「マンションは管理を買え!」—— その本当の意味とは?
「マンションは管理を買え!」—— 誰もが聞いたことのあるフレーズでしょう。2006年6月に住生活基本法、そして今年(09年)6月には長期優良住宅普及促進法が施行されたことで、日本の住宅政策は「ストック重視型」へと大きく方向転換しました。国策として「いい物をつくってきちんと手入れし、長く大切に使う」という精神が標榜(ひょうぼう)されたのです。

これにより、これまで以上に分譲マンションに住む誰もがマンション管理に関心を示すようになるでしょう。とてもいい傾向だと思います。ガイドの1人としても期待が高まります。しかし、「マンションは管理を買え!」と言われても、では

  • どこへ行けば、マンション管理は買えるのでしょう?
  • 一体、誰がマンション管理を売っているのでしょう?
ふざけた質問をするな、とお叱りを受けそうですが、この疑問、きちんと正確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。そもそも、「マンションは管理を買え!」という出発点が間違っているわけですから、無理もないのかもしれません。そこで今回は、「マンションは管理を買え!」というフレーズの本当の意味(真意)を探ってみることにします。分譲マンションにお住まいの方、必読です。

マンションの「資産価値」とは一体、何なのだろうか?


近頃、住宅関連の情報誌や書籍を見ていると、やたら「資産価値」という言葉が目に付きます。「リセールバリューのあるマンションを探せ!」「資産価値の落ちないマンションを狙え!」と、まるで“呪文”のような様相です。資産価値が重要なことはいつの時代も変わらないのに、バブル崩壊により土地神話が成り立たなくなったことで、昨今、取って付けたように「資産価値」を崇拝する傾向が顕著になっています。

はたして、住宅供給者側のプロモーション戦略なのか、それとも、消費者が30年(滅失住宅の平均築年数)で寿命を迎える我が国のマイホームに、無理やり何らかの価値を見い出そうとしているのか。—— その真意ははっきりしませんが、収益還元法の定着により「利回り」こそが“マイホーム価値そのもの”といったような考え方には疑問を呈さざるを得ません。マイホームは投資物件ではないのです。

そもそも、資産価値とは何なのでしょう。しばしば、マンション管理についての書籍やコラムを見ていると、資産価値の高いマンションの条件として「駐輪場が整理整頓されている」「ゴミ置き場がきれいな状態に保たれている」ことが表立って挙げられています。確かに、きれいな方がいいのは当然です。

しかし、自転車あるいはゴミ置き場がきれいなのは、管理人がきれい好きで真面目な人だからであって、管理組合運営が順調かどうかとは、直接、関係しません。管理人の“仕事ぶり”だけで、マンション管理全体の善しあしを判断するのは早計なのです。「修繕積立金が潤沢にある」「住民トラブルが少ない」といった本質部分とはまったく別問題です。

本来の意味は「管理状態が良好なマンションを買え!」


では一体、マンション管理は誰がするものなのでしょう。ここは“復習”ですが、マンション管理の主体は管理組合です。管理会社や管理人は業務委託先であって、彼らは管理組合運営に関する権利・義務を何ら持ち合わせません。にもかかわらず、「マンションは管理を買え!」=「マンション管理をお金で解決する」=「自分たちはやらなくていい」といった発想は、本来の趣旨を逸脱してしまいます。

「自分たちだけでは対応できないから、プロ(管理会社)にお金を払って委託しているんだ」—— このように、主従関係を明確に理解できている管理組合であれば問題は少ないでしょう。しかし、「突然、管理会社から管理費の値上げを通告された。そうすればいい?」「会計業務をすべて管理会社に任せていたために、修繕積立金を全額、横領されてしまった」という話は尽きることがありません。すべて、『管理会社依存症』という病気の弊害です。

もともと、マンション管理は所有者自身の問題。決して、マンション管理は「買うもの」ではなく「自ら行うもの」です。「マンションは管理を買え!」というフレーズの本当の意味は、「管理状態が良好なマンションを買え!」ということなのです。管理会社に業務委託することを否定しているわけではありません。居住者全員の主体性こそが、マンションの資産価値を高める。—— 自己責任・自助努力あってのマンション管理なのです。

【参考】管理組合のマネープラン
1.マンション管理運営に影を落とす財政問題
2.企業の「思惑」で決まる修繕積立金の“裏”事情
3.「無知・無関心」による管理費の“不正”流用
4.修繕計画を自社の「売上表」と見る管理会社
5.管理組合と管理会社の「格差」を埋めろ!!
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