過酷な宇宙空間でも重視される「フォロワーシップ」

JAXA(宇宙航空研究開発機構)のホームページを見ると、「フォロワーシップ」という言葉が頻繁に出てきます。米国のNASAの訓練に参加した宇宙飛行士の多くが、リーダーシップとともにフォロワーシップを学んだことに言及しています。この記述を読んだとき、世界有数の研究機関で行われる、そして、半ば命を賭して宇宙を旅する飛行士たちの訓練にフォロワーシップ、つまりリーダーやチーム、それぞれを「支える」行為が組み込まれていることに、私は「なるほど」と深く得心しました。

フォロワーシップはこれまで、リーダーシップの対比的な概念でしか考えられてきませんでしたが、現在はその重要性がどんどん増しているように思います。では、なぜ今、フォロワーシップなのでしょうか。これを考えるうえで、少し私の話をさせてください。

早稲田ラグビーを優勝に導いたリーダーの「支える」働き

私は2006年、一介のサラリーマンから早稲田大学ラグビー蹴球部の監督に就任しました。学生時代、確かに早稲田のラグビー部のキャプテンを務めていましたが、卒業後はイギリスに留学、帰国してからはシンクタンクに勤務しており、ラグビーから離れて10年が経過していました。そして、指導経験も皆無。そんなダメ監督の私にも、選手たちは私に優れた戦略、優れた練習メニューを期待しました。

その理由は、私の前任者は、カリスマリーダーとして知られる清宮克幸さんだったからです。私が監督に就任した当時、選手たちは清宮さんのやり方に慣れ切っていました。明確な戦略と、適切な練習メニューが常に提示され、それに従うのが当たり前になっており、その理由は、清宮さんの言うことに従っていれば勝てたからです。

しかし、いくら期待されても、私には優れた戦略、練習メニューを繰り出せるわけではありません。そこで、私はチームのリーダーではありましたが、リーダーとして適切かつ強い指示を出し、チームを「引っ張る」ことリーダーシップよりも、選手を育成し、彼らの自律性を引き出す、選手を「支える」フォロワーシップに軸足を定めることを決めました。フォロワーシップの強いリーダー。これが私のリーダーとしてのスタイルとなりました。その結果、私の4年間の在任期間、全国大学選手権において、選手たちは2度の優勝、1度の準優勝に導いてくれました。

リーダーは現場に行けない。だからこそ「支える」

そもそも、ラグビーというスポーツは、監督が試合でほとんど介入できないスポーツです。サッカーも近いですが、それでも監督はピッチの脇にいて、その声や身振り手振りを選手に届けようとすれば、できないわけではありません。一方、ラグビーの監督は観客とともにスタンドにいます。試合中にできることといえば、せいぜい選手交替の指示くらいです。ですから、試合に勝つためには、選手に自律的に動いてもらうことが重要なのです。

確かに監督時代、戦略を立て、練習メニューを組むなど、組織のマネジメントという「引っ張る」リーダーシップも発揮していましたが、多くの時間を割いていたのは、選手が試合で高いパフォーマンスをあげられるように、選手の成長を「支える」ことでした。では、ビジネスの世界ではどうでしょうか。