再々始動した「省エネ住宅ポイント」制度
第1回目の申請受付が開始されたのは2010年3月。環境性能の高い「家電」「自動車」「住宅」の普及を促進し、地球温暖化対策と景気回復への期待を込めて、民主党の鳩山政権下で産声を上げました。エコカー減税や家電エコポイント制度とともに、景気刺激策として住宅エコポイント制度は大成功を収めることになりました。
しかし、2011年3月に東日本大震災が発生したことで、今度は被災地復興支援を目的に、野田内閣のもとで2012年1月から「復興支援・住宅エコポイント」の申請受付が再スタートしました。その時も当初の想定を大きく上回る活用が図られたため、工事の対象期間を2012年7月末に前倒しし、予算の上限に達し次第、被災地を除いて受付は終了してしまいました。
それから2年弱、またしても想定外の落とし穴がありました。消費税率8%の引き上げに伴う反動減は想像以上に住宅市場を苦しめました。そこで、安倍内閣によって緊急経済対策が閣議決定され、住宅市場活性化策として「省エネ住宅ポイント」が再々始動する運びとなりました。
こうして“3匹目のどじょう”を狙うべく、今春から本格始動した省エネ住宅ポイント制度。一戸建て住宅での活用を想定する人が多いのですが、分譲マンションでも同様にポイントが付与されます。事実、私自身も自宅マンションの大規模改修工事に伴い、前回の「復興支援・住宅エコポイント」の時にポイントをもらいました。
そこで、本稿ではこうした実体験も交えながら、管理組合向け「省エネ住宅ポイント」の活用術をご紹介します。
大震災により、自宅マンションの約3分の1の住戸で窓ガラスにひびが入る
今春で東日本大震災の発生から4年が経過しました。幸い、先の震災では大破して致命傷を負った分譲マンションはありませんでしたが、外壁のひび割れやライフライン(受水槽や受変電設備など)、立体駐車場がダメージを受けるなど、小破・軽微な被害を受ける分譲マンションは少なくありませんでした。実は、私の住むマンション(東京都杉並区)も例外ではなく、全68世帯中26世帯、枚数にして38枚の窓ガラスがひび割れました。ほぼ3分の1の世帯に被害が及ぶという深刻な事態に見舞われました。
当日、杉並区は震度5強の揺れに襲われ、マイコン制御器(感震器)を組み込んだ安全装置付きガスメーターが作動し、多くの世帯でガスが自動的に遮断されました。2基あるエレベーターも緊急停止し、その復旧には2日程度を要しました。今思えば、ケガ人がひとりも出なかったのが不幸中の幸いです。
運命のいたずらなのでしょうか、この年(2011年)は私が管理組合の理事長をしておりました。そこで、急きょ、理事会を開催して今後の対応策を各役員と検討しました。窓ガラスがひび割れた家庭では窓をガムテープやダンボールで応急処置しており、悠長(ゆうちょう)に議論している時間はなかったからです。
そして、理事会が出した結論は全世帯の窓とサッシを一体交換することでした。「サッシ(窓枠)」も「窓ガラス」も共用部分ですので、法性格上、居住者が勝手に窓を修理することはできません。そこで、管理組合が先導して全世帯の一斉交換を提案し、総会決議を経て大規模交換工事の実施へと漕(こ)ぎ着けました。工事費は総額およそ2700万円。332万5000ポイントが管理組合に付与されました。
このポイントをどのように活用したか?―― 次ページで、管理組合による「省エネ住宅ポイント」の上手な活用法をご紹介します。