キャリアプラン

未来志向? 現在志向? どちらがキャリアに必要なのか

キャリアを論じる際、「未来志向」の考え方と「現在志向」の考え方があります。キャリア論を唱える学者や有識者は様々なスタンスでキャリアの構築方法を提唱されています。それらをうまく組み合わせることがキャリアを開発する上での成功への鍵と言えるでしょう。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

「未来志向」と「現在志向」

「未来志向」と「現在志向」

ビジョンはキャリア開発のエンジンです!

「未来志向」の考え方とはキャリアエンジン(キャリアを構築する上での動機付け)を未来に置く考え方です。10年後、5年後の在りたい姿(理想像や目的地)を具体的にイメージします。そのビジョンの達成に向けて、採るべきアクションプラン(戦略)を策定し、それに従って行動していくという考え方です。

「現在志向」の考え方とは“今、ここ”に注力することによって、その延長線に新たなキャリアが獲得できるという考え方です。今、やるべきこと、やらなければならないことを明確にし、使命感や責任感を持って取り組んでいく結果として、次なる世界が見えてくるという考え方です。

計画的偶発性(プランドハップンスタンス)理論という考え方がありますが、これはいわゆる現在志向のスタンスであり、極論すればキャリアプランは不要であるという立場に立つものです。つまり、その時の出会いや出来事によって、それが節目や転機となり、キャリアは形成されていくという考え方です。(詳細は「計画的偶発性(プランドハップンスタンス)理論とは?」の記事を参照)

“今、ここ”を大切にし懸命に生きていれば、未来のキャリアを見い出すことができるということでしょう。キャリアビジョンに囚われすぎると、その目的達成のためだけに注力するため、“いま、ここ”で、新たなチャンスを見逃してしまうことがリスクと捉えられるのです。
 

どちらの視点が重要なのか?

さて、読者の皆さんは、未来志向と現在志向、どちらのスタンスでしょうか?今一度、考えてみて下さい。

経営者など、世間的に成功した人たちの話を聞くにつけ、ほとんどの人は未来志向のスタンスが強いという印象を受けます。自分なりの中長期目標を掲げ、それに向けて徹底した努力を積み重ねています。ただし、現在のキャリア論の風潮としてはやや現在志向になってきている感があります。
使命感や責任感を持って、”今、ここ”に注力することもキャリア開発のエンジンとなります!

使命感や責任感を持って、”今、ここ”に注力することもキャリア開発のエンジンとなります!

ガイドは両方の志向をミックスさせることが最適であると考えています。現在志向のスタンスだけであると、目の前だけに注力することになり、情報収集において感度が弱いと考えます。ビジョン、目的が明確な人はアンテナが高く、結果的に情報収集の感度が良くなるものです。

こちらは弊社の能力測定データでも顕著で、ビジョンの得点と情報収集の得点は強い相関関係にあります。ビジョンは言い換えれば目的地のことです。つまり、目的的に情報を収集したり、時間を管理したり、リーダーシップを発揮することができるようになります。
 

ビジョンはキャリアのためのエンジン

このように、ビジョンは中長期視点での在りたい姿・目的地であり、その実現こそがモチベーションに繋がるため、キャリアエンジンと言えましょう。この視点を持ちつつ、今しなければならないこと、すべきこと、こちらは使命感や責任感という別のエンジンをベースに注力すべきでしょう。

この2つの志向をうまく組み合わせることで強いターボエンジンを持って事に当たることが可能になります。この2つのエンジンを持ち合わせれば、集中力も増し、時間当たりの生産性も高くなることでしょう。

能力測定データでは、バリュー(価値観をベースとしたやるべきこと、しなくてはならないこと)およびビジョンの得点が高い方は基礎力(仕事力)や専門力(実務力)が結果的に高く、高業績者が圧倒的に多い傾向にあります。

読者の皆さんも、ビジョンとバリューというエンジンを兼ね備え、キャリアを構築していくことをお薦めします。

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