将棋/将棋のすすめ

はさみ将棋のルールとは?やり方と駒の並べ方・動かし方

将棋には、いわゆる本将棋の他にたくさんのバリエーションがあります。今回ご紹介するのは、そんな中でもルールが簡単で、幅広い年齢で取り組みやすく、しかもスリリングな「はさみ将棋」です。知育や脳の活性化、何より家族団らん、職場団らんに最適です!

有田 英樹

執筆者:有田 英樹

将棋ガイド

はさみ将棋のルール・やり方……駒の並べ方と動かし方とは?

はさみ将棋のルール・やり方とは

はさみ将棋のルール・やり方とは


トランプには「ババ抜き」「神経衰弱」「セブンブリッヂ」「ポーカー」などいろんな楽しみ方がある。4つのマークと13個の数字、そしてジョーカーの組み合わせから、様々なゲームが創り出されてきたし、現在も創作進行中である。ここにトランプ最大の魅力がある。

我が将棋も同様にたくさんのバリエーションを持っている。過去記事では、いわゆる本将棋の他に、練習にも役立つ「陣組み将棋」「成り駒将棋」「名探偵将棋」などを紹介してきた。また、本将棋のルールを知らなくとも手軽に楽しめて知育にも役立つ「回り将棋」についてもガイドをしてきた。

さて、今回は「はさみ将棋」である。「はさみ将棋」も本将棋のルールを知らなくても手軽に対局ができる。また、幼いお子さんからシルバー世代までと楽しめる層が幅広いのも特徴だ。それでいて奥深く、スリリングな知恵の絞り合いもできるのだ。大人なら脳の活性化に、お子さんなら知育の一環として、そして何より家族団らんに、ぜひ、お試しいただきたい。

<目次>
 

はさみ将棋 駒の並べ方

はさみ将棋,並べ方

はさみ将棋のスタート


上図をご覧いただきたい。はさみ将棋のスタート布陣は簡単明瞭である。使う駒は「歩」のみ。一方は表、他方は裏を自分の駒とする。まずは並べてみよう。
 

はさみ将棋 駒の動かし方

はさみ将棋,動かし方

はさみ将棋-駒の動かし方


はさみ将棋の駒は、すべてタテとヨコに好きなだけ動かすことができる。ただし、味方や敵の駒を飛び越えることはできない。右図を参考にしていただきたい。こうして、交代に一手ずつ進めていく。
 

はさんで相手の駒を取る

はさみ将棋,取り方

はさんで相手の駒を取る


赤丸の「歩」が左にスライドすれば、相手の「と」をはさむことができる。そして、はさんだ敵の駒は召し捕ることができる。ただし、はさむのは縦か横。ななめにはさんでも無効である。取った駒は駒台に置く。通常の将棋のように取った駒を自分の駒として使うことはできないので、注意が必要だ。こうして取った駒の数を争うのがはさみ将棋である。
 

複数の駒をはさんで取る

一発逆転もある

一発逆転もある


一度に複数の駒をはさめば、はさみこんだ全ての駒を取ることができる。もちろん、これも縦か横である。一発逆転を可能にするスゴ技だ。 
 

相手駒の間に入り込むのはOK

入り込みはOK

入り込みはOK


相手の駒の間にみずから入り込むのはOKである。相手に取られることはない。このルールをうまく利用できるかどうかは、勝敗に大きく関わってくる。
 

封じ込めて駒を取る

封じ込めて取る

封じ込めて取る


「あれっ、よく考えたら、隅の駒は絶対にはさめないぞ」と言う疑問の声が聞こえてきそうである。例えばオセロでは4隅の駒はひっくり返すことができない。しかし、ご安心いただきたい。「はさみ将棋」には「封じ込め」というルールがある。

隅にいる駒、または駒集団の場合は、相手の動きを封じて取ることができるのだ。たとえば、右図の右上の「と」はこちらの駒で周りを囲ってしまっているので、身動きが取れない。こういう駒は、はさまれてはいないが、封じ込められたとして、取ることができるのだ。もちろん2枚ともいただきだ。同様に左下の「と」も取ることができる。こちらは3枚召し捕りという具合だ。
 

はさみ将棋の勝敗決定ルール

以上、駒の進め方や取り方はおわかりいただけたと思う。では、どうやって決着をつけるかと言うことである。これは、いろんな地方で様々な決着ルールが設定されているようである。例えば、次のような決着ルールがある。
 
  1. 相手の駒を全て取ったら勝ち
  2. あらかじめ決めておいた数の駒を取ったら勝ち
  3. 取った駒数の差があらかじめ決めておいた数になったら勝ち

など、まだまだあるだろう。これは、時間や雰囲気に応じて皆さんで決めていただきたい。ちなみに、ガイドが主催する子ども将棋教室「将星会」では相手駒を4枚取ったら勝ちとしている。4枚を「しまい」と掛けて覚えやすいし、一局がだいたい10分程度で決着することが多いので休み時間にできるのだ。また、強い者と弱い者のハンディもつけやすい。強い人は6枚取らなければいけないなどとすればいいのだ。
 

はさみ将棋は知育に役立つ「先を読む思考」

この「はさみ将棋」はルール明快、実に単純そうである。しかし、いざやってみると、そうではない。知恵と知恵の闘いの競技なのである。勝利を得るためには、先を読むという思考方法が必要とされてくる。
局面図1

局面図1


たとえば、上の局面図1をご覧いただきたい。これは、子ども達の対局の一場面である。 先手A君、後手B君の「小学生はさみ将棋対決」を解説しよう。図から次は後手B君の手番である。 
局面図2

局面図2


なんと後手のB君は局面図2のように「と」を動かした。おいおい、これでは、みすみす取られてしまうではないか。うっかりミスか?  案の定、先手のA君はしめしめと取ってきた。「歩」を横からスライドさせてきたのだ。これが局面図3である。
局面図3

局面図3


ところが、である。ところが、これはB君の練りに練った戦法だったのだ。言わば肉を切らせて骨を断つ、鮮やかな戦法だった。どんな手を使ったかおわかりだろうか。
局面図4

局面図4


では、紹介しよう。局面図4を見ていただこう。B君はA君の「歩」を誘い出し、縦に3枚並ぶようにさせたのだ。そして、まとめて召し上げる作戦だったのだ。しかし、実はA君の最初の取り方によっては、この作戦は水の泡だったのである。対局後にそれを知ったA君の悔しがること悔しがること。リベンジに燃えていた。

いかがであろうか?これが小学生の対決である。まだまだ甘さはあるものの、ガイドが知恵と知恵で闘う競技だと言った訳がおわかりいただけたと思う。
 

はさみ将棋は簡単だけど、奥が深い!

このように、手軽な「はさみ将棋」は家族、仲間でのお楽しみにピッタリである。また、その奥深さから、いろんな所で大会が開催されてもいる。全国津津浦々に熱心なファンも多いのだ。ネットで「はさみ将棋」「大会」と検索すれば、かなりのヒットがある。全国大会だってあるのだ。

さらに「はさみ将棋」「ソフト」で検索すれば、ソフトも見つかる。これまた団らんのアイテムになるだろう。家庭で、ネットで、大会で、旅先で、いろんなシーンで「はさみ将棋」をご活用願いたい。お読みいただけた皆さん。皆さんも本将棋以外の「お楽しみ将棋」「変わり種将棋」、ご存じでしたら、ぜひガイドに教えてください。オールアバウトで紹介し、将棋ファンみんなの財産にさせていただきます。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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