ミュージカル/注目のミュージカルレビュー・開幕レポート

2015年3~4月の注目!ミュージカル

あたたかな陽気が嬉しい季節が巡って来ました。劇場ではこの春、大作が続々開幕、いっぽうで意欲的な新作も登場します。今回は『The Show Infected CONNECTION』『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』『魔法をすてたマジョリン』『アニー』『麦ふみクーツェ』『シャーロックホームズ2』等をご紹介。追加作品、観劇レポートも順次アップしてゆきますので、ぜひ定期的にチェックしてください!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

うららかな気候が嬉しい季節、春色のお洒落を楽しみながら劇場に出かけてみてはいかがでしょうか。この春はミュージカル・ファンならおさえておきたい公演が次々に登場します。随時追記する観劇レポートもどうぞお楽しみに!

3月開幕の注目!ミュージカル

『The Show Infected CONNECTION』3月19~22日=天王洲銀河劇場←稽古場レポートUP!、観劇レポートUP!
『アイ・ハブ・ア・ドリーム』3月11~15日=IMAホール←観劇レポートUP!
『魔法をすてたマジョリン』3月21日~4月5日=自由劇場

4月開幕の注目!ミュージカル

『小林一茶』4月6~29日=紀伊國屋ホール
『麦ふみクーツェ』4月10~19日=世田谷パブリックシアター、4月23~26日=シアターBRAVA!←観劇レポートUP!
『アニー』4月25日~5月17日=新国立劇場中劇場←制作発表レポート&観劇レポートUP!

AllAboutミュージカルで特集した、もしくは特集予定の注目ミュージカル

『レ・ミゼラブル』Star Talkにて出演・ヤン・ジュンモさんのインタビューを掲載しました!
『CLUB SEVEN』Star Talkにて出演・東山義久さんのインタビュー&観劇レポートを掲載しました!
『デス・ノート』Creatorsにて作曲・フランク・ワイルドホーンさんのインタビュー&観劇レポートを掲載しました!
『コルム・ウィルキンソン 日本スペシャル・コンサート』ゲスト出演・アール・カーペンターさんのインタビューを掲載しました!
『シャーロックホームズ2』Star Talkにて出演・別所哲也さんのインタビューを掲載しました!

【3月の注目作 Pick of the Month MARCH】

The Show Infected CONNECTION

3月19~22日=天王洲銀河劇場

『The Show Infected CONNECTION』

『The Show Infected CONNECTION』

【見どころ】
『シカゴ』のボブ・フォッシーも、POPSの帝王マイケル・ジャクソンも、実はフレッド・アステアのダンスに憧れ、影響を受けていた――。そんな興味深いエピソードが、ダンス界の様々なジャンルのスペシャリストたち、そして日本を代表するボーカリストのコラボによって、楽しく体感できる画期的なショーが登場します。

構成・演出は『フォッシー』『シカゴ』来日版にただ一人の日本人として出演し、日本におけるフォッシー・スタイルの第一人者である大澄賢也さん。中川晃教さん、宝塚歌劇団出身の蓮水ゆうやさん、河村隆一さんというシンガー陣に対して、日本人として初めてシルク・ド・ソレイユに出演した辻本知彦さん、ストリートダンスの世界大会で何度も優勝しているTATSUOさん、“錯乱スタイル”という独創的なスタイルで日米で活躍中のTAKAYUKIさん、ミュージカルで活躍する大野幸人さん、千田真司さん、神谷直樹さん、そして大澄さん自身が、「オールド・ミュージカルの名曲をマイケル・ダンスで」「マイケルのあの曲をフォッシーダンス&ストリート・ジャズ・スタイルで」等、ダンスの系譜、そして“今”を感じられるシーンを次々と展開します。初心者、通を問わず、ミュージカル・ファンなら必見のショーと言えるでしょう。
『The Show Infected CONNECTION』リハーサルより

『The Show Infected CONNECTION』リハーサルより

【稽古場レポート】
スペイシーな稽古場に足を踏み入れると、ちょうど「Too Darn Hot」(『キス・ミー・ケイト』)等をフィーチャーしたナンバーの振付が始まったばかり。中川晃教さんの、ソフトな中にもスリルを含ませたボーカルを聴きながら、大澄さんが辻本さん、千野さん、TAKAYUKIさん、神谷さんに振り付けていきます。

灼熱の中で男たちが一人一人小爆発をしてゆく様を、熟考し、自ら動きながら少しずつ振り付ける大澄さん。それを見ながら動いて見せる辻本さんが、大澄さんと同じ動きながらまったく違ったニュアンスを見せ、目が離せません。シアター・ダンスやマイケル・ジャクソン・スタイル、そしてシアター・ストリートJAZZスタイルが巧みに織り込まれ、アレンジされてゆく現場。丁寧に作りこまれる様子に、仕上がりが非常に楽しみになってきました。
大澄賢也さん。「僕はフォッシーと同じく股関節が開いていない体格なので、フォッシー・ダンスは肉体的には難しくなかったのですが、踊りの中に対極的な二要素を常に置く彼の感性がなかなか掴みにくかったです」(C)Marino Matsushima

