アイ・ハヴ・ア・ドリーム

3月11~15日=IMAホール

『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』

『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』

【見どころ】

ミュージカル座誕生のきっかけとなり、97年に初演された『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』。黒人公民権運動に揺れる1950年代のアメリカを舞台に、マーティン・ルーサー・キング牧師の存在を心の支えに“自由”のため立ち上がる若者たちの姿を描いたミュージカルが、7回目の上演を迎えます。

主人公ジャネット役には、ミュージカル座初出演の吉沢梨絵さん。『マンマ・ミーア!』『レディ・ベス』等で躍動感溢れるボーカルを聞かせてきた彼女がどんなヒロインを演じるか、期待が集まります。演出は台本、作詞作曲を海外発注したチャレンジングな作品『BEFORE/AFTER』が記憶に新しい中本吉成さん。様々な社会的テーマを扱ってきたミュージカル座の原点ともいうべき作品だけに、とりわけ気合の入った舞台となりそうです。

『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』写真提供:ミュージカル座

『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』写真提供:ミュージカル座

【観劇ミニ・レポート】

1955年、まだ人種差別の激しかった米国アラバマ州。物語は教会でマーティン・ルーサー・キング牧師のスピーチに感動したジャネットとその仲間の女工たち、そしてジャネットの弟マイクが加わる不良青年たちという二つのグループが絡みながら進行します。キング牧師に触発され、人種隔離を公然と行うバスをボイコットしようという運動に希望を見出すジャネットたち。ドラマはここから俄然パワーを持ち始め、勇気を持って立ち上がった人々の「自由への行進」が力強いコーラスで歌われます。

しかし白人たちの反撃は予想を上回り、大切な人々が傷つけられるに及んで、一部の黒人たちは暴力で戦おうとします。その先にあるものは……。

『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』写真提供:ミュージカル座

『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』写真提供:ミュージカル座

主人公のジャネット役は、劇団四季で活躍していた吉沢梨絵さん。ドラマティックな役柄というより、経緯を見守ってゆくタイプの役柄ですが、凛としたたたずまいにはぶれない意志が漲り、台詞においてはダントツに言葉が粒立って、本作の支柱的な存在感を放っています。いっぽう、ドラマティックという点では本作唯一の白人キャラクター、トムが興味深い役どころで、はじめはジャネットの仲間フィリスの婚約者として好青年的に登場するものの、父親のバス会社が黒人たちにボイコットされると暴力組織KKKに参加。そこでリンチに遭うことで目が覚め、人間的な成長を遂げてゆきます。演じる中本吉成さん(今回の演出も兼務)は、当時の良心的な白人の苦渋をうかがわせる熱演。

『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』写真提供:ミュージカル座

『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』写真提供:ミュージカル座

ほか、不良グループのリーダーで暴走してしまうスパイク役宮垣祐也さん、その恋人リン役中村百花さんら、アンサンブルの一人一人にまで気合が満ち、困難を克服していった人々の物語に説得力を与えています。ミュージカル座のレパートリーの中でもとりわけ直球で、後味の爽やかな作品と言えましょう。


魔法をすてたマジョリン

3月21日~4月5日=自由劇場

『魔法をすてたマジョリン』

『魔法をすてたマジョリン』

【見どころ】

劇団四季のファミリー・ミュージカルの中でも不動の人気を誇る『魔法をすてたマジョリン』が、全国公演を経てこの春休み、東京に帰ってきます。

123歳、だけどまだ小学生の天真爛漫な魔女マジョリンが、初めて人間の住む村へ出かけ、人々と触れ合う中で友情や思いやりの素敵さを知る物語。禁を破ったマジョリンは魔女たちに捕まり、処刑されそうになってしまいます。マジョリンの運命やいかに?!

「本当に大切なこと」をきれいなメロディにのせ、シンプルに、直球で届けてくれるミュージカル。絵本の世界のような衣裳も楽しい名作は一人でも、ご家族でも楽しめることうけあいです。(詳しい見どころはこちら)。

小林一茶

4月6~29日=紀伊國屋ホール

『小林一茶』

『小林一茶』

綿密なリサーチをベースに、数多くの傑作を執筆した劇作家、井上ひさしさん。彼が得意とする評伝的な戯曲の一つで、紀伊国屋演劇賞なども受賞、高い評価を得ている『小林一茶』が10年ぶりに上演されます。一茶の人生を変えたと言われる七日間に起こった事件とは?主人公に若手実力派の和田正人さん、ライバルの俳人、竹里役に石井一孝さんが扮し、一人の女性を命がけで奪い合う顛末がテンポ良く描かれてゆきます。

痛烈な社会風刺も含むものの、要所要所で歌を取り入れ、エンタテインメント性豊かに上演される井上戯曲。本作にも歌唱シーンが登場するものの、これまで数々のミュージカルに主演されてきた石井一孝さんに関しては、今回は歌よりも圧倒的に台詞の方が多いのだそう。以前のインタビューで“新劇好き”を公言されていた石井さんが、言葉遊びの多い井上戯曲でどんな台詞術を聴かせ、それを歌に移行させていくのか。石井さんの新たな魅力を発見できる舞台となりそうです。

*次頁で『麦ふみクーツェ』以降の作品をご紹介します!