マンション管理/マンションの大規模修繕・建て替え

管理組合向け「省エネ住宅ポイント」の活用術(2ページ目)

2015年春から本格始動した「省エネ住宅ポイント」。一戸建て住宅での活用を想定する人が多い印象ですが、分譲マンションでも同様にポイントが付与されます。管理組合にとって、共用施設をリニューアルする絶好のチャンスです。本稿では発行ポイントの上手な活用法をご紹介します。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


付与ポイントを「即時交換」して、共用部分の修繕工事に活用しよう 

イメージ写真

「即時交換」により管理組合は持ち出しなしで共用部分をリニューアルできる。

私ガイドが上手な活用法として管理組合に提案したいのが、付与ポイントの「即時交換」です。332万5000ポイントを手にした私のマンションでは、「即時交換」を利用して共用廊下の照明を追加支出なして全部取り替えました。

即時交換とは、修繕工事を行なう工事施工者が追加的に実施する工事にポイントを充当する仕組みのことです。付与されたポイントを商品券や地域産品に交換するのではなく、追加のエコリフォーム代金に割り当てる制度です。

私のマンションの場合、付与されたポイントの約2分の1(150万円相当)を照明交換費用として充当しました。老朽化が進み、近いうちに交換する必要に迫られていただけに、反対意見もなくスムーズに工事に着手できました。

住宅ポイント制度で発行されるポイント数は“1戸あたり”最大30万ポイントです。分譲マンションの場合、たとえば総戸数100戸だとすると、1戸あたり最大30万ポイントが付与されますので、全戸がエコリフォームを行っていれば、最大3000万ポイント(100戸×30万ポイント)が管理組合に付与されます。1ポイント=1円換算で、最大3000万円の金銭的効果が期待できるのです。

積立金残高を減らすことなく、共用施設のリニューアルが実現可能 

ここで、どうして即時交換をお勧めするかというと、金額の差こそあれ、多くの管理組合で修繕積立金が不足しているからです。即時交換を利用すれば、管理組合は“持ち出しなし”で修繕工事が行なえます。積立金残高を減らすことなく、共用施設のリニューアルが実現するのです。

共同住宅ならではのスケールメリットといえるでしょう。たとえ1戸あたり最大30万ポイントであっても、世帯数が何十~何百戸となれば、管理組合にはかなりのポイントが付与されます。こうしたスケールメリットを上手に活用して、共用部分のリニューアルに着手してほしいのです。

その際、注意点としては、もともとのエコリフォームと即時交換を請け負う施工業者が同じ業者である必要があります。そのため、即時交換による追加工事には制約がかかります。

自宅マンションの工事の際には、運よく総合住宅設備メーカーに修繕を依頼していたため、「窓」と「照明」という本来なら専門メーカーごとに取り扱いが異なる修繕工事を同時に引き受けてもらえました。ひび割れた窓の交換を窓専業のメーカーに依頼していたら、廊下の照明交換は「取り扱っていない」という理由で実現できませんでした。「制約」とは、こういう意味です。即時交換を利用する場合は、工事依頼先の業容を見越した業者選定が欠かせません。

今回の省エネ住宅ポイントでも即時交換制度は温存されています。長期修繕計画上、共用部分の大規模修繕が間近なマンションでは、当該制度によるポイント付与を織り込んだ修繕の計画を立ててみてはいかがでしょうか。
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