忽然と消えた巨石文明の遺産「ストーンヘンジ」とは

ストーンヘンジのサーセン・ストーン、ブルー・ストーン

謎に包まれた太陽のモニュメント、ストーンヘンジ

紀元前3000年以前、主にアイルランド島とグレートブリテン島からなるブリテン諸島では、2000以上ものメガリス(巨石建造物)が建てられたという。ところがこの巨石文明は突如姿を消し、誰が何のために造ったのか、いっさいが謎に包まれてしまった。

その中でもっとも神秘的で美しく、大きな謎を投げかけているのがストーンヘンジだ。今回はストーンヘンジを巡る謎や歴史・観光情報を中心に、イギリスの世界遺産「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」を紹介する。

世界遺産「ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」の構成資産

エーヴベリーヘンジ

エーヴベリーヘンジ。ストーンヘンジと異なり、エーヴベリーでは石のすぐ側まで寄ることができる。なんと入場料無料!

まずは世界遺産の構成資産を紹介しよう。この世界遺産はストーンヘンジとその周辺、エーヴベリーとその周辺という2つの地域の遺跡群で構成されている。一帯は地域で登録されているが、その中に含まれている遺跡の一例を紹介しよう。

■ストーンヘンジとその周辺の遺跡群Googleマップ
  • ストーンヘンジ
  • ストーンヘンジ・カーサス
  • ストーンヘンジ・アベニュー
  • ダーリントンウォールズ
  • ウッドヘンジ
  • コリーベリーヘンジ
  • レザーカーサス
  • カッコウストーン
■エーヴベリーとその周辺の遺跡群Googleマップ
  • エーヴベリーヘンジ
  • シルバリーヒル
  • ウィンドミルヒル
  • サンクチュアリ
  • ケネットアベニュー
  • ウエストケネット・ロングバロウ
ウッドヘンジ

紀元前2500~前2000年頃の遺跡、ウッドヘンジ。かつては木の杭が六重の楕円形に並べられていた(現在はコンクリート柱が立っている)

しばしば「ヘンジ」が登場するが、これは円形に並べられた工作物のこと。ストーンヘンジやエーヴベリーヘンジは石を円形に並べた遺跡で、ウッドヘンジでは楕円形に並べられた杭の跡、コリーベリーヘンジでは楕円形の溝が発見されている。

四角形だったら「カーサス」、列なら「アベニュー」、土塁なら「ヒル」、単独の石は「ストーン」などと呼ばれているわけだが、この辺りで土や木や石を並べたさまざまな形の工作物が見つかっていることがわかる。

ただ、その多くは朽ちたり埋もれたりして当時の姿を見ることができない。そんな中、奇跡的に姿をとどめているのがストーンヘンジとエーヴベリーなのだ。特にストーンヘンジは世界中の子供にまで知られているわけだが、その理由はひと目で人を惹きつけるその神秘的な造形にあるのだろう。

不思議な不思議なストーンヘンジの空気感

ほぞさし式のストーンヘンジ

神々しいストーンヘンジ。中央やや左の石の頂に凸状の突起が見える。ここに横石の穴を合わせて組んでいた(ほぞさし式)

緑の草原にサークル状に並べられた巨大な石。こんなものが人の心を打つ理由はなんだろう?

ひとつは石。ストーンヘンジの周囲は羊たちがのんびり草を食む草原で、見渡す限りどこにも山や岩場らしきものが見えない。そんな草原のまん中に、不意に高さ4~5メートルもの巨石が何本もそそり立っている。

そして形。ただでさえ異様な巨石がきれいなサークル状に並べられ、石の上に巨大な石が乗っかっているものもある。石という自然の素材のみを使っていながら自然とかけ離れたその姿。知識などなくてもこの石のモニュメントが「非日常」であることはよくわかる。
ストーンヘンジ

ただ石が並べられているだけなのに、なぜこんなにも人の心を打つのだろう?

古代のケルト人たちはこうしたメガリスを神々のすみかであるとして崇め、中世の人々は魔女の仕業であるとかアーサー王物語の巨人が運んできたのだといった伝説で答えようとした。いまでも、宇宙人の手によるものだとか、霊的なモニュメントであるとかいう人々もいる。

実際に見てみるとあまりに巨大でとても人の手によるものだとは思えない。その気持ちがよーく、わかる。