ロジカルシンキングの手法

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングの手法を知る

ロジカルシンキングには、基礎となる手法がいくつかあります。とくに、次の3つがロジカルシンキングの根幹をなす基本手法です。
  • 2つの推論方法、演繹法と帰納法
  • 論理を組み合わせるロジックツリー/ピラミッドストラクチャー
  • 抜け漏れをなくすMECEの考え方
それぞれ詳しく解説していきましょう。

推論のための論理は、実は2通りの方法に集約されます。演繹法と帰納法です。

【演繹法】論理をつなげて結論を引き出す

演繹法は、「××だから、○○である」という論理を数珠つなぎにしていき、結論を引き出す方法です。代表的な例に、アリストテレスの3段論法があります。

大前提:すべての人間は死すべきものである
小前提:ソクラテスは人間である
結論: ゆえにソクラテスは死すべきものである

このように式を次々に繋げていって推論を重ねていく手法、これが演繹法です。「数学の考え方」に近いといえるでしょう。

論理を作るのが簡単なため、一般に論理というとこの演繹法のことを指す場合が多いと言えます。身近な反面、落とし穴もあります。注意しないと論理の飛躍が起きたり、論理が長くなったりしがちで「屁理屈」のように聞こえる場合があります。

【帰納法】多くの事実から類似点をまとめて結論を出す

帰納法は、多くの観察事項(事実)から類似点をまとめ上げることで、結論を引き出すという論法です。

例えば、
「A社は新製品が出ていない」
「A社の従業員が多く辞めている」
「A社から支払いの先延ばしがあった」
といういくつかの事実から、

「A社は経営難に陥っている」
という結論を引き出す、というものです。帰納法は、複数の事実を元にして論理を展開するため、客観的で説得力のある理由付けができるようになります。観察事項(事実)を積み重ねて結論を出すところは、「理科の実験」的な考え方といえそうです。

帰納法では「納得感」が大事です。観察事項が適切でなかったり、少ない観察事項からむりやり結論を引き出そうとすると、「納得感に欠けてしまう」ことがあります。

演繹法・帰納法は、具体的にどこで役立つかというより、ロジカルシンキングの基礎の基礎、算数でいうと四則演算のようなものです。他の高度な手法を身につける上での前提となる手法です。

【ロジックツリー・ピラミッドストラクチャー】論理を組み合わせる

ロジックツリーやピラミッドストラクチャーは、演繹法と帰納法を組み合わせて、ツリー上に論理を構成する手法です。

■ロジックツリー
ロジックツリー

ロジックツリーで問題の構造を明らかにする

ロジックツリーでは、ツリーの一番上にある論点を、ツリーの下にいくにしたがって細かい論点に分けていきながら、問題の構造を明らかにします。例として「売上が頭打ち」を3つの要素に分解したツリーをあげます。
  • 「顧客の数が伸びない」ので(売上が頭打ち)
  • 「製品単価があがらない」ので(売上が頭打ち)
  • 「顧客あたり購買数が伸びない」ので(売上が頭打ち)
このように、ロジックツリーはプロジェクトなどで「問題の原因を探す」場合に力を発揮します。注意点としては、のめりこんでしまってツリーを3段・4段・5段と複雑なものにしがちですが、人間が理解できるのはせいぜい3段くらいまで、シンプルかつ本質をついたツリーをつくることを心がけましょう。

■ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーでは、下から上にツリーをさかのぼります。例として「導入するサーバーはD社のサーバーにすべきである」の理由付けとして、
  • 競合に比べて最も安い見積りである
  • サポート面でも実績がある
  • 業界スタンダード仕様で柔軟性がある
といった理由をツリー上に構成したものが、ピラミッドストラクチャーの形をしています。コンサルタントの報告書は、このピラミッドストラクチャーの方法で全体が構成されています。

【MECE】モレダブリを見逃さないの考え方

MECEとは、Mutually Exclusive, Collectly Exhaustiveの略で、そのまま日本語に訳せば「モレなくダブりもない」ということになります。「ミーシー」と発音されるのが一般的。MECEを活用することによって、全体像を正しく認識することができます。

mece

図1:抜け漏れダブりが発生して歯抜けになっている

図1の例では、携帯電話の利用者を「20代・若い人・OL・フリーター」の4つに分けて分類しています。これでは切り口がバラバラで(年齢の軸、職業の軸、性別の軸)抜け漏れやダブリが発生しています。




図2:抜け漏れがないMECEな切り口

図2:抜け漏れがないMECEな切り口

図2のようなMECEな分け方をすると、モレもダブりも発生しません。 たとえば、20代のほかに30代や40代もいるはずですが、その部分は空白になってしまっています。また、若い人というくくりと、20代というのはダブったり重なったりしています。20代でOLや、20 代でフリーターの場合、どこに分類していいのかわからなくなってしまっています。


 
MECEかどうかを検証することで、この場合は、携帯電話の市場の全体像を正しく捉えているかどうかを検証することができます。

MECEでは、闇雲に抜け漏れなくつくってもダメで、切り口が大事です。携帯電話であれば、利用金額や利用形態が違う層で(年代や生活パターンなど)の切り口を考えることが大事です。

プロジェクトにおいては、検討事項に抜け漏れがないかどうかをMECEで常にチェックしています。プロジェクトが終盤になって「あの対象がモレていたのではないか? もう一度検討してほしい」といった出戻りが発生しないようMECEを活用しています。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。