オープン日、待ち時間は最大約2時間以上の行列
過熱する日本のコーヒー市場だが……
1.産地へのこだわり、煎れ方のこだわり
にぎわうブルーボトルコーヒー
そして登場した第三の波。豆の産地にこだわり、1杯1杯にこだわりを持ってコーヒーを提供していくものだ。サードウェーブコーヒーを代表する存在として日本に登場したブルーボトルコーヒー。1号店を訪れてみると感じるのは、まるで工場のような雰囲気だ。外観こそシンプルな白の壁に青のボトルロゴが映えるのだが、空に向けてダクトが高く立ち、中には工場の機械のようなものも見えるのだ。2週間経ってから訪問した時も、平日の昼間だったが3時間待ちの行列が出来ていた。それにも関わらず、中にいる店員は自分のペースを乱すことなく、1杯1杯コーヒー作りに集中していたのが印象的だった。この雰囲気から、ブルーボトルコーヒーが強いこだわりを持ってコーヒーを作っていることが伝わってくるのだ。
2.一号店として意外性のある出店場所
熾烈を極める日本のコーヒー市場で受け入れられるためには、サードウェーブコーヒーの特徴でもある”こだわり”を強烈に打ち出すことがPR的には正解だ。"こだわり"をPRするための工夫は日本1号店の出店場所に現れている。ブルーボトルコーヒーは日本1号店を青山でもなく代官山でもなく六本木でもなく、あえて清澄白河という意外性のある場所に出店してきた。清澄白河は知る人ぞ知るアートとコーヒーの街。清澄白河には、古い建物をリノベーションして使用している施設も多く、その意味でブルーボトルコーヒーの"こだわり"は、清澄白河という街の持つ特性とも相性がいいと言える。結果的に、「ブルーボトルコーヒーはオシャレな代官山や渋谷近辺のカフェとも、どこでも飲むことができるスタバなどとも違う。意外な場所に出店するからには大きな自信があるのだろう」という印象を消費者に与えたのではないか。
ちなみに、普通に考えれば500円前後のコーヒーに2時間以上の行列をすることは考えにくいのだが、ここに来る人達にとっては2時間以上の待ち時間も、コーヒーを楽しむまでの有意義な時間なのだろう。客層を見れば男女比は半々で20~30代の2人グループが目立っていた。ガイドが入店を待つ間、彼らの多くが、スマホをいじるよりも、語り合ったり、読書をしたりしていたのが印象的だった。
ブルーボトルコーヒーは、1号店で"こだわり"を見せた後、2号店を青山、3号店を代官山とカフェ人気の高いエリアにオープンさせる予定だ。1号店オープンを最大限PR出来たことは、2号店や3号店にも良い影響を及ぼすだろう。コーヒーへの"こだわり"を消費者に強く訴えることができたというこの「成功」は、より大きな注目を浴びることに繋がるはずだ。
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