3.上手なブランドデザインと人気感の醸成

ブルーボトルコーヒーの店舗外観はアップルストアと雰囲気がよく似ている。余計な装飾の無いシンプルな白一面の壁に、ブルーのロゴマークだけが映える。もしアップルストアがカフェだったら、こういう雰囲気になるだろうなとさえ思わせてくれるデザインだ。シンプルなテーブルやチェアもアップルストアの雰囲気に似ている。

今の日本において、アップルは多くの人からもっとも根強く愛されているブランドの代表格と言ってもいいだろう。新製品発表時には、熱狂的なファンでなくても多くの人が新製品に注目する。情報過多の時代において、新製品への関心の高さは他のブランドとは比較にならない。また新製品発売時には、熱狂的なファンがアップルストアに徹夜で行列するほどだ。実は、ブルーボトルコーヒーを語る上で、重要なポイントは「アップルっぽさ」を感じさせる点にもある。アップルっぽさが醸し出されることにより、「もしかしたらブルーボトルコーヒーはカフェ業界におけるアップルのようにとてつもないブランドになるのではないか」という期待感が消費者の間で高まったのかもしれない。


4.過熱する日本のコーヒー市場。好タイミングでの上陸

ここ数年、日本におけるコーヒー市場の争いは激化の一途を辿っている。スターバックスコーヒーやタリーズなどのコーヒーチェーン店に加え、マクドナルドのプレミアムローストコーヒー、セブンイレブンやローソンのコンビニコーヒーなど安くて美味しいコーヒーも続々登場してきた。オフィスを見れば、ネスカフェがアンバサダープログラムを大々的に展開している。このような状況下、2015年に入りセブンイレブンはドーナツ販売を本格的に開始した。まるでミスタードーナツかと思わせるようなドーナツをレジ横コーヒーベンダーの近くに置いたのだ。これはドーナツとコーヒーの販売相乗効果により、セブンイレブンのコーヒー販売をさらに伸ばすことにも繋がるだろう。

市場全体が盛り上がっているということはメディアにとっても格好のネタである。雑誌やテレビの情報番組はつねにトレンドやブームを探している。表参道におけるパンケーキ、ポップコーンブームに代表されるように、話題性のある情報を探し、発信している。コーヒー市場のさらなる盛り上がりによって、メディアはさらに情報発信を強化し、人々はますます市場への注目度を高めていく。ブルーボトルコーヒーは最高のタイミングで市場に参入したといえる。



ブルーボトルコーヒーの日本進出。まずローンチングは大成功したと言っていいだろう。ただし、ビジネスにおいて重要なことは、一時的に大きな話題性を獲得することではなく、継続的に集客し売上を上げていくことだ。さっそく2015年3月に青山に2号店、続いて代官山店のオープンが予定されている。1杯1杯こだわりを持って提供されるブルーボトルコーヒー。今後も規模拡大や売上増加ではなく、コーヒーへのこだわりを最重視した経営ができるかどうか。そのポイントこそ、ブルーボトルコーヒーが日本で成功するかどうかを決める重要な鍵になってくることだろう。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。