ロジカルシンキング/ロジカルシンキングの基礎知識

MECE(ミーシー)とは?ロジカルシンキングで使うビジネスの思考

MECE(ミーシー)とはロジカルシンキングで必ず出てくるビジネス上のフレームワーク。具体例を用いて基本的な考え方、なぜMECEが必要か、MECEを使った思考法を鍛えるトレーニング方法と、その上でカギとなる「切り口」について解説します。

執筆者:大石 哲之

MECE(ミーシー)とは? ビジネスフレームワークとしての思考

MECEはロジカルシンキングの基本

MECEはロジカルシンキングの基本

ロジカルシンキングを学ぶと必ず出てくるキーワードのひとつに、MECEというビジネスフレームワークがあります。これは、ミーシーと発音し、
 
  • Mutually
  • Exclusive
  • Collectively
  • Exhaustive

の頭文字をとったものです。日本語に訳すと、「互いに・モレがなく/全体に・ダブりがない」という意味になります。MECEを活用することによって、正しく全体像を捉えているかどうかを認識することができます。どういう場合が「MECEでない」ことになるのでしょうか?そしてMECEでないことで何が問題なのでしょうか?例をあげて解説します。
 
<目次>
 

MECE(ミーシー)の使い方! 問題解決に使える思考法

「ダブりはないがモレがある」例
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ダブリはないがモレがある例

例えば、携帯電話ショップに来店するお客さんについて考えています。来店者をいくつかのカテゴリに分類することを考えてみましょう。上図では来客者を「新規のお客様」「機種交換のお客様」の2つに分けています。となると、解約のお客様はどうなるの?となります。これが典型的な「ダブりはないが、モレがある」例です。来客者の全体像を捉えられていないのです。

■「モレはないがダブりがある」例
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モレはないがダブりがある

次が、モレはないもののダブりがある例です。同じく携帯ショップの来店者の分類の例で考えます。上図は「新規のお客様」「既存のお客様」「スマートフォン利用のお客様」の3つで分けています。新規と既存であらばMECEなのに、スマートフォンのお客様が入っていることによって、ダブりが生じています。スマートフォンのお客様は「新規のお客様」にも「既存のお客様」にもいるからです。

■「モレもダブりもある」例
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漏れもダブりもある例

さらに、モレもダブりもある例です。これは旅行市場の分類です。どの市場に力を入れていくか、といった議論をしている、と仮定しましょう。

この分類では、「海外旅行市場」「個人旅行市場」「法人出張市場」の3つにターゲットを分けていますが、これはモレもあればダブりもあります。海外旅行と個人旅行はダブっていますし、海外旅行と法人出張もダブっています。さらに国内旅行がモレてしまっています。このような抜けモレがあると全体を把握できず、部分的な議論になってしまいます。

■「モレなくダブりない」=MECEの例
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MECEになっている例

最後に、正しくMECEになっている例をあげます。再び旅行の例ですが、国内旅行と海外旅行という地域の軸で分けて、さらにそれを法人需要と個人需要で分けました。4分割されています。いわゆる2x2のマトリクスになっているわけです。これならモレもダブりもありません。市場全体を捉えることができていて、さらにマトリクスになっているという分け方です。
 

MECE(ミーシー)でないとビジネス上で何がまずいのか?

ロジカルシンキングの教科書などでは、「MECEを徹底せよ」と書かれています。なぜMECEにでなくてはいけないのでしょうか?
 
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よくあるまずいターゲティング

よくあるまずいターゲティングの例を紹介します。「携帯電話の販売強化」というテーマで議論しているとしましょう。どのような相手に対してどういう販促が効果的か?といった話です。MECEによるモレとダブりを認識していない場合は、思いつくままにターゲットが出てきてまとまらなくなってしまいます。

この例では、「ファミリー市場」は「20代社会人」「シニア市場」とダブっていますし、「スマートフォン」もしかりです。さらに、30代以上の社会人市場や法人市場がモレてしまっています。モレもダブりもある例です。

このような議論をしているときにMECEの考え方をきちんと理解していないと、自分たちがモレやダブリのある議論をしていることに気づかないことが問題です。「MECEを意識していない」ということは「全体像をつかめていない」ということです。

もちろん、全体像を捉えた上で「法人市場は力を入れない」という結論に至ることに問題はありません。「はじめから法人市場を検討から漏らしてしまう」のと「全体を捉えた上で結論に至る」のとでは意味が違ってきます。
 

MECE(ミーシー)を使って論理的に考えるコツ

MECEの本質は「全体を捉えた上で、いくつかの分類に、正しく分けること」です。その際のカギは「どういう視点で分けるのか」「どういう切り口で分けるのか」です。

携帯電話市場の例で言えば、20代、30代、シニアというのは、「年齢」の切り口です。スマートフォン、ガラケーは「携帯のタイプ」の切り口です。個人、法人という切り口もあります。ファミリーで使う、恋人で使う、仲間で使うという「用途」の軸や「ライフスタイル」の軸もあるでしょう。

全体を分類するには、いろいろな切り口があります。目的に沿って、どの切り口を使って分けるかが大切になります。また、複数の切り口を混在させると、モレやダブりが生じます。
 

MECE(ミーシー)ロジカルシンキングの基本

MECEはロジカルシンキングの基本中の基本です。たとえば問題解決手法である「イシューツリー」をつくる場合も、大きな問題を小さくに分割するときにMECEを使うことが必要になります。「2x2のマトリクス」もロジカルシンキングの応用としてよく使われる図解ですが、これも全体を2x2で4つに分類するというMECEの考えの延長にあります。

ロジカルシンキングを応用していく際には、あらゆるところにMECEが顔を出します。ロジカルシンキングを本当に身につけようと思ったら、まずはMECEを使った思考法が大切になるのです。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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