洞窟と暗黒の洞窟。このふたつに行かなきゃフォンニャ-ケバンを見たうちに入らないよ」なんて説得されて参加したツアーが本当に最高だった。あのときのおやじ、ありがとう!

 

ティエンドゥオン洞窟の圧倒的な内部空間

ティエンドゥオン洞窟の圧倒的な内部空間

最初に訪れる「天国の洞窟」はティエンドゥオン洞窟、あるいはパラダイス・ケイブと呼ばれるもので、ツアーでは1kmほどを歩いて散策する。この洞窟の規模と鍾乳石の繊細さに度肝を抜かれた。

山腹に口を開けた入口はわずか1~2m四方程度の小さな穴。しかし、ここを下りると高さ100m近い洞窟の全貌が一気に出現する。その大きさに驚嘆するわけだが、目を凝らすと細部がまたすばらしいのだ。

シャンデリアを思わせる石花が天井を飾っていたかと思えば、小さなプールが集まったような石灰棚が地面を覆い、カーテンのような石柱が道をさえぎり、バロック様式の荘厳な装飾を彷彿させる鍾乳石が壁面を彩っている。一つひとつの岩をじっとのぞき込むと、星のように小さな宝石がキラキラ輝いている。千変万化する大自然の芸術作品に目は釘づけだ。

 

驚異の洞窟探検ツアー2. 暗黒の洞窟でインディ・ジョーンズ体験

断崖に口を開けたトイ洞窟

断崖に口を開けたトイ洞窟。ジップラインですぐ手前まで移動し、水泳やトレッキングで内部を散策し、最後は写真手前のカヤックで脱出する

続く「暗黒の洞窟」はトイ洞窟、あるいはダーク・ケイブと呼ばれるものだが、この洞窟の楽しみ方は他の洞窟とはまったく違う。私は何の知識もなくこのツアーに参加したので本当に驚いた。

展望台とジップライン

展望台からの眺め。ここからジップラインで400m先の対岸まで空中を飛んでいく

最初に、チュイティエン湖の畔に建つレストハウスで水着に着替え、ヘッドライト付きのヘルメットをかぶり、救命胴衣を着て、腰にハーネスをつける。靴やサンダルも含め、荷物はすべてロッカーだ。GoProのような完全防水のもの以外、カメラさえも持ち込めない。ということで、この洞窟の写真をお見せできないのが本当に残念。

準備が整ったら展望台に上り、ジップライン(ワイヤーロープを滑車で駆け抜けるアクティビティ)で一気に湖を渡る。展望台からは見えなかったが、対岸には高さ80mの洞窟が口を開けている。ハーネスを脱いだら、今度は泳いで洞窟の入口へ向かう。救命胴衣を着ているので泳げなくても安心だ。

 

トイ洞窟のジップライン

洞窟探検後は別のジップラインで遊ぶこともできる!

裸足で歩いたり、泳いだりして奥へ奥へと歩を進めていく。「キキッ」という声が聞こえると、ガイドは「静かに! 危険な吸血コウモリだ!!」。もちろん冗談だ……ろう。少し歩きにくい場所に来ると、「岩に気をつけろ! ここで傷を負ったら生きて帰れないぞ!!」。未知のウイルスがいるようだ。もちろん冗談だ……と思う。

やがて人ひとり通るのがやっとという狭い空間に入る。周囲は泥だらけ。足下の泥は次第に深くなっていく。そして最奥部には泥でできた小さな池が広がっている。深さは膝から腰ほどだが、ためしに手足を伸ばしてみるとプカプカ浮かぶ! すごい、 死海みたいだ!! チーム全員、泥だらけになって大はしゃぎ。

そして泳いで泥を落とし、カヤックでレストハウスに帰還。インディ・ジョーンズ気分を味わえる、なんとも愉快な洞窟アドベンチャーだった。写真はないが、YouTubeに動画がアップされていたので確認してみてほしい。

 

[関連サイト]
Dark Cave [Hong Toi] Vietnam (YouTube)