「イクメン」「カジメン」がいつしか自慢になっていませんか?
「オレ流の育児」を子どもは喜ぶのに、妻は関心がないようで・・・・・・
何にでも自信を持って取り組むのはいいことですが、はたしてそのやり方で、肝心の「妻の気持ち」にアクセスできているでしょうか? なかには、「俺のようにやればいいのに」といわんばかりの態度で、妻の苛立ちを誘っている例が少なくないように思います。
では 「情緒的サポートだけ頑張れば、妻は満足するのか?」というと、そういうものでもありません。「君のおかげだよ」「僕は幸せだ」といくら言葉で感謝しても、そんな言葉は新婚時代ならまだしも、時がたてば不審に思われるのがオチです。「口ばかり動かしてないで、少しは手を動かしてよ!」と道具的サポートを求められてしまうでしょう(笑)。
「気持ち」を込めるだけでも情緒的サポートになる
大切なのは、道具的サポートと情緒的サポートの両方をバランスよく組み合わせて行うことなのです。育児に振りまわされている妻を思い、「妻の気持ちを少しでも楽にしてあげたい」という気持ちで子どもの面倒を見る。終わらない育児を切り回す妻の気持ちを思いながら、自分ができる手伝いをする。このように、道具的サポートと情緒的サポートをミックスすれば、気持ちと努力が妻の心に届くのです。
「俺だって毎日働いてるのに、感謝の言葉ひとつかけられたことないぞ!」と思うかもしれません。実際、妻の方も家事育児の道具的サポートだけに終始していて、夫への情緒的サポートができていないのでしょう。とはいえ、「してもらってないのだから、するもんか」という考えでは、夫婦の気持ちはいつまでたっても平行線です。大切なのは、気づいた方から実践することです。別に、歯の浮くようなセリフを言う必要はありません。いつもやっている道具的サポートを、相手への感謝の気持ちを込めて行えばいいだけです。
こうしたことを伝えると、「はっきり言って、女房の家事育児には不満。どこに感謝すればいいのか?」という男性が結構おられます。そんな方は、その発想自体を見つめ直す必要があります。そもそも家事育児を好きではない妻が、夫のために日々料理や洗濯を続け、夫の子どもを育てている――その努力に目を向けて、感謝をする気持ちが必要です。
世の中に「イクメン」「カジメン」が増えるのは、大歓迎です。とはいえ、そのことで夫婦の気持ちがすれ違ってしまったら、本末転倒です。家事育児参加から少しでも夫婦の関係がよくなるよう、家庭内ソーシャルサポートのバランスについて、少しじっくり考え直してみませんか?