ロジカルシンキング/ロジカルシンキングの基礎知識

ロジカルシンキング基本とは?基本の論理パターン3つ

ロジカルシンキングとは、論理的と考えるという2つの意味を組み合わさせた言葉です。論理は理性とも呼ばれ、アリストテレスの時代から西洋の哲学によって発展してきました。長い歴史のなかで、3つの基本的な論理が生まれています。この3つの考え方について解説します。

執筆者:大石 哲之

ロジカルシンキング基本 3つの論理パターン

ロジカルシンキングの基本3論理を学ぼう

ロジカルシンキングの基本3論理を学ぼう


ロジカルシンキングとは、ロジカル(論理的)にシンキング(考える)という2つの意味を組み合わさせた言葉です。では論理的とはどういうことなのでしょうか。

論理は理性とも呼ばれ、アリストテレスの時代から西洋の哲学によって発展してきました。その長い歴史のなかで、3つの基本的な論理が生まれています。これがロジカルシンキングにおいても基礎となる考え方です。
 
  • 演繹法
  • 帰納法
  • 弁証法

この3つの論理を理解し、場面によって応用できるようにしたいものです。本記事では、これらの3つの論理について簡単に解説します。
 
<目次>
 

ロジカルシンキング1:論理を積み重ねていく「演繹法」

学校でいちばん最初に習う考え方「××だから、○○である」というのが演繹法の論理です。

演繹法は、数学的な考え方。だれもが疑いようのない自明な公理から出発していき、論理を積み重ねることによって、複雑な結論にいたります。古代ギリシアの哲学者アリストテレスの思考法ともいわれ、その論法は3段論法とも言われます。

大前提: すべての人間はいずれ死ぬ
小前提: 私は人間である
結論: 私も、いずれ死ぬ

大前提: 2で割り切れるものは偶数である
小前提: 40は2で割り切れる
結論: 40は偶数である

という形をとるので、これは数学の論理を発展するときに近い感じです。
 

演繹法の落とし穴

論理を作るのが簡単であるため、多く使われる手法ではありますが、反面落とし穴も存在します。

■論理が長くなりがち
「××だから、○○である」を続けていくとどんどん長くなっていき、結論にいたるまでに大量のステップが必要になってきます。ビジネス上の説明では、せいぜい論理は3段くらいまでにしたいところ。何段階にもわたる複雑な論理ステップは、相手の理解が追いつきません。

■論理が飛躍しがち
論理を積み重ねていく間に、たった1ヶ所でも論理的につながっていない箇所が存在すると、結論が間違ったものになってしまいます。

たとえば、数学の論文では100ページを超えるようなものが長い論文がありますが、その100ページのなかで、たった1行でも論理的に間違っている箇所があると、結論は全く成り立たなくなってしまうのです。そうした脆さがあります。
 

ロジカルシンキング2:共通点から導き出す「帰納法」

グラフや統計から結論をひきだすのは帰納法的考え方

グラフや統計から結論をひきだすのは帰納法的考え方


帰納法は、多くの観察事項(事実)から類似点をまとめ上げることで、結論を引き出すという論法です。理科の実験、科学の分析の方法論と一緒です。

結晶Aは、○○の性質がある。
結晶Bも、○○の性質がある。
結晶Cも、○○の性質がある。
どうやら、ある種の結晶には、必然的に○○の性質がそなわっているようだ。

という具合です。要するに、観察をして共通の事項をくくりだし、議論を一般化させるということをやるのが帰納法です。帰納法では「納得感」が大事です。観察事項が適切でなかったり、少ない観察事項からむりやり結論を引き出そうとすると、「納得感に欠けてしまう」ことがあります。
 

 ロジカルシンキング3:ビジネスパーソンの必須ツール「帰納法」

ビジネスの現場では、圧倒的に帰納法がよく使われます。たとえば、このような場面では帰納法的な考え方が応用されています
 
  • 経営のデータを分析して、その傾向から、戦略を立てる
  • 株価の傾向を分析して、投資の予測を立てる
  • webのアクセスを分析して、顧客の傾向を把握する
  • 商品の売れ行きの統計をとり、マーケティング計画を立案する
  • 優秀なひとの仕事のやり方を研究し、必勝法を編み出す

いずれも
  • データ(観察事項)を一定数集めて、
  • そのなからどういう傾向があるかを見極めて、
  • ビジネス上の提案につなげる

というものです。ビジネスでの提案の論理は、およそ帰納法をつかっていることが多く、ビジネスパーソンにとって必須の論理といえましょう。
 

哲学的思考により近い弁証法

革新的ビジネスモデルの立案に弁証法を

革新的ビジネスモデルの立案に弁証法を


弁証法とは、ドイツの哲学者ヘーゲルが考えたもので、「世界や事物の変化や発展の過程を本質的に理解するための方法」とされます。基本的には、物事には対立があり、それらを統合したより上位の概念が生まれていく、という過程をとります。

たとえば、「赤」について考えてみましょう。

世界が赤色だけで成り立っているとしましょう。赤色だけの世界に、色はあるでしょうか? 赤色という色がある? いえ違います。赤一色しかないわけですから、色という概念自体がないはずです。すべてが赤色なのですから。

そこに、青という色が混ざったら、どうでしょうか。青は、赤色と相容れない対立する色です。しかし、青が対立することによって、我々は初めて赤の他に青がある、この違いとはなんだろう? そうか、上位の概念として「色」というのが存在するはずだ、と気づくのです。

別の例を挙げましょう。

「生」と「死」は対立する概念です。しかしどちらか一方しか無い世界、たとえば「死」がない世界では、ずっと生き続けられてしまうわけですから、「生」しかありません。生だけしか知らない世界では、寿命や時間といった概念がないかもしれません。死というリミットがあることで、初めて生と死の対立から、上位の思考が出てくるのです。
 

ビジネスでも使える弁証法

「ビジネスに弁証法を応用しよう」という本がいくつか出版されています。ビジネス環境がとても流動的な現在においては、大局観や歴史観といったものが見直され、先を読み次世代のビジョンを示す力がリーダーには要求されています。

弁証法を用いることで、このようなビジネスの流れを大局し、次の時代の新しい概念を打ち出したり、新しいビジネスモデルを考えることに利用できます。

たとえばgoogleなどは、今まで矛盾すると思われていた概念を上位のレイヤーで統合していくことで、革新的なサービスを産み出してきたといえます。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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