高級マンション/注目の高級マンション

2014年印象に残った高級マンション

2014年は供給戸数の減少と価格上昇が目立った1年だった。売れ行きの変動も激しかったといえる。今後も読みにくい市況ではあるが、今年垣間見たヒントとして「駅直結」と「超・超高層」のふたつが挙げられる。高級マンションの資産価値の法則に新しい軸が加わった。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

高級マンションガイド

 

供給戸数の減少と市況の波

供給戸数は大幅ダウン

供給戸数は大幅ダウン

2014年のマンション市場は、供給戸数が極端に減少した1年だったといえよう。不動産経済研究所は当初、昨年(56,478戸)同等と予測していたが、上半期のトレンドを見て下方修正。46,000戸~48,000戸程度になると8月に発表し直した。「インフレを見込んだ売り控えか」とも言われたが、増税前の駆け込みの反動が要因。契約率が低下し「一気に多くの戸数を出せない」状況になった。

しかしながら、都心部などは総じて売れ行きは好調。エリアによる違いが、値付けや販売体制を立てにくくしているようにも受け取れる。購入検討者にとっては見極めが難しい局面だ。

下のグラフは販売価格(単価)と契約率の推移。複雑な市場を象徴するようかのように、直近の上下動が激しくなっているのがわかる。売れ行きの好不調ラインといわれる70%(赤い点線)をまたいで変化、販売単価もアベノミクス以後では上下の変化がことのほか大きい。地価の高い都心の売れ行きが良いことや全体供給数の減少は変動率の高さをまねく要因となるが、大規模物件が相対的に好調なことがこれらに拍車をかけているものと思われる。ますます市場を細分化して把握する必要があるだろう。

変動が激しくなった売れ行きと単価

変動が激しくなった売れ行きと単価


「駅直結」プレミアムを実証した野村不動産

「プラウドシティ蒲田」モデルルーム

「プラウドシティ蒲田」モデルルーム

不動産の値付けは経済環境が大きく物を言う。ミニバブルしかり、アベノミクスしかり。金融の大波にはさすがの「需給バランス」も抗えないということ。わかりやすい現象として「価格の上昇が過ぎると途端に売れ行きが鈍る」。

しかし、そんな変化の激しい市況にあって、驚くような価格設定でも人気を博した「駅直結」物件があった。「プラウドタワー立川」(坪単価@342.5万円)と「プラウドシティ蒲田」(同320万円)だ。マンションの資産価値に明確な法則を見出したという点で両プロジェクトの功績は大きかったといえるのではないか。ともに野村不動産のプロジェクト。同社は営業力に定評がある、つまり市場の細分化が得意な企業の分類に入ると言い換えることもできる。

「駅近」と「駅直結」は似ているようでまったく違う。「駅前再開発の分譲マンションは周辺相場の2割~3割増のプレミアムが付く」(住宅事業本部 住宅営業三部長 下川秀明氏)とのことだが、「駅近」ならざっくり1割強ではないだろうか。それからすると、3割は驚異的だ。ペデストリアン(歩行専用)デッキでつながった魅力は何物にも代えがたい、ということか。

高さの価値を知らしめた「虎ノ門ヒルズレジデンス」

「虎ノ門ヒルズレジデンス」モデルルーム

「虎ノ門ヒルズレジデンス」モデルルーム

超高級マンションで最も印象に残ったプロジェクトは、やはり「虎ノ門ヒルズレジデンス」である。不動産は立地のイメージや利便性で資産価値が左右されるが、同物件は「高さの価値」を世間に知らしめた点で新たな価値観を市場に植え付けたといえる。

「虎ノ門ヒルズ」は地上247メートル。その上層階に「虎ノ門ヒルズレジデンス」は設けられた。およそ200メートル上空からの眺望は、他のタワーマンションのそれとは似て非なるもの。「超高層ビルの上から」東京の街を見る。一般には認知されていないが、分譲住戸の坪単価は@1,000万円を超えると噂される。それだけ聞くと俄かには信じ難いが実際の高質な住空間と未体験の眺望を目の当たりにすれば、異なる市場が形成されてもおかしくないと感じるだろう。

現に秋以降の中古マンション市場では、40階程度を超えるタワーマンションのペントハウスが、別カテゴリーの価格帯を形成しようとしているようだ。別カテゴリーというのは、周辺地域の相場観や同じマンションの売買事例との「相対比較ではない」こと。これからは「地上150メートル~」、「同200メートル~」など駅までの徒歩分数と同じように「地上からの高さ」で価格が左右される時代がやってくるかもしれない。そんな予感のさせる「虎ノ門ヒルズレジデンス」は、(とくに住戸からの眺めが)強く印象に残った。

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