大澄賢也さん。「僕はフォッシーと同じくあまり股関節が開いていない体格なので、フォッシー・ダンスは肉体的には難しくなかったのですが、踊りの中に対極的な二要素を常に置く彼の感性がなかなか掴みにくかったです」(C)Marino Matsushima

演出・振付の大澄さんによると、「日本人ってとかく“区分け”することが好きなので、ダンスもどんどん細分化されているけど、実はそれらは繋がっているし、混在したとしても成立するというのをお見せできれば。こういうショーはいろんなノウハウを理解していないと作りづらいけど、僕自身、年齢的にもいい時期に差し掛かったかなと思って」この公演を企画したのだそう。単にマイケル・ジャクソン・スタイル等を見せるいわゆる“オマージュ公演”ではなく、「真似事ではなく、今の僕らの感覚でリメイクする。そしてさらに若い世代に継承してゆく」ことを意識しているそうです。

『The Show Infected CONNECTION』リハーサルより

『The Show Infected CONNECTION』リハーサルより

多彩なキャストは大澄さんが思い描いていた理想の布陣で、「アッキー(中川晃教さん)は、彼の歌でないとダンスとコラボできないと思ってたくらい一緒にやりたかった人。歌の中にあるソウルとリズム感が素晴らしい。また河村隆一君が『シカゴ』の縁で出演してくれることで、歌声の説得力が増し、ショーがぐっとグレードアップすると思う。紅一点の蓮水さんは宝塚の男役出身で、男性的なものも女性的なものもできる、ふり幅の広い方。それに、一人で何十分もソロ公演ができる世界的なダンサーたちが参加してくれているので、これで面白いショーにならなかったらよっぽど僕の責任です(笑)」。いえいえ、大澄さんのフォッシー・スタイル含め、見どころに次ぐ見どころとなる予感・大です!
『The Show Infected CONNECTION』写真提供:天王洲銀河劇場

『The Show Infected CONNECTION』写真提供:天王洲銀河劇場

【観劇ミニ・レポート】
冒頭、舞台上のスクリーンには絶えずSNS上の(架空の)メッセージが映し出され、その着信音が鳴り響きます。スマホを持って現れ、黙々と画面を操作する男たち。どこにでもある日常的な光景も、舞台上では無機質でどこか異様なものとして映ります。そのまま舞台は近未来へと移り、蓮水ゆうやさん、中川晃教さん、そして河村隆一さんが歌で、そしてその周りでダンサーたちがダンスで、人類の孤独をスタイリッシュに表現。ビートを効かせてアレンジした「白鳥の湖」をテーマに、歌声とダンスが炸裂します。ひとしきりの後、蓮水さん、中川さん演じる近未来の男女が初めて「あなたの声が聞こえた」「言葉が響いた」と言葉を交わしてシーンは終結。自らの肉体を用いて表現し、コミュニケーションをすることを忘れてしまった人類にはどんな未来が待っているのか、人類は肉体に“回帰”する時にあるのではないか。……作り手、演じ手たちの思いのこもったパフォーマンスによって、第一部は“文明批評”的メッセージが胸に刺さるシーンとなりました。
『The Show Infected CONNECTION』写真提供:天王洲銀河劇場

『The Show Infected CONNECTION』写真提供:天王洲銀河劇場

続く第二部は打って変わり、アステア・スタイルのダンスがどのようにボブ・フォッシー、そしてマイケル・ジャクソンら後世の人々に影響を与え、発展していったのかを、時系列ではなく各スタイルをシャッフルしながら表現。「Billy Jean」「Bad」等のマイケル・ジャクソンのヒット曲が、彼本人かと錯覚するほどそっくり(?!)の中川さんの歌声で聴けるだけでも感動的ですが、それらと絡み合うダンスが、トップダンサーたちのさりげない超絶技巧により、アステア風からフォッシー風、ストリート・スタイルへとスリリングに、違和感なく変化。ダンスの系譜の興味深さに改めて目が見開かれた方が多かったのでしょう、カーテンコールでは反射的に立ち上がるオーディエンスが多々見受けられました。
『The Show Infected CONNECTION』写真提供:天王洲銀河劇場

『The Show Infected CONNECTION』写真提供:天王洲銀河劇場

今回は複数で踊るシーンがほとんどでしたが、できれば“次回”はソロでダンサーお一人お一人のテクニックをじっくり見る場面もぜひ……。大澄賢也さんの確かな演出・構成・振付力に、思わずそんな期待も生まれる公演となりました。


*次頁で『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』以降の作品を紹介します!

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