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興収50億超!映画「妖怪ウォッチ」はどこまで伸びる?(2ページ目)

2014年を境にアニメ、メダル、ゲームなどさまざまなコンテンツでブームを巻き起こしている「妖怪ウォッチ」。その初めての映画作品が2014年12月末から公開されている。東宝は、封切りから15日間で興行収入が50億円を超えたと発表。この数字が物語る「妖怪ウォッチ」の将来性とは?

新井 庸志

執筆者:新井 庸志

マーケティングガイド

「アナ雪」、「千と千尋」との比較

結果的に映画「妖怪ウォッチ」は、驚異的な興行収入記録を樹立する。封切りから2日目で「千と千尋」の東宝記録を塗り替え、わずか15日間で興行収入50億円突破を達成した。これは17日間で同数字を達成した「アナ雪」を上回るペースだ。

ちなみに「千と千尋」は最終的な興行収入が304億円と日本歴代最高で、「アナ雪」は13年ぶりに興行収入200億円を突破するなど、日本歴代3位の記録している。現時点で「妖怪ウォッチ」はこうした作品の記録を次々と上回る結果を出しており、その勢いはとどまることを知らない。数字からは、映画だけでなく、エンタテイメントとしても、「妖怪ウォッチ」はよく比較に挙げられる「ポケモン」を超えたと言っていいかもしれない。この先、映画「妖怪ウォッチ」はどこまで記録を伸ばすのだろうか。


映画「妖怪ウォッチ」はどこまで伸びるか

「妖怪ウォッチ」の原動力はアニメや映画という映像コンテンツだけではない。そこにあるのはメダルであり、ゲームだ。つまり色々なコンテンツ、場面で接点を作り、消費者を巻き込んでいく仕組みだ。企業タイアップが多いのも、「妖怪ウォッチ」が人気があるからだけではない。ファストフード、携帯電話会社、コンビニ、メーカー、本当に多くの企業が「妖怪ウォッチ」を使ってプロモーションをしている。テレビ東京系列でのアニメ放映でありながら、NHKまでが「紅白歌合戦」で「妖怪ウォッチ」を前面に押し出すほどだ。このようにさまざまな商品を発売し、連携されるような仕組みが作り上げられているのが「妖怪ウォッチ」の特徴だ。

これは、「千と千尋」、「アナ雪」が映画ありきのヒットだったこととは大きく異なる点だと言える。映画が素晴らしいから入場者数が伸びているとは言い切れないのが「妖怪ウォッチ」なのだ。初日アンケートによると、鑑賞動機(複数回答可)として映画「妖怪ウォッチ」を観た理由は「テレビ版が好きだから」が約59%いる一方、「メダルが欲しかった」も約48%を占めるという。その意味で、映画「妖怪ウォッチ」がどこまで興行収入、入場者数を伸ばせるかの一つの指標は、内容だけではなくメダル配布数にもあると言っていいだろう。


新たなロングヒットコンテンツに

先ほど述べた「ポケットモンスター」の初映画「ミュウツーの逆襲」(1998年)は入場者総数が654万人、興行収入が65億円だ。映画「妖怪ウォッチ」の入場者数は最初の2日間で150万人、興行収入が16億円。メダルの配布枚数500万枚に対して親がついてくることを考えれば、映画「妖怪ウォッチ」の入場者総数は1000万~1500万人とも推測出来る。単純計算だが、興行収入にすれば約100~150億円ということになる。「アナ雪」の興行収入250億円強、「千と千尋」の興行収入304億円には及ばないが、これが十分に大きな数字であることは明らかだ。

「アナ雪」、「千と千尋」が比較的幅広い年代層に支持された一方、「妖怪ウォッチ」のメインは小学校低学年の子どもだ。来場者層を踏まえれば、時間とともに人気が高まっていった「アナ雪」とは異なることもおわかりいただけるだろう。いずれにしても、封切り15日目で興行収入50億円突破という記録は驚異的だ。「妖怪ウォッチ」は本当の意味で「ドラえもん」「アンパンマン」「ポケットモンスター」に続くロングヒットアニメコンテンツになったのだ。

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