EQにおけるリーダーシップに不可欠な4領域
EQの高さはチームの強みです。
優れたリーダーは、人の心を動かすもの。人の情熱に火を点け、最高の力を引き出します。そして、優れたリーダーシップとは、感情のレベルに働きかけるものです。成功するかどうかはリーダーの姿勢にかかっています。部下の「感情」を正しく方向づけてやるという根本的な部分で失敗すれば、満足すべき結果は得られません。
EQは「自分の感情を認識する」「自分の感情をコントロールする」「他者の気持ちを認識する」「人間関係を適切に管理する」という、リーダーシップに不可欠な4領域から成り立っています。
この4つは相互に関連しており、この著者であるダニエル・ゴールマンらの研究によって、その関係が明らかになりました。
簡潔に言うと、「自分の感情を認識する」ことができて、「自分の感情をコントロールする」ことと「他者の気持ちを認識する」ことが可能になります。そして、この2つが合わさって「人間関係を適切に管理する」ことが可能になるのです。
このことから、EQリーダーシップの第1の基礎は「自分の感情を認識する」こととされています。そして、第2の基礎は、他者の感情を理解する能力、特に「他者に共感する」能力です。
他者の気持ちを理解できれば、不安を静めるにしても、怒りを和らげるにしても、それにふさわしい言動が可能になります。そして、価値観を共有しながら集団を率いていくことができます。
6つのリーダーシップ・スタイル
リーダーシップ・スタイルは次の6種類に大別できます。優秀なリーダーは、これらを状況に応じて使い分けています。1.ビジョン型リーダーシップ
方向性を示すことで、部下の感情を上向かせ、組織の精神を変容させることができます。全体が目標に向かって努力しているという自覚から、チームのコミットメントが生まれます。
2.コーチ型リーダーシップ
部下が自分の長所と短所を自覚するプロセス、さらに、そうした自覚に基づいて仕事の目標を目指すプロセスを手助けします。
3.関係重視型リーダーシップ
目標の達成よりも部下の感情面のニーズを重視します。メンバー一人ひとりを満足させ、仲良くさせ、チームの共鳴を引き出し、組織の結束も強まります。
4.民主型リーダーシップ
1対1の話し合いや集会に時間をかけて社員の懸念に耳を傾けることで、集団のモラールを保ちます。リーダーが進むべき方向を決めかねていて、メンバーの意見を聞きたい場合に最も力を発揮します。
5.ペースセッター型リーダーシップ
リーダーが部下に高レベルのパフォーマンスを求め、それを自ら実際にやってみせる、というスタイルです。メンバー全員が有能でモチベーションが高い場合、際立った成果を上げることができます。
6.強制型リーダーシップ
命令に即座に従うことを要求する一方で、理由を説明しません。要するに、不協和音を招く典型的なタイプです。但し、危機的状況を乗りきる場面など、状況によっては効果的です